表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カイリーと緑のトンネル  作者: アズ
第1章 百年後の新時代(ディストピア)
24/51

青龍VS鉄の鎧

 両者は暫く相見えた。敵意を見せつつお互い様子を見ている。その時、地上の廃墟から一斉に群青色の小鳥達が飛び立ち、空に舞い上がると、まるで青空のような景色を生み出した。青龍は直後、鋭い爪を向け鉄の鎧へと急降下しだした。鉄の鎧はサイコキネシスで地面を強く蹴った。地面を深くえぐり、石火の光の如く距離を詰めると、剣を振り上げた。それはまさに光炎万丈(こうえんばんしょう)、鋭い爪と剣がぶつかった。

 誰が想像しただろうか。絶壁を自力で登りきり、その直後に青龍に挑もうとする者が現れることを。そんな者は馬鹿しかいないと嘲笑われ一蹴されるに違いない。だが、この日は違った。

 衛生から監視していたテロスも地上で青龍と誰かが戦っていると知ったヒュレーも突然現れた鉄の鎧に驚いた。しかも、青龍の鋭い爪を剣で受け止めて見せたのだ。だが、それで終わりではなかった。

雷光(らいこう)

 それは渋い男の声だった。

 鎧は突然発光し、眩惑(げんわく)した青龍は爪を剣から離し後退しようとした。その隙に鉄の鎧は軽快な動きで龍の腹の下にまわり、剣を振るった。

「紫電一閃」

 横一直線に龍の腹を掻っ捌いた。その切り口から赤い血液がとばっと吹き出る。

 だが、その血液からは嫌な臭いがした。それは焦げ臭い感じの…… 、

 鉄の鎧は即座に次の攻撃の手を止めてその場から離れるよう再び地面を蹴って加速した。

 その離れた血液から青い火がぼっと出ると直後大爆発を引き起こした。

 青い炎が周辺を燃やした。

 鉄の鎧は体勢を立て直し青龍を見上げた。すると、先程つけた傷口がもう塞ぎ終わろうとしていた。青龍はヒーリングが出来たのだ。

 鉄の鎧は剣を再び構えた。そして、またあの光を放ち出した。青龍は目を細める程に眩しいその光から逃げるように一旦空へとあがり出した。




 その頃、『龍の巣』エリア??で地上に謎の鎧が出現し青龍と戦闘を始めていると知ったアイアスと色欲の錬金術士はモニタールームでその映像を確認していた。

「青龍と互角にやり合ってるだと!? あれは何者なんだ」

「あの身長からしてヒュレーでもエイドスでもないね。鎧の頭はテロスの特徴的な頭部のかたちでもないからエルフか人間……だが、エルフはそもそも弓矢を武器に使う。剣を使うエルフは聞いたことがないが……」

「まさか、あれと戦っているのが人間だと言うのか!? バカな、サイコキネシスを使いこなしてるぞ」

「…………とにかく、一つ分かったことはあの鎧がなんであれ、エネルゲイアが『光』だということだ」

「光のエネルゲイア……俺は初めて見た。闇の次に少ない筈だろ。それをこうも堂々とヒュレーとテロスが見ている中で……あいつ、何が狙いなんだ」

「青龍を倒すとか」

「本気で言ってんのかそれ」

「もし、青龍が倒されたらどうなる?」

「どうなるってお前……そんなこと万に一つも起きやしないだろ。伝説の生き物だぞ。見ただろあの超高速再生能力を。あれは死なないから伝説なんだ。それが死ぬ? あり得るのか? そんなことが」

「万に一つは起きるかもな」

「あり得んだろう…………」




◇◆◇◆◇




 空に逃げだした青龍に驚いた小鳥達は周りの空へと逃げるように移動し、空に円形の穴のようなものをつくる。その中心に青龍が辿り着くと、方向転換し地上をまた見下ろした。その目は怒りに満ちていた。そして、その恐ろしい口を大きく開いた。

 対する鉄の鎧は逃げずに剣を構え続けた。

「錦・天弓七彩(てんきゅうしちさい)

 剣を振り上げ、そこから七色の光が放たれる。その同時に龍の口から炎のブレスが放たれた。

 両者の攻撃はその間の空中で衝突し、拮抗し続けた。空気が振動し、草木が揺れ動く。そして、遂には拮抗したまま爆ぜると、空中で衝撃波を起こし、廃墟となった建物や木々を破壊していった。

「あまり派手にやり過ぎると、向こうの石棺にまで影響を及ぼし兼ねないな」

 鉄の鎧はそう言うと、一旦剣を鞘におさめた。そして、鉄の鎧は来た道を引き返すように走ると、断崖絶壁の崖から飛び降りた。

 青龍は自分を傷つけた敵が背中を見せて逃げる姿を見て降下し、敵を追いかけ始めた。

 海へと落ちた鉄の鎧はそのまま鎧の重さで海に沈むかと思われたが、そうではなかった。海面の上に立って、再び走り出した。

「俺は他の奴らと違ってサイコキネシスで空を飛んで移動が出来ないんだ」

 そう呟きながら追いかけてくる青龍を見てまずまずだと心の内で思った。




 こうして、両者の戦闘は『龍の巣』から海へと移った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ