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間4 居酒屋にて

「なかなか聴きごたえのある話だった」

「それはどうも」

 これ以上ないプライベートを晒した。もう怖いものなどない。

「確かに君に責はないな。四回全て相手の男か、その男にすり寄ってきた相手が悪い」

「最後のは、良いとか悪いとかの問題じゃないような気がするわ」

「で、その過去は過去として、だ。今の君は完全にフリーなのか?」

「ええ、そうよ。って言うか、ここまで来て今更もう恋愛だの結婚だのは、ウンザリよ」

 その目元が赤くなっている。どうやらかなり酒が回っているようだ。

「この四回の事情を知ってる人は少ないわ、家族は三人目のことは詳しくないしね。地元の幼なじみが一人と、本社時代の同期、それから今の支社で知り合った友人二、三人かな。でね、その人たちに言わせると、わたしって見事なまでの当て馬なんですって」

「当て馬?発情させるための馬の事だったか。だが、確かあれは(オス)のことだぞ」

「人間相手に使うなら、オスもメスもないわよ。なんでもね、わたしに惹かれた相手って、妙に色気が出るんですって」

「ほう」

「それまで大して気にもならなかったのに、わたしと付き合いだすと、なぜか視線がその相手に向くんだとか。よくわかんなかったけど」

「それで、浮気相手が擦り寄ってくると言いたいのか」

「って言うか、浮気でもいいから相手してほしい、みたいな気分にさせられるんじゃないかって。そう言われてみれば、確かに発情を促す当て馬と言えないこともないわよね」

 そんなつもりが一切なくても、たった一人だけを愛していたとしても。

「ふらっと、他所に視線が他に向くことってあるじゃない。で、目が合って向こうから寄ってこられちゃ無視もできない、気づいたらにっちもさっちも行かなくなってる」

 そういう状況が何度も続けば、そりゃあ当て馬扱いされても仕方がない。

「だからと言って、悲しまない訳ないじゃない。」

 なんだかんだ言っても、要は千里は彼らに捨てられたのだ。

不幸になれ(くたばっちまえ)、とまでは言わないわ。でもね、人を踏み台にして得た幸せを見せつけるな、って言いたくなるのは当然でしょう」

「…まぁそうだな」

「義弟になって実家を預けた洋二はともかく、後の三人はもう会いたくないわね。いえ、洋二と小百合にだって、できれば顔を合わせたくないわ」

「…」

「わたしと付き合いたい?結婚を前提?良いわよ。でも、もし他の女や男にちょっとでも靡いたら、殺される覚悟でいなさいよ」

「いや、そんなことは…。少なくとも男はあり得ないが」

「はっはぁ、そんな気楽なことを言えるのは今だけよ。男なんて、ワンチャンあるかもってだけで、頭も下半身もバカになるんだから」

「酔ってるな。もうやめろ、何杯目なんだ」

「んーん、まだポン酒が三杯…四杯だっけ?そんなもんよ。この位で酔いつぶれないわ」

「いや、もっと行ってるぞ」

「えー、なんかすっきりして、美味しいお酒なのにー」

「気持ちがすっきりしても、躰はそうもいかないぞ」

「あらそう、じゃあこの際、気持ちだけじゃなくて躰もすっきりさせてよ」

「言ったな。キャンセルは効かないぞ」

「それはこっちのセリフよ。いい、婚約ってのは結婚する約束であって、破棄するためにあるんじゃないんですからね」

「そんなことは常識だろう」

「その常識をことごとくひっくり返された身にもなってよ。言っときますけど、次があったら思いっきりゴネてやるって決めてるんですからね。弁護士だって訴訟だってやってやるんだから、全財産大穴に突っ込む覚悟で来なさいよ」

「上等だ、当てられてふらつく愚か者と一緒にしないでもらおうか。俺のツキを舐めるなよ」

「じゃあ勝負と行きましょうか。――すいませーん、お愛想をお願いします」

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