第4話「文学少女、購買のパンに詩をつけはじめる」
パン×ポエムの異色コラボ!?
詩音先輩の“食育”ならぬ“詩育”が今日も購買をにぎわせます。
思わずじんわり、でも最終的には注意される安心展開。
昼休み、購買前――
こより、ゆい、まなは恒例の“パン争奪戦”に臨んでいた。
「今日こそメロンパンを……!」
「焼きそばパンも捨てがたい……」
「でも謎の“宇宙味”って何……!?」
そんな中、購買のおばちゃんがやけにテンション高く叫んだ。
「本日限定! “ポエム付きパン”販売中だよ〜!」
「は!?」
「いや、ポエム付きって何!? 食べられるの!?!?」
「どうせまた詩音先輩の仕業だって!!」
見てみると、パンに小さなカードが結ばれていた。
そこには詩が一篇ずつ印刷されている。
例えばメロンパンには――
『丸い形に包んだ 君の今日の笑顔
ざらめの甘さが 午後にひとさじのやさしさを』
焼きそばパンには――
『具だくさんの日常に
ちょっぴりソースのパンチを
味わいながら かみしめようよ』
「なんか……パンが哲学になった……」
「食べる前にちょっと泣きそうになるのやめてほしい……」
最初は“えぇ〜”と引いてた生徒たちも、
次第に「今日はどんな詩がついてるかな?」と楽しみにし始めていた。
「詩音先輩、これ毎日書いてるんですか?」と購買のおばちゃんが聞くと――
「はい。パンにはその日のお昼に合う詩を添えてます」
「今日のカレーパンは“孤独な午後に、スパイスをひとさじ”です」
「スパイスで孤独が……癒える……だと……!?」
購買前にはちょっとした“文学渋滞”が発生し、パンが売り切れるのも早くなった。
だが翌日、生活指導の先生から一言。
「食品に紙を添付するのは、衛生上よろしくない」
「そ、そりゃそうだーーー!!!」
「内容以前に、物理的問題が浮上したーーー!!」
結局、“ポエム付きパン”は1週間で終了。
代わりに、購買横に「詩音の昼ポエム掲示板」が設置された。
『今日のパンはなんだろう
それだけで 少し足どりが軽くなる』
「……たぶん、詩音先輩ってパンの妖精か何かなんだと思う」
「いや、“言葉の魔法”って案外こういうとこで使うんだよ……」
今日の一句:
「パン一つ 詩が添えると ちょっと名作」
次回、第5話「文学少女、LINEのステータスメッセージが長すぎる」
“ポエムで画面が埋まる”事件、発生します!




