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カイリーと緑のトンネル  作者: アズ
第2章 龍の巣と時代の幕開け
33/51

占い師

 エリア31、そこにアイアスは兵士を連れて現れた。兵士と言っても少数だ。暴動なら、エネルゲイアを使って素早く鎮圧するだけだ。単なる事故なら、連れてきた兵士に火元の調査をしてもらうだけだ。

 アイアスはタブレット端末を見ながら火災が発生した場所へ向かった。マップ通りに行くと人間の居住エリアに来た。だが、何かおかしい……すれ違う人間達は普段と変わらない様子で、時々此方に奇異な視線を向けてくるぐらいだった。その為、アイアスはもう一度マップを見て確認する。マップには確かにこの先を示していた。

「どういうことだ! 火事なんて起きてないじゃないか」

「今、確認してきます」

 部下の兵士がそう言って駆け足で居住エリアへ向かう。

 アイアスは腕を組み、その部下が戻ってくるのを待った。

 暫くして、部下が駆け足で戻ってきた。

「ご報告します。どうやら火災報知器の誤作動のようです。火災は起きていませんでした」

 アイアスは舌打ちした。

 無駄な時間を過ごした!

「戻るぞ」

 アイアスはそう言って足早に踵を返しエリア??に向かった。恐らく、その頃には既に七名全員が集結し終えているだろう。




 その頃、カイリー達のいる会場では消火が終えリングの整備に時間を要していた。

「どういうこと?」カイリーはレインに訊いた。

「係員が言うには火災報知器が作動しても偽情報を送るよう仕掛けがされてあるんだって。他にも色々ヒュレーに内緒でイジってるみたいだよ」

「それじゃここにヒュレー軍は来ないってこと?」

「そういうこと」

「どうりで余裕そうだったわけか」

「それより次はボニーだよ」

「確か対戦相手は……」

「そう、今回の注目選手。予想だけどそいつもエネルゲイアを使ってくると思う」

 ボニーはまだエネルゲイアを使えるまでは達していない。

「正直、私が戦った相手もボニーの対戦相手もこの中で勝てるとしたらあんたしかいないと思うんだ」

「それはどうだろうね……パイロキネシスに対して私のエネルゲイアは火を防げるわけじゃない。逆にレインで勝てないパイロキネシス使いじゃ勝ち目はないかも」

「本当に?」

「でも、その前にそいつはボニーかボニーの対戦相手と明日戦うことになる。ボニーがもし負けたらその注目選手とそいつが戦うことになる」

「そっか」

「それより私が気になるのはレインの対戦相手が言ったことだよ」

「ダイモスね。確かこの大会の主催者は別にいてそれは強い者を選別する為だっけ? テロスにいるレジスタンスとは違う組織らしいけど」

「本気で世界が再び人間が支配出来ると思う? よほどその組織にエネルゲイア使いがいるってことだよ。それか他の戦力か」

「興味ないね。私達には関係ないでしょ? 金さえ手に入ればさ」

 そう言って指でコインをつくる。

 すると、アナウンスが流れた。

 内容は15分後に試合を再開するというものだった。




◇◆◇◆◇




 ヒュレー国海域、テロス艦隊。その艦隊を指揮する戦艦内、そこにはエルフの元国王が捕われていた。

 これは重要なカードになる。この手札をどう扱うかで戦況は変わる。エルフの連中がどう言おうと、テロスとヒュレーの戦争に割り込んだのだから最悪エルフも戦に引き込めるかもしれない。既にAI『クロノス』は後回しにしていたエルフにも早い段階で目をつけている。『クロノス』の狙いは世界を『クロノス』が管理することだ。だが、そんなことをすればテロスの兵士は疲弊してしまう。こんなに怒涛の勢いで戦争を広げ戦い続けたら休む暇も失う。兵士にとって休息は大事だ。だが、懸念はそれだけではなかった。

 上半身裸には無数の鞭の痕が痛々しく残る。その元王の前に副艦長は痺れを切らしていた。いくら拷問をかけても、麒麟についてどこで知ったかを語らなかった。かわりに喋るのは無駄口ばかり。

「いい加減うんざりだ。本当のことを話したらどうだ」

「随分焦っているな。それもそうか、麒麟の秘密を知られているんだからな……何故伝説の生き物の中で麒麟だけが無数に存在し得ているのか? 単純な話し……あれは麒麟の分身体だからだ。本物はやはり一体しかいない。そして、本体は空中都市にいるんだろ。だいたい予想がつきそうなものだ」

「エルフはテロスを狙っていたのか?」

「違う。何度も言わせるな。これは個人的な目的だ。全ては伝説の生き物の討伐の為だ。俺が麒麟の秘密を知れたのは単独で空中都市に侵入し都市にいる麒麟を討伐しようとして失敗したからだ。その時、そこにいた麒麟は他のと姿が違っていた。それを見て直感したよ。こいつが本体だとな」

「嘘をつくな! 単独で侵入だと? そんなことあり得る筈がない」

「あんたが信じなくてもそれが事実だ。これも言っておくが、伝説の生き物は全て討伐されなきゃならない。もし、一体でも残せば最悪な結末が待っている。これはお告げだ」

 お告げ……エルフの予言の術のことだ。確か、ヒュレーにも『七つの大罪(メンバー)』の中に『錬金術士』と並ぶ『占い師』がいた。

 『占い師』はサイコキネシスの応用で生まれた『錬金術士』同様ジョブに位置する。そのサイコキネシスの応用から生まれたジョブは七種ある。

 お告げなら話は本当かもしれない。

「で、お告げは何だって?」

「世界の滅亡を予言したものだ」

「世界の滅亡!?」

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