第38話「文学少女、校歌の歌詞を勝手に書き直していたことが発覚する」
今回は、まさかの“校歌改変事件”!
詩音先輩、ついに学校の公式行事にまで手を伸ばしていた……!
でも内容が良すぎて、誰も止められないやつでした。
「ちょっと聞いて! うちのクラスの合唱練習中、歌詞カードに変な歌詞が混ざってたんだけど!」
そんな騒ぎが生徒の間で持ち上がったのは、秋の合唱祭直前のことだった。
音楽室で確認された“変な歌詞”は、明らかに通常の校歌と違っていた。
それがこちら。
『朝日とともに 胸張って歩くこの道に
小さな希望が落ちていて
拾って歩くたびに 今日が好きになる』
『この坂の上に ただ咲く花があるように
未来も 誰かが咲かせた詩かもしれない』
一見それっぽいが、完全に校歌ではない。
「ねえこれ……普通に校歌“改造”されてない?」
「詩音先輩の文体だよコレ。うん、絶対そう」
「……校歌にまで手を出してたとは……!」
しかもその“勝手に書き直された歌詞カード”、
どうやら詩音先輩が**合唱部にこっそり差し入れていた“自主練用歌詞カード”**だったらしい。
証拠となったのは、カードの裏に小さく書かれていたメモ。
『公式じゃないので注意してください。
でも、心ではこっちを歌ってもいいと思うんです。詩音より。』
「反則スレスレのローカル改造詩……!!」
「むしろこれ、“裏校歌”ってやつじゃん……!」
合唱部の後輩によれば、詩音先輩は卒業前に「この歌詞、もしよかったら自由に歌ってね」と笑顔で渡していったという。
そして、合唱祭本番。
こよりたちは、2年生のステージを見て唖然とした。
「え……これ……」
「こっちの歌詞で歌ってる……!?」
「やばい、しっとり感増して逆に泣ける……!」
なんと、生徒の大半が“非公式バージョン”を暗黙の了解で採用し、
詩音先輩改変版の“裏校歌”を堂々と歌い上げたのだ。
先生たちは最初驚いたが、最後には
「これはこれで、いい歌詞ですね……」とぽつり。
もはや詩音先輩の詩は、
学校の“非公式伝統”になりつつあるのだった。
今日の一句:
「替え歌が 伝統になる 詩の力」
次回、第39話「文学少女、体育倉庫のマットの裏に詩を書いていた」
なぜそこに!? なにを思って!? スポ根と文学の異色コラボ回、開幕です!




