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目覚めてからも覚めない夢 part1

『ジャック……ジャック……』


 誰だ、俺を呼ぶのは……


『ああ、ジャック……助けて……』


 大丈夫だっ!必ず……俺が……俺が!


『熱いよ……怖い……ジャック……』


 手を伸ばせっ!あきらめるなっ!


『どうして……助けてくれなかったの……』


 違う、違う!俺は……俺は、助けようと……!


『いいえ、違わない……あなたは私たちを見捨てたのよ……』

『みんな……死んだ……おまえのせいで……』

『……どうして……おまえだけが……ああ……』

『怖い……怖い……ジャック……』


「待ってくれ!」


 自らの叫び声で、ジャックはベッドから飛び起きた。

『くそっ……こんなこと、考えたくもないのに……何度も何度もあの光景が頭に浮かんでくる……俺を責めてきやがる……!』

 びっしょりと汗をかいていて、身体の震えが止まらない。

『落ち着け、落ち着け。何度もやってきただろう、深呼吸だ』

 自らに言い聞かせるように何度か繰り返すうちに、震えは止まりあたりを見渡す冷静さが戻ってきたのだが、目に飛び込んできた光景にジャックは目を疑った。


『ここはいったい……どこだ?』


 どでかい天蓋付きのベッドに、美しいカーテンがふわりと揺れる大きな窓、きらびやかなシャンデリア、丁寧な作りでひと目で格式を感じさせる家具などが目に飛び込んできた。

 ベッドのすぐ側には、あれだけドロドロになっていたお気に入りのスーツにシャツがきれいに洗濯され吊るされており、靴までがピカピカに磨き上げられて揃えられている。

 驚きと不安が交錯する中、必死で記憶を呼び起こそうとした。

『……最後に覚えているのは、あの化け物を訳のわからない格好したやつが火だるまにしているところだ……いや、その前に俺は地面に叩きつけられて……』

 そこまで思い出したところで、ジャックはある事に気づいた。


「そうだ、ケガは?おそらく背骨が折れて、とてもじゃないけど助からない大ケガをしたはずがーー」

 あらためて自分の身体を見ると、あちこちに覚えのない傷跡ができているが、すでにうっすらと白い古傷のようになっていて痛みもない。

「嘘だろう……こいつはいったい、どういう事だ?」


 その時、突然ドアが開いた。

「おはようございます!やーっとお目覚めですか?もう、お寝坊にもほどがありますよ!」

 能天気ともとれる明るい声が響きわたり、考えに集中していたジャックは驚きのあまり反射的に怒鳴り返していた。 

「うるせえ!急にでけえ声を出すんじゃねえよ!」


 ひいっと言う悲鳴に近い声に、ジャックは相手がの二人の若いメイドであることに気づいた。


 

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