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六から十
06
白墓は 蜷の閉ざしに 嫠婦印し 古りにし里の 何は変はらじ
しらはかは になのとざしに りふしる(し ふりにしさとの なにはかはらし)
07
深雪降る 春日の山の 桜原 草の間矢篦か 縋る不軌弓
みゆきふる かすがのやまの さくらは(ら くさのまやのか すがるふきゆみ)
08
草枯れて 苦果に外様や 問ふ薺 ふと山里に 隠れてか咲く
くさかれて くかにとざまや とふなづ(な ふとやまざとに かくれてかさく)
09
失楽は 老けて怪我にて 十一鞭 糸手にかけて 今日は暮らしつ
しつらくは ふけてけがにて といちむ(ち いとてにかけて けふはくらしつ)
10
流れつつ 水も知らへし ことの音の 今年減らしも 罪綴れかな
ながれつつ みづもしらへし ことのね(の ことしへらしも つみつづれかな)