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文学少女、やっぱりまたやらかしてる  作者: たむ


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33/50

第33話「文学少女、購買部のおばちゃんに贈った詩が壁に貼られていた」

今回は、詩音先輩が“購買部のおばちゃん”に贈った詩の話。

生徒だけでなく、学校の“影の支え手”にもちゃんと敬意を伝える詩音先輩の姿勢に、ほっこり&しみじみ……。

昼休み、焼きそばパンを求めて購買部に並んでいたこより。

ふと、レジ横の壁に目をやって、あるものに気づいた。


「……あれ? 詩が貼ってある……?」


そこには、A4サイズの紙が丁寧にラミネート加工され、額縁に入れられていた。

筆跡は、見覚えのあるまっすぐな万年筆の文字――


『いつもレジの奥で

誰かの“おなかすいた”を

そっと受けとめてくれる

あなたの笑顔は

毎日通う あたたかな物語』


「……詩音先輩の……字だ……」


後ろに並んでいたゆいも気づき、目を丸くする。


「ちょっと待って、詩音先輩、購買部にも詩残してたの!? 範囲広すぎじゃない!? 人文衛星!?」


まなも驚きながら言った。


「てか、おばちゃんもよくこれ保管してたな……」


そのとき、購買のおばちゃんがにこにこと話しかけてきた。


「ああ、それ? 卒業のときにもらったのよ~。

“いつもごちそうさまです”って、あの子、最後までちゃんと詩だったのよ。

嬉しくてねえ……捨てられなかったの」


「それで……ラミネートまで……」


「もちろん。雨がかかっても、汚れないようにね。

わたしの宝物なんだから」


一同、言葉を失う。


詩音先輩は、最後の最後まで誰かのことを見ていたのだ。

教室だけでなく、廊下でも、図書室でも、購買部でも。


“詩がある場所”は、詩音先輩にとって“誰かがいる場所”だったのだ。


こよりは、レジで焼きそばパンを受け取るとき、そっと言った。


「……ごちそうさまです」


おばちゃんは優しく笑って答えた。


「また明日、おいで」


詩は残る。

たとえそれが、購買部の壁の片隅であっても――

今日の一句:

「パンよりも 心あたたか 昼の詩」


次回、第34話「文学少女、放送室で録音した“秘密の詩”が流れる日が来る」

放送室に残された未公開音源!? 校内放送でついに“声の詩”が蘇る!

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