第43話「文学少女、職員室のホワイトボードに“先生への詩”をこっそり残していた」
今回は、まさかの“先生向けホワイトボード詩”!
詩音先輩、ついに職員室にまでやらかしていたとは……!
でもそのやさしさは、先生たちの心の深いところにまでちゃんと届いていたようです。
朝のホームルーム前。
こよりたちは、たまたまプリントを取りに行くために職員室へ向かった。
「失礼しまーす……って、あれ?」
先生方が使う予定表ホワイトボードの片隅。
そこに――小さく、でも確かに“詩”が書かれていた。
『いつもお疲れさまです
生徒の前では強くても
時には心、置いていってもいいんですよ
このホワイトボードの端っこに』
こより「……えっ、これ……」
まな「詩音先輩の……やつだよね、絶対」
ゆいがさらに小声で言った。
「ってか先生たち、これ気づいてるのかな……?」
その時、近くの英語教師がにこっと笑いながら言った。
「ああ、それね。去年の卒業直前に、朝イチで来たら書かれてたんだよ。
誰の仕業かと思ったら……まあ、だいたい予想はついたけどね」
聞けば、詩は毎朝書き直されていたらしく、
ホワイトボードの片隅に、**“一日一詩”**として数日続いたらしい。
『先生も生徒も いつも全力だから
たまにボーッとしていいんです
それを“余白”と呼びます』
『声が枯れても、
今日も誰かの未来を育ててる
先生って、実は詩だと思います』
「……そんなことまで言われたら、サボれないじゃん……」と苦笑しつつ、
先生たちはその詩を**“朝の元気”としてこっそり楽しみにしていた**そうだ。
しかも最終日には、こう締めくくられていたという。
『明日から、わたしはいません
でもこの余白が、あなたの心の白にもなりますように』
まな「詩音先輩……先生相手にも詩を届けてたとか、すご……」
こより「全方位、心の支えすぎでしょ……」
ゆい「ていうか先生たち、めちゃくちゃ詩に感動してたんだね……!」
英語教師「まあ、ちょっとだけ泣いたかもね」
今も職員室のホワイトボードの端には、
“空白にしておいてください”という謎の貼り紙が残されている。
その白いスペースは、誰も触れない。
まるで、そこにまだ詩が残っているかのように。
今日の一句:
「白い場所 残されたのは 詩の余白」
次回、第44話「文学少女、購買のレジ横に“励ましの詩クジ”を置いていた」
チョコパンのついでに元気もくれる!? 謎の詩ガチャの正体とは――




