表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能おっさんの異世界奮闘記  作者: 成田力太
第4章 神設定な魔物編
73/357

第73話 本能の真意

凡太がグレントンに特攻する。

交戦開始だ。


「責任放棄して死ぬのは許さないわよ!」

「絶対にあなたを死なせない!」


誰に言われるでもなく、アイとレイナが凡太に全力で体力回復魔法をかける。

魔力はレオの強化時に大分使っていたが、その時以上の魔力を絞り出せていた。

あの男の命がけの姿とそれを死なせたくない想いの強さがさらなる力を生んだのだ。

この姿をみてノーキン、メアリー、ワレスが後ろで控えていた軍団を呼び出す。

呼び出された軍団は初めこそ戸惑ったが、命がけの凡太の様子をみてすぐに状況を理解し、各々彼に負けないくらい全力で回復魔法をかけた。

 この場にいる味方全員が最後の1滴まで魔力を絞り出し、疲労でその場に仰向けになる者や、座り込む者が現れる。こうして、仲間すべての力はあの無能男に集約された。


集約された力を得た男の動きに変化が現れる。

最初に気づいたのはもちろん対戦相手のグレントンだ。

先程の交戦時では互いが攻撃を撃ち合い交わすような一進一退の状態だったが、グレントンが攻撃をしようとする瞬間に攻撃されるようになった。当然グレントンはそれをかわす。そして攻撃をしようとするとまたその瞬間に攻撃されそれをかわす。これが先程から5分間ずっと続いている。つまり、グレントンは防戦一方になっていた。



「あの状態になってから、さらにボンタ殿の動きが速くなっていませんか?」

「うむ。おそらく本能で行動している為、今まで行動を予測するときに生じていた脳の処理時間が短縮され、予測と行動が同時に行えるようになったのだろう」

「即決行動ということですか…。体で覚えたからこそできる鍛錬の極みのような行動ですね」

「左様。しかし、これは相手の動きをつねに分析してパターン化する習慣をもった者にしかできぬ。分析結果が正しくないと即決行動しても見当違いの行動をする場合があるからな」

「つまり、ボンタ殿だからこそできる行動ということですか…」

「うむ。師匠は弟子の成長を喜ぶものだが、こうも圧倒的に成長されると悔しいものだな」


ムサシマルとノーキンが凡太の動きに関心しているところで防戦一方になっていたグレントンに攻撃が当たり始める。このわずかな優勢を利用し一気に畳みかけるように念動弾の量を増やす。


このまま押し切れると誰もが思った瞬間、


「防破重壁」


定番の奥の手が発動する。


防破重壁は防御系スキル。緑色のオーラが自身の身体をまとう様に発生。防御力は凡太の威力の増した念動弾が全く通らないほど強固なものだった。その後、凡太が百発ほど念動弾を当てるも傷すらつけらないほど見事に防がれた。


凡太が諦めたのか空を見上げ始めた。

何を思ったのか、空に向かって念動連弾を放ち始めた。


「とうとう頭がおかしくなりましたか。隙だらけなので攻撃させてもらいますよ」


グレントンはそのまま攻撃しようと構えたが違和感を覚えた。

凡太だけでなくムサシマルや他の者全員が空を見上げていたのだ。

そして見上げた者全員が驚きと称賛の入り混じった表情をしていた。

その反応の正体が気になり、グレントンも空を見上げる。


そして膠着。


空には巨大な念動弾の塊が浮かんでいたのだ。


「今度は小石ではなく、隕石ですか」


 凡太の規格外の進化を称賛するように呟くノーキン。

そして自身は小石で済んだのに、隕石サイズの念動弾で挑発されるグレントンに少しばかり同情する。


「これが主役の力だ。思い知れ、グレントン!」


 レオの台詞と共に隕石はグレントンめがけて降下してくる。

見た目に反し、もの凄い速さで。


膠着が解けたグレントン。

避けようとするも時すでに遅し…。


直撃!


一瞬にして砕け散る防破重壁のオーラ。

念動弾数百発分の威力が圧縮されたものである為、砕かれるのは当然だ。

そしてオーラと共に消滅していくグレントン。

一瞬の出来事の為、断末魔すらあげられなかった。


この圧倒的威力の技をみてノーキンが何かに気づく。


「助力本能で他者を鼓舞して力を与えると、助力者が危機に陥った時、助力された者が与えられた倍の力を助力者に返す。つまり助力した者が多いほど自身の力が何倍にも増幅するという事になる。これは人の返報性を利用した恐ろしい能力…。助力された者は助力者が全力で助力するほどより全力で返さなくてはいけなくなるのですから…。さらに恐ろしいのは本人には、この能力の絶大な効果の自覚がないこと。自覚があれば、疚しい気持ちで助力する為、返ってくる力が減ってしまう。しかし、自覚がなければいつも全力で助力できる為、全力の力が返ってきやすくなる。これで無能だとは笑わせる。大した有能者ですよ…」


ノーキンの助力本能の本質分析が終わると共に戦いも終わった。

凡太が気絶から目覚め、いつものようにあたふたしていた。

その様子をみて皆が緊張を緩める。


アイ、レイナが走って凡太に近づいていく。


隙だらけの腕に向かって――


ボシュ! 

ドサッ


凡太の両腕が当然地面に落ちる。

肩下からキレイに切断されていた。


「かわせないのなら攻撃(手段)そのものを破壊すればいい…。あなたから学んだことが早速役に立ちました。ありがとうございます、あなたは良い教師だ。もちろん反面教師の意味ですがね」


木陰から突如現れた分裂体グレントンによる決め台詞。

隠蔽魔法で潜んでいたようだ。

察しの良い者なら気づいただろうがグレントンが100体に分裂した時、本来なら101体がそこにいるはずだったが、100体となっていた。その余剰分の1体が今の潜伏していた分裂体である。


止血の為、治療魔法をかけるアイとレイナだが魔力が切れかけの為、魔力を練り上げるのに手間取っていた。


 他の皆も魔力切れで疲労困憊の為、応援に行こうにも行けない。

 

「隙を与えて頂いているのに攻撃しないのは失礼ですよね?その厚意に再び甘えて、今度こそ抹殺してあげますね」


 絶望の根源が希望を断つ為、行動を開始する。

 現実は大体絶望7割、希望3割。

 現実の厳しさを絶望が学ばせてくれているのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ