表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
文学少女、やっぱりまたやらかしてる  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/50

第27話「文学少女、未来の自分宛てに詩を郵送していたことが発覚する」

今回は、詩音先輩の“時間差やらかし”回!

未来の自分へ、そして未来にいる“誰か”へ。

言葉は記憶だけでなく、時すらも超えて残っていくのかもしれません。

ある春の午後。

職員室に届いた、一通の古びた封筒。宛名はこうだった。


「未来の私へ 3年後の今日に届けてください」

――差出人:三年三組 西園寺 詩音


「……ついに時間まで飛び越えはじめたよあの人……」


先生たちも呆れ半分、興味半分でその封筒をこよりたちに見せてくれた。

封筒は封がされていて、中には詩音先輩が自分宛てに書いた**“未来詩”**の原稿が数枚入っていた。


『変わっていくことは 忘れていくことじゃない

ただ、いまの“私”が、“わたし”になるだけ。』


『誰かの言葉が、まだ胸に残っていたら

それだけで、生きてることに意味がある』


『未来のわたしへ。

あなたはもう、“夢”を忘れてしまいましたか?

それとも、“夢”という名前を変えましたか?』


読んだこよりたちは、思わず沈黙した。


「……この人……未来の自分にも、ちゃんと詩で声かけてるの……?」

「っていうか、“わたし”と“私”を使い分けてるの、文学的精密機器すぎん!?」


封筒にはもう一通、宛名のない詩も入っていた。

読み上げると――その場にいた誰もが静まり返る。


『わたしを覚えている誰かへ

もし、今日、わたしを思い出してくれたなら

それが、“いまのわたし”です』


誰のために送ったのか。

それはきっと、“自分自身”だけじゃなく――

**この詩を手にした“誰かの未来”**でもあったのだろう。


まなはぽつりと呟く。


「……なんかさ。

詩音先輩って、未来にも“居場所”を作ってるみたいだね」


その言葉に、みんなが頷いた。


手紙の最後には、彼女のサインと、日付の下に小さくこう記されていた。


「追伸:もしこの詩が開かれたなら、

どうか、あなたも“誰かの未来”に詩を残してあげてください」


こよりはそっと目を閉じて思った。


――たぶん、これは未来から届いたのではない。

詩音先輩が“未来に手を伸ばした”だけなのだ。

今日の一句:

「未来へと 綴る言葉に 時が泣く」


次回、第28話「文学少女、教室の机の裏に詩を彫っていたことが発覚する」

ついに物理証拠が出た!? 校舎という名の詩集は、まだまだ奥が深い!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ