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文学少女、やっぱりまたやらかしてる  作者: たむ


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18/50

第18話「文学少女、席替えのくじを短歌で作ってくる」

今回は席替えすら文学化!

詩音先輩による“短歌くじ”という、情緒と風流に満ちた革命が教室を席巻。

抽選よりも運命を感じさせる席替え、新時代の幕開けです。

新学期恒例、みんな大好き(?)――席替えの日!


「ねぇねぇ、窓際来い! 窓際来い!!」

「前の席は絶対ヤダ~~。後ろでのんびり生きてたい」

「……でもイケメンの隣なら前でもいいよね」


そんなテンション高めな空気の中、担任の田村先生が言う。


「えー、今回はくじ引きで席を決めます。くじは……綾瀬が作ってくれました」


「……綾瀬……って、まさか――」


「詩音先輩ーーーーー!!!」

「くじが詩の香りしかしないーーー!!!」


そして配られたのは、見事に手書きの和紙短冊。


しかも番号や座席名の代わりに、すべて短歌が書かれている。


「春霞 揺れる窓辺で 夢を見る

風の音にも 君を感じて」


「黒板に うつる影さえ 切なくて

前の席でも まぶたをとじる」


「やばい! どこがどの席かわからない!!」

「これ、くじっていうか一首ずつの人生なんですけど!?」

「“前の席でも”って、これ前の席確定!?」


案の定、先生も把握していなかったらしく、こよりが質問する。


「せ、詩音先輩……これはどうやって席を決めれば?」


詩音先輩、微笑んで答える。


「その歌の情景に、心が動いたらそこがあなたの席です」


「抽選って概念どこ行ったーーーーー!!!」


結局、“席の情緒”で生徒たちが自発的に移動するという、前代未聞の席替えに。


「窓辺の風が、君を選んだ」

「黒板の前で、あたしが目立つべきなんだと思った」

「後ろの席、やっぱり“過去の余韻”っぽくて落ち着くよね」


「何その理由!?!?」

「“この席が私の詩”ってどういうこと!?」


最後、余った席に誰も行かず、しんとした空気になる。


詩音先輩が静かに言った。


「この席は、“まだ誰の物語にもならない席”。

でも、きっといつか誰かの一行目になる。」


「……なんか、すっごい納得しちゃった自分が悔しい!!」

今日の一句:

「くじ引きも 詠まれて座る 物語」


次回、第19話「文学少女、風紀委員の腕章にポエムを刺繍する」

“規則”の象徴に“詩”を縫い込む!? 学校中に静かなる反抗の美が漂う!

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