第36話「文学少女、校庭の隅に埋めたタイムカプセルに詩が詰まっていた」
今回はなんと、“詩のタイムカプセル”が校庭から発掘される回!
詩音先輩、卒業後も地中で“文学仕込み”していたことが判明――
もはや地雷ではなく、「詩雷」です。
「え、ちょっと待って。何それ、今なんて言った?」
昼休み。
購買帰りのこよりは、偶然耳にした1年生たちの会話に全力で反応した。
「だから先輩、校庭の隅っこ掘ってたら、何かの缶が出てきたって――
しかも中に“詩の束”がぎっしりだったんですよ!」
その報告を聞いたこより・ゆい・まなは即座に現場へ急行。
そこには、サビた紅茶缶と、中に詰まった無数の折り紙メモが待っていた。
「これ……全部、詩……!?」
「しかも、全部ちがう! 手書きで……!」
その一つをそっと開くと、そこにはこう書かれていた。
『風は過去を撫でるために吹いている
君が未来を見る間に
土の中で、言葉が咲くのを待っていた』
「……これ、絶対詩音先輩の詩だよね……」
「うん、文体が“あの感じ”だし、“土の中で言葉が咲く”とか、やりかねない……」
他にも、折り紙メモにはこんな詩が詰まっていた。
『卒業式の日に埋めました。
見つける頃には、きっとわたしはいません。
でも、わたしの言葉はここにいます。』
『時限式詩爆弾、爆発予定:誰かが寂しくなった日。』
『開けてくれてありがとう。
どうか、今日の空を見上げてね。』
「なにこのロマンと執念が合体した詩のタイムカプセル……」
「しかも“見つけたら空を見て”って……今日くもりですけどぉ!!」
どうやらこの“詩缶”は、卒業直前の夜、
こっそり校庭の隅に埋められたものらしい。
しかも、缶の裏面にはマジックでこう書かれていた。
『※発見時は全力で感動してください。よろしくお願いします』
まな「やだ、ちゃんと“指示”してる……」
ゆい「これで感動しなかったら怒られそう……」
でもこよりは、空を見上げながらそっと言った。
「うん。ちゃんと、今日の空も“詩の色”だったよ」
缶の中にあった最後の一枚には、こう記されていた。
『この詩たちが、
忘れられた何かを、
そっと思い出させるように
君の日常に、咲きますように』
今日の一句:
「掘り出して 詩と爆発 校庭で」
次回、第37話「文学少女、卒業前夜に校舎の全照明を借りて“光の詩”を投影していた」
まさかのライトアップイベント!? 一夜限りの“光る詩”の真相とは――




