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文学少女、やっぱりまたやらかしてる  作者: たむ


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13/50

第13話「文学少女、演説大会に出て詩だけ読んでくる」

ついに詩音先輩、全校イベントに登壇!

演説大会でまさかの“スピーチを捨てて詩だけ読んでくる”という大胆な作戦でしたが、

結果的に会場の心をつかんでしまうのが、彼女のすごさ。

文化祭が終わって間もなく――

今度は全校生徒の前で行われる「高校生スピーチコンテスト」が開催されることに。


「うちの学校からも代表生徒が壇上でスピーチするんだって」

「ま、普通に学級委員とか、真面目系が選ばれるでしょ」

「……って、あれ? 代表者の名前……詩音先輩!?」


「出たーーーーーー!!!」

「どこまで出るんですかこの人!!!」

「舞台系イベント、皆勤賞目指してるの!?」


当日、体育館には全校生徒が集まり、空気はピリッとした真面目モード。

先に登壇した他校代表たちは、地域課題や将来の夢について熱弁を振るっていた。


そして――

「続いて、本校代表、二年・綾瀬詩音さん」


静かに歩み出る詩音先輩。

マイクの前で一礼し、話し始める……かと思いきや、


「この場所に、

いくつもの声が落ちていく

語られた夢と、

まだ名前を持たない希望の音――」


「……え、始まってる? スピーチじゃなくて、これ……」


「ポエムゥゥゥ!!!!!」

「原稿用紙に詩しか書かれてないじゃん!!」


詩音先輩は、語りではなく“詩の朗読”を選んでいた。


しかもその内容は――

自己アピールでも問題提起でもなく、“言葉”そのものへの詩。


「伝える、ということは

心を裸足で歩かせること

でも、誰かがその跡を

静かにたどってくれたなら――

それはもう、ひとつの出会い」


会場が、水を打ったように静まり返る。


こよりたちは、息を飲んで見守っていた。


「なにこの空気……っていうか……」

「やばい、ちょっと……聴き入ってる自分がいる……」

「“詩って伝わるんだな”って、思っちゃったじゃん……!」


そして詩音先輩の最後の言葉。


「スピーチは、思考の列車

詩は、沈黙の窓

どちらも、誰かに届くなら――

今日、わたしはこの場所にいて、よかったです」


小さな拍手から始まって、体育館全体にじわじわと広がっていく。


審査員の先生たちは明らかに戸惑っていたが、

生徒の間では“なんかよく分からないけど、刺さった”と大評判に。


その日の放課後、こよりたちはつぶやいた。


「……あれ、私たち、いつから“ポエムに負けた”側なんだっけ……」

今日の一句:

「詩だけで 語らず伝う 心かな」


次回、第14話「文学少女、家庭科のレシピをすべて詩で書く」

“料理は詩だ”と言い張って、材料リストもポエム化!?

キッチンで感性が爆発します!

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