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無能おっさんの異世界奮闘記  作者: 成田力太
第3章 フレイフ王国救済編
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第57話 決闘予告

次の日の朝。

凡太とレオは手紙の約束通り、フレイフ王国の城まで来ていた。

こちらに気づいた門番が中に入れてくれ、すぐに案内係が来て城内へ。

大きな広間に連れていかれる。

真ん中に大きな机と椅子。会議室のようだ。

防衛大臣、外務大臣、経済産業大臣、教育長、特別教育長と書かれた長方形のプレートが置かれた席にそれぞれ座っている。全員スーツ姿で男性。特別教育長の後ろには邪魔にならない距離感で付き人が立っていた。教育長の席だけ空いている為、今日は欠席のようだ。

錚々たる顔ぶれの中、一番奥に座っている人物がこちらに気づき声をかける。


「久しぶりだな、会えて嬉しいよ。元気そうで良かった」

「こちらも会えて嬉しいです、兄上」

「そちらがタイラ・ボンタさんでよろしかったかな。この度は行方不明だったレオとアイを見つける手助けをしてもらい感謝している」

「お役に立てたようで何よりでございます」

(最低の手助けですがね…。この人がワレスか。知的で策略面に長けていそうだ。アークのように簡単にはいかないだろうな)


ワレスの身長は170cmほどで体格はノーキンほどではないがラグビー選手並みにがっちりしている。茶色のスポーツ刈りのような髪型。服装は貴族が着るような金の装飾のある少し派手なスーツだ。笑顔が似合う社交的な顔つきをしている。この部分はレオと兄弟であることを認識させられる。


「私は内政で忙しい。すぐに本題に入らせてもらおう。この国とガンバール村のちょうど中間地点に城の跡地のような場所があっただろ?そこへ明日午前9時までに集合だ。そこでこちらは精鋭100人とそちらは2人で決闘を行ってもらう。それに勝てたらアイのことは少し考えてやろう。分かっていると思うがこの事は他言無用だ。もし話して援軍を連れてこようものなら、分かっているな?」

(人質に危害が及ぶ。最悪処刑)


席を立ちあがり、レオの下まで歩いてくるワレス。

目の前で立ち止まると、


「明日はお前の大切なものを壊してやる。楽しみだよ」


そう言い放ち、部屋を出ていった。

それに倣うように錚々たる顔ぶれも退出していく。

レオはトラウマの影響かフリーズしていた。

肩を叩いて正気を取り戻させ、この場を後にした。


部屋から出たところで緊張感が解け、膀胱が緩んだのでトイレを案内人にトイレの場所を聞き一人で用を足しにむかった。

用を足した帰りに特別教育長と付き人がしゃべっていた。

気になったので物陰からこっそり聞き耳を立てる。


「うまくいっているようで何よりだよ。これからもこの調子で頼むよ」

「承知しました」


声だけ聞くと特別教育長が付き人に向かって褒めているように聞こえるが、実際はその逆。

付き人が特別教育長を褒めていた。

不可解な上下関係。

これの意味するものは…。


「今回は随分とめんどくさい相手だな」


凡太はそう呟き、レオの下へ戻っていった。



特に何も話すこともなく気まずい雰囲気で帰路を行く二人。


そんな中、凡太が急に口を開く。


「2対100じゃ絶対死んじゃうよ」

「仕方ないよ。アイを助けるにはこれしかないのだから」

「最後壊すって言っていたよね?殺す気満々じゃん。怖いよ…行きたくないよ…」

「だから仕方がないって言っているだろ!」

「知らないよ!もう危ない事に巻き込まれるのは御免だ。どうせ俺なんかいても役に立たないのだし明日はレオ一人で行ってよ!」

「君がそんなに根性なしだとは思わなかったよ。君がいたところで足手まといになるだけだ。来られても邪魔なだけだし、当日は家でガタガタ震えているがいいさ!」


珍しく怒りを露わにする。アイの一件で相当参っており、心の余裕がなかったことが窺える。そのまま凡太を置いて村に帰っていった。



~~~



決闘当日の朝7時。

レオは1人で集合場所に向かう。


対する凡太はというと家にはおらず、こっそりレオの後を着いていったのかと思いきや、モーブと話していた。


どうやら行く気はないようだ。



凡太とレオ。

親密な二人の仲は一瞬で壊れ、今や互いを疎ましく思う関係に。


モーブの話を聞き終えニヤリと笑う無能男。


親友は危険地帯。自身は安全な場所。


その笑顔の魂胆はさぞかし優越なものだろう。



~~~



朝8時。


レオが集合場所に到着。

精鋭100人も既に到着済みだ。

西洋騎士のように全身鎧姿だ。


精鋭部隊の隊長がレオに話しかける。


「おや?1人だけですか。もう一人はどうしました?」

「足手まといだから置いてきました」

「レオ様は勇ましいですね。でも手加減はしませんよ」

「はい、望むところです」



朝9時。決闘が始まる。

修行での急成長もあり、本来の実力であればなんとかなるような状況であったが、精神的主柱であるアイと凡太を失った状態では力が大幅に落ち、一方的に押されていった。


「どうしました。こんなものですか?」

「…」

「我々も暇ではないのでそろそろ押し切らせてもらいますよ!」


そう言って隊長がレオに止めを刺そうとした瞬間、


「伝令!ワレス様の隊が何者かの足止めを食らっている模様!」

「誰だ、その者は?」


(兄上が足止め?どういうことだ。兄上は城にいるはずでは?まさか…)


今まで精神的負荷によって制限がかけられていたレオの思考能力が一時的に回復し高速回転し始める。


ボンタは意味のないことはしない。

帰り道のあの発言は僕を欺くための嘘。

何から欺くためだ?

兄上の発言…

僕の大切なものを壊す。

大切なもの…

そうか…そういうことか!

僕としたことがこんな大事なことに気づかなかったなんて!

ボンタはとっくに気づいていた!

だから僕に嘘をついてわざと失望させた。

やっぱり君は――


「タイラ・ボンタです!」


僕にとっての“勇者”だ!

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