表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能おっさんの異世界奮闘記  作者: 成田力太
第3章 フレイフ王国救済編
58/357

第58話 1対100

朝7時、ガンバール村


「昨夜村の周辺を偵察していたら、おまえの言っていた通り、北の森で不審な集団が野営しているのを見かけたよ」

「偵察ありがとう。やっぱり“大切なもの”はこの村のことだったわけだ」

「100人はいたぞ。しかもかなりの手練れだ。あれとやり合えば無事では済まんぞ。やはり俺も加勢する」

「駄目だって。最初に説明しただろ?誰かの助けを借りたことがバレたらアイの安全が保障されなくなるって。だから一人で行くよ」

「体は万全なのに親友を守れない。なんと不甲斐ない事か…」

「そう落胆しなさんなって。適当に削れるだけ削ってやられたらすぐそっちに集団が流れてくるだろうし、その時は頼んだぞ」

「任せておけ」


そう言って一人で村の出入口へ向かう。

そこでレイナに呼び止められる。


「犠牲になる考えは変わらないのですか?」

「うん。レオのトラウマ克服には誰かが瀕死状態になることが必須条件。この村で一番価値のない俺が最適任だからね」

「あなたを失うわけにはいかない。隠蔽魔法を使って着いていきます」

「向こうには隠蔽を見切るのに長けた人が居そうだしやめてくれ。それに向こうは“壊す”と言っただけだから叩きのめすだけで殺されると決まったわけじゃないだろ?」

「ですが、殺される可能性はやっぱり残ったままじゃないですか?危険です」

「この犠牲は誰かがやらないといけなかったこと。それがたまたま俺だっただけの話だ。後は任せたぞ」


背中で語りながら死地に向かう漢になった凡太。

その姿を黙って見送ることしかできないレイナ。


(今回は超格好悪い…尻ぬぐいはモーブ達。打開策は全てレオに丸投げ。相変わらず他力本願全開だ…)



~~~



朝8時、北の森。

ワレスと精鋭騎士100人が野営するところに凡太が一人で歩いてやって来る。

ワレスがそれに気づく。


「よくぞ私の狙いに気づいた。このような状況でなければ家臣として雇ったところだ」

「どうもありがとうございます」

「私は忙しい。開始は朝9時と言っていたが、こちらは非公認決闘であるから…早速始めさせてもらうぞ!」


そう言って騎士に指示を出し、凡太に突進させる。


1対100。

しかも向こうは自分達より弱い相手。

それほど時間はかからないだろう。

と、ワレス達は思っていた。


しかし…


予想に反し5分、10分と粘られる。

どういうことだろうか?



(地の利が大きい)


凡太は背後へつねに太木を置くことで背後からの攻撃を少なくさせ、正面からの攻撃の防御に集中していた。


(少数対多勢の戦い方に慣れていない)


太木効果もあり1対100でも凡太に対し打撃できるのは前衛にいる3~5人程度である。後衛は攻撃をしようにも前が詰まっているので、待機することしかできない。しかも凡太は短時間で騎士全員の力量を分析し、その中でも力量が低い者を選出し前衛に回らせ、自身を攻撃するように誘導していた。


(俺に魔法無効化能力がないことを知らないのも大きい)


魔法が効くとなれば追尾魔法や遠距離狙撃魔法の餌食になっていたところだが、この世界の住人特有の“魔法無効化能力を持っている”という固定概念が働き、凡太を無効化能力者と誤認させているのだ。

また、近接戦闘なので斬空破が味方に誤射されてしまうことを恐れて使ってこないことにも助けられている。


これら利を最大限に利用し、余力を生み出した後、いよいよ反撃に転ずる。


「体魔変換」


自身の体力を魔力に変換させ、


「念動弾」


後衛に向かって放つ。

攻撃力の低い前衛を残らせた方が凡太の耐久時間が延びるからだ。

いくら攻撃力が低いとはいえ、精鋭である。

確かに凡太の身体能力は修行により飛躍的に向上したものの、まだ一般人の範囲内。

強者の攻撃はかわし切れず、防ぎきれずに命中していく。

与えられた攻撃ダメージは確実に凡太へ蓄積していった。

それでも隙あらば念動弾を放ち魔力を削っていく。


一進一退の攻防が30分続いた。


ワレスはしびれを切らし、


「いつまでやっている!そいつの目的は足止めだ10人だけ残して後の者は村の襲撃に向かえ!」



まずいな…どうする?

足止めとばれた以上、わざわざそれに付き合う必要はない。

となれば、足止めせざるを得なくすれば良いわけだ。



いつものようにニタリと笑うと、


「体魔変換・開」


凡太が技名を発する。

自身の魔力量が急激に増加し始めた。


これには、襲撃に向かおうとした騎士達も立ち止まる。

強い者ほど敵の力量を感じとる能力が長けている。

彼らは凡太が自分達を脅かす力量を持っていることを認識したから立ち止まったのだ。

襲撃作戦にとって厄介な存在であるということ。

放ってはおけないということ。

これらの理由により“足止め”が成立する。


体魔変換は通常一度に変換できる量が決められている。

“開”ではその制限を無理矢理解除することで一度に変換できる量を大幅に増やせる。

しかし、自身の体力も急激に減少する。

凡太の体力は高い方だがそれでももってあと20分が限界だろう。


凡太は他者の肉体強化魔法しか使えない。

この状況では味方がおらず、この魔力量の大幅増加は意味がない。

自身の体力を減らすただの毒だ。

そんな役に立たない毒が足止めを成立させた。

自分への毒が相手への毒に変わったのだ。


まるで無能が有能に変わるように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ