第45話「文学少女、期末テストの裏に“応援詩”を印刷していたことが発覚する」
今回は“期末テストの裏詩”!
文字通り“裏から支える詩”、詩音先輩の本領発揮でした。
地味に公式が許可していた事実も衝撃ですね。
冬の足音が近づくある日――期末テスト当日。
「うう、現代文むずかしかった……」
「というか、なんか解答用紙の裏、ちょっと印刷されてなかった?」
「え、何それ? ミスプリ?」
教室がざわめき出す。
こよりたちも慌てて解答用紙の裏を確認すると……
『テストは敵じゃない
あなたの中の「知ってる」が
「出せる」に変わる舞台』
『もし手が止まっても
呼吸は止めないで
答えが来ない時間も、ちゃんとあなたの味方』
「……えっっっ!? これ……応援詩!?」
「しかも印刷されてる!? どういうこと!? 公式!? 非公式!?」
あわててほかの答案用紙を確認すると、数学、英語、化学……どれも裏面に詩が印刷されている。
しかも科目ごとに内容が変わっているという凝りよう。
【数学】
『数字が並んでも 意味が見えない夜もある
でも君は その向こうに答えを探してる』
【英語】
『わからない単語はあっても
“Your effort is not lost.”』
「もう間違いない。詩音先輩のやらかしだ……!」
「ていうかこれ、どうやって……印刷って、完全に学校のシステム使ってない?」
後日、こよりたちはテスト印刷を担当する事務の先生に事情を聞いてみた。
「詩? ああ、それね。しおんちゃんから“生徒のストレス軽減を目的とした文言です”って……
ものすごく丁寧な依頼が来てね。テスト委員会も『まぁ、裏ならいいか』ってことで」
「公式了承済み!? ていうか詩が“ストレス軽減措置”として機能してるの!?」
しかも、生徒たちの間ではこの詩がかなり好評で――
「解けなかったけど、詩でちょっと心落ち着いたわ」
「ラスト1問でめっちゃ焦ってたけど、“呼吸止めないで”っての見て、ちょっと持ち直した」
「テストってこんなにあったかくなれるんだ……」
まな「もう、もはや詩が“制度”になってきてる……」
ゆい「“裏側に寄り添う詩”とか、発想がやさしすぎる」
こより「……こういう人になりたいよね」
詩は、問題の裏にあった。
でもそれは、**答えを導くための一番やさしい“ヒント”**だったのかもしれない。
今日の一句:
「問題の 裏にしのばす 声がある」
次回、第46話「文学少女、卒業アルバムに“誰にも気づかれない一行詩”を仕込んでいた」
卒業の記録に残された、たった一行の秘密――最後の伏線が動き始める。




