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文学少女、やっぱりまたやらかしてる  作者: たむ


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46/50

第46話「文学少女、卒業アルバムに“誰にも気づかれない一行詩”を仕込んでいた」

今回は“卒業アルバム詩”。

誰にも気づかれなくていい――そんな前提で仕込まれた詩だからこそ、心に染みます。

見返すたびに出会い直せる、最高の伏線でした。

その日、図書委員の手伝いで“卒業アルバムの見本”が図書室に届いた。


こよりたちは何気なくページをめくりながら、

「先輩たちってこんな顔だったんだねー」と笑っていた――そのとき。


「……ん? このページ、なんか……印刷が薄くない?」


ゆいが指差したのは、

卒業生の集合写真ページの、背景のすみっこ。


よく目を凝らすと、写真の空に溶けるように、

かすかに文字が刷り込まれていた。


『空に向かって笑ってるこの写真

未来って、たぶんこの一瞬の続きだと思う』


「……っ!! 詩音先輩だ……」

「うそでしょ!? アルバムって学校全体でチェックされるんじゃないの!?」


驚きつつも、次のページを確認すると、

別の背景にも、うっすらとした詩が隠れていた。


『別れがあるってことは

ちゃんと“いた”って証拠』


『背中が写っていても

きっと誰かの記憶には、正面で笑ってる』


全部で10カ所。

それらはどれも、**本当に目を凝らさなければ気づけないほどの“やさしい存在”**だった。


しかも、印刷業者に確認したところ、

「データ入稿時に“背景のデザイン調整”としてさりげなく追加されていた」とのこと。


「もはや文学的犯行……」

「そこまでして、“残す詩”だったんだね……」


まなはそっとつぶやく。


「“卒業写真って、未来の途中”ってさ……泣かせに来てるじゃん……」


職員室で聞いてみると、実はこの詩の仕込みは一部の先生だけが知っていたという。


「しおんちゃん、“気づかなくていいんです。でも、誰かが未来で見つけたら、それが嬉しい”って言ってたよ」


それはまるで、

未来の誰かに手紙を埋めていくような文学。


こよりたちは、卒業アルバムの空を見つめながら、そっとつぶやいた。


「きっとまた、私たちもやらかす側になるんだろうな。ね?」

今日の一句:

「未来にも そっと忍ばす 詩の影」


次回、第47話「文学少女、放送室の機材に“読み上げ用の隠し原稿”を置いていた」

誰が読んでも詩になるメッセージ!? 学校全体に響いた“声に出す詩”とは!

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