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無能おっさんの異世界奮闘記  作者: 成田力太
第2章 サムウライ村救済編
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第46話 最新体力測定器

修行3日目以降の流れは変わらずだが、凡太だけ奥義習得のための修行が加わり夜23時までの修行となっていた。

そして、凡太は奥義習得の前段階である技”体魔変換”の習得で変換の感覚が掴めずてこずっていた。


「体力と魔力を”混ぜる”イメージというより、体力を”吐き出す”イメージでやってみよう。風船の中に空気を入れるような感じで…」

このイメージが見事に当たり、コツを掴んだことで体魔変換を習得できた。

ここまで1カ月はかかってしまったが。


そして、奥義”念動弾”の習得に入る。

これも最初は訳が分からず、拳に魔力を溜めて放出するイメージでやっていたがうまくいかなかった。

それ以降もあれこれ試した結果、拳の前に魔力の塊とした球体(野球ボール)を想像し、それを殴って飛ばすトスバッティングのようなイメージでやってみるとうまくいった。どうやらこれがコツだったようだ。このコツを掴んでからは習得まで一直線であった。

ここまでで3カ月経過。


最後に忘れてはいけないのが、他者強化魔法の件である。これに関してはまるで最初から使えたかのようにすぐに使えるようになった凡太。このような適性があったのは他人を助力することで鍛えられた他人の分析能力と他人が欲しているものをいち早く察する思考が関係していると思われる。

使えることを知ってしまえば、後は習うより慣れろである。

凡太は修行中、レオ達を実験台に強化魔法をかけまくった。


最初の1週間はこんな感じだ。


的当て中のアイへの強化魔法。


「このタイミングで強化されても困るんだけど」

「ごめん。どのタイミングがいい?」

「私が腰に捻りを加えた瞬間かな」

「分かった。次はそれでやってみるよ」



壁登り中のレオへの強化魔法。


「うーん。この強化量だと指が壁深くまで刺さって登りずらいです」

「分かった。じゃーこれくらいならどう?」

「今度は弱すぎます」

「これは?」

「これなら丁度いいです」



モーブの的当て中。


「…!」 

強化魔法がモーブの重心移動に合わせてベストタイミングで足にかかる。 


「…!」 

斬撃が的にクリティカルヒット。

無言で互いに親指を立てる。


このように聞いては試すを繰り返した。

この強化魔法の試行錯誤に巻き込まれたレオとアイは最初こそ少し疎ましく感じていたもののそれが3週間も続くと…


アイの的当て中。


「ナイスタイミング!丁度右腕にかけてほしいって思っていたときにかけてくれたからすんなり的に打撃が当たったわ」



レオの壁登り中。


「助かりました。ちょっとスタミナ切れで指に力が入ってなかったのでなんとか持ちこたえられました」



モーブの的当て中。


「…」

モーブの跳躍と同時に両足に強化魔法。

的の気配を読んでいたモーブの頭突きが的に炸裂。


「…」 

二人ともお互いが右親指をたてる姿を想像。

そして頷き合う。


なぜか1名だけは最初から強化魔法のタイミングを把握していたが、残りの2名も無事把握することができ、実用化レベルが上がっていった。


この様子を遠くから微笑ましく見守るムサシマルとノーキン。


なぜか1名だけは最初から強化魔法のタイミングを把握していたが、残りの2名も無事把握することができ、実用化レベルが上がっていった。


この様子を遠くから微笑ましく見守るムサシマルとノーキン。


「よもやこれほど早く強化魔法を使えるとは思っていませんでした」

「しかも適所で適量をかけておる。これは一朝一夕で身につくものではない。おそらくボンタ殿は過去にこの礎となるような特殊な訓練をやり続けていたのだろう」

「さすがに侮れませんね、ボンタ殿は。…ところでムサシマル殿が今手に持っているものはなんですか?」

ムサシマルが筆箱のような黒い長方形のケースを持っていた。


「これは最新の体力測定器だ」 


ケースを開けると中にメガネのようなものが入っていた。

それを装着するムサシマル。


「体力は身体能力と気力(意思の力・忍耐力)の総合力であることは知っているな」

「はい、存じております」

「この計測器では体力だけでなく身体能力と気力も数値化し測定することが可能なのだ。数値は身体能力と気力の最大値が50で、体力はそれらの合計表示なので最大100だ」

「最大50ですか、随分細かく測定できるのですね。…そうだ、まず私を測定してもらってもよろしいですか?」

「いいぞ。では測定する」 


焦点をノーキンに合わせメガネの右フレームにあるスイッチを押す。

ピッ  

音と共にメガネが光る。


「測定結果は体力85、身体能力45、気力40だ」

「ちなみにムサシマル殿はどれほどですか?」

「私は体力90、身体能力45、気力45だ」

「さすがムサシマル殿。私より高い数値だ」

「こんな差など微々たるものよ。さて…」


ピッ 

今度はレオに焦点を合わせ測定


「体力72、身体能力42、気力30。優秀だな。今後の伸びしろを考えればさらに数値は向上するだろう」


体力の基準は以下の通り。


強者      体力70以上

中堅者     体力40~69  アイは65

異世界一般人  体力20~39

現実一般人   体力19以下


「ムサシマル殿、そろそろ…」

「分かっておる。あの男だな」


ピッ


測定結果を見て、ムサシマルが急に黙る。


「どうかされたのですか?もしかしてよっぽど低い数値だったのですか?」

現実一般人の基準は体力19以下なので、その中でも低い方の一桁数値を想像するノーキンだったが、それに反した数値をムサシマルが発した。


「体力78…」


「どういうことですか?あの男の体力は一般人以下のはずでしょう?」

「身体能力は8だった」

「紛れもなく一般人以下…ということは!?」

「気力が70だ」


高すぎる数値に驚く2人。迅速に事の処理を始める。


「確か身体能力と気力の最大値は50だったはずですよね?だとすれば測定器の故障なのでは?」

「それも考えられるが、つい3日前に買ったばかりだからな。それが早々に故障するとは思えぬ」

「ではあの数値は本当の数値だったと?」

「分からぬ。なにせ最大値が50となっているからそれ以上の数値の信頼性が皆無だからな」


2人が答えの出そうもない問題に四苦八苦していると急にメガネがショートし、火花と爆音と共に壊れる。


「どうやら測定器の方も限界だったらしいな。先程までの我々の思考のようにな」

真面目な顔でのムサシマルジョークがビシッと決まる。

ノーキンは「別にこんな時に無理して言わなくても」というような顔をしている。


そしてムサシマルが急に眼に涙を浮かべる。


(誤数値とはいえ、自分の気力を上回れた可能性があることを知ってよほど悔しいのだろう。真面目なお方だ)


ノーキンが宥めようと近づくと、


「高かったのに…私の貯金の3分1は使ったのだぞ…」


高額測定器が壊れたことによる涙だった。


「それは残念でしたね。まぁ良い経験ができてよかったではないですか」


こうして漢泣きを続けるムサシマルをノーキンが宥める形で帰路に向かう。



あの体力数値は正しいものなのか、それとも誤認か。

その答えは今後もあの無能な男を見守り続けることで明らかになるだろう。



 他者強化に関する捕捉。

 他者強化は他人の体格や動きに合わせないといけないので、自己強化より難度が高い。故にそれだけで脳のキャパを結構使ってしまう。

 昔は他者強化を専門で扱う戦士が何人か居たのだが、それに特化していたせいで自分の守りは疎かになって戦場で真っ先に狙われて殺されるという事が多々起こった。

 これらの事から、この世界の人達は他者強化をするくらいなら、自己強化を磨いて助力する形の方がマシだと考える様になった。それもあって、現在では他者強化がまともにできる人間はほとんど存在しない。

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