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文学少女、やっぱりまたやらかしてる  作者: たむ


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31/50

第31話「文学少女、図書室の本にこっそり挟んだ詩が発掘される」

今回は図書室に残された“挟まれた詩”の発見回。

紙のしおりのように眠っていた詩たちは、ようやく誰かの指先に触れ、目覚めていきます。

図書館にまで仕掛けを残すなんて、さすがです詩音先輩。

その日、こよりは図書室で昼休みを過ごしていた。

レポート課題の参考文献を探しながら、ふと手に取ったのは古びた詩集。


「……この本、誰かに読まれたの、ずいぶん前だな」


そう思いながらページをめくると、

ぴらり、と一枚の紙が落ちた。


「ん……しおり……? じゃない、これ――」


そこに書かれていたのは、手書きの詩。


『静かに閉じたページの間に

まだ読まれていない言葉がいる

誰かに届く日を ずっと待っていたみたいに』


「……これ、詩音先輩の字だ」


その詩は、紙の端にこっそり「読まれるまで、しばらく眠ります」と添え書きされていた。

つまり――この詩は、“誰かに見つけられるまでの時間”も詩の一部だったのだ。


「やっぱりこの人、時間ごと詩にしてる……」


後日、図書委員による調査の結果、

図書室のさまざまなジャンルの本から、**計12枚の“挟まれた詩”**が発見された。


『推理小説のラストに挟んだ嘘

それはたぶん、読者に一番優しい真実だった』


『辞書の“こころ”のページに挟んだ詩

意味なんてなかった。ただ、そうしてみたかった』


『レシピ本に混ざった詩

材料:少しの孤独と、大さじ一杯の夢』


まな「……図書館でさえ、もう詩音先輩に占拠されてる……」

ゆい「本にまで詩を棲みつかせるって、もはや言葉の精霊か何かでは……?」


そして、こよりが借りた詩集の巻末――


誰にも読まれないまま、そっと挟まれていた最後の一篇。


『この詩が誰にも届かなくても

それでもわたしは、詩を書き続ける

だってそれは、誰よりわたしが“読みたかった”言葉だから』


誰かのために書いた詩であり、

同時に、誰より自分のために残したもの。


詩音先輩は、言葉を未来に棲ませていったのだ。


図書室――それは彼女の“静かな詩の時間爆弾保管庫”だった。

今日の一句:

「開いたら 眠れる詩が 目を覚ます」


次回、第32話「文学少女、卒業アルバムの寄せ書きに仕込んだ詩が後輩の心を撃ち抜く」

一見ただの寄せ書き、でもよく見ると……それは“最後の一手”。文集の裏に潜む文学の刺客!

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