第16話「文学少女、通知表の所見欄を自分で書こうとする」
今回はまさかの“通知表”が文学の舞台に。
所見欄すら詩に変える詩音先輩の情熱に、先生もタジタジ!?
評価とは何か――そんな哲学すら感じる一話です。
期末テストが終わり、教室はどことなくソワソワ。
理由はもちろん――「通知表」。
「うわー、やばい。数学の点数見たくない……」
「国語だけ生きてた。あとはぜんぶ燃えた……」
「うちの担任、所見欄めっちゃ長文で書いてくるから、怖いんだよなぁ~」
そんな中、ひときわ堂々と職員室に向かう人影が――
そう、我らが詩音先輩である。
担任の田村先生「おや、綾瀬。なにか用か?」
詩音先輩「所見欄、私が書いてもいいでしょうか」
「いやいやいやいや!?!?!?」
「通知表、自分で書くシステムあったっけ!?!?!」
先生、苦笑い。
「所見は教師の仕事なんだが……理由を聞いてもいいか?」
詩音先輩「先生方は“評価”を書く。
でも私は、“わたし”を書きたいんです」
そして彼女が取り出した一枚の紙には――
『今学期、私はよく迷い、よく転び、
でもそのたびに誰かの声に救われた。
だから“成績”より、“成長”を記したい。』
『テストの点数は沈黙だった。
でも、放課後に読んだ一冊は、叫んでいた。』
「重い重い重い!! それ所見欄に書いたら心が詰まる!!」
こよりはこっそり先生の横からチラ見して呟く。
「なんか……通知表って“人生の抜粋”だったんだなって思えてきた……」
「って、ダメだ! 洗脳されるな!!!」
先生、しばらく黙ったのち、苦笑い。
「まあ、参考にはさせてもらおうかな……ただし“公式採用”はしないぞ?」
詩音先輩「はい。“私の所見”は、私の心の中に綴っておきます」
その後、クラスに戻った詩音先輩は、ひとこと。
「皆さんも、自分の“心の通知表”を読んでみてくださいね」
「え、えーと……国語4、数学2、心……詩音先輩に預けます……」
今日の一句:
「通知表 詩に書かれて 心読まれ」
次回、第17話「文学少女、学食のメニューを勝手に詩に変えてる」
“カレーうどん”が“スパイスの中の孤独”に!? 食堂に文学が漂い始める――!




