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無能おっさんの異世界奮闘記  作者: 成田力太
第2章 サムウライ村救済編
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第42話 徹夜明けの日常

朝10時頃。ガンバール村に帰還。

凡太、バンガル、アイ、レオ、モーブの5人はそのまま明日の準備の為別れた。


徹夜明けの為、目をこすりながら凡太がまず向かったのはゼノンの木造の家だった。

ゼノンの家の中は彼が工作を趣味としている為、様々な工作品でいっぱいだった。


「ゼンさん、おはようございます」

「小僧か。あれはもうできておるぞ」

「ありがとうございます、また使わせてもらいますね」


あれとは、ゼノン特製の加圧ベルトである。

原理は加圧トレーニングの加圧ベルトそのもので、ゼノン製は魔法によりベルトについている目盛りをいじることで圧の微調整が可能となっている。

このトレーニングでは、圧で血流を少なくすることで成長ホルモン増加、血流量増加、代謝向上、筋肥大(速筋が小さい負荷でもきついと状態を勘違いし使われやすくなる為)などの効果が見込める。つまり、本人へのきつさは変わらないが、少量の負荷で高い効果を得られる効率の良いものだ。

なお、加圧魔法は弱体化効果とされる為、この世界でこのベルトを使えるのは魔法無効化ができない凡太だけである。凡太は最終的な考案としてこのベルトを皆の修行に役立てたい為、魔法無効化による弱体化性能の除去についての解決策を模索中である。


実はアイの試合1カ月前の少し修行に余力が出てきた時期に、さらなる向上を目指しこのベルトの発明をゼノンに依頼していたのであった。

ゼノンは丁度防衛壁や修理案件が減っていて暇をしていたところだったので快く発明を引き受けてくれた。

そして試行錯誤し、一週間後に試作品が完成。

その後は試作ベルトを装着しながら修行することで凡太が実験台となり、使用時の不具合を報告してゼノンが改良していくことを繰り返した。

現在の加圧ベルトはver.1.67である。


「どうじゃ、最近の使い心地は?」

「凄く扱いやすくなりましたよ。微調整も絶妙ですし、最高です」

「そりゃよかったわい。また何か面白いものが浮かんだら儂に話してみるといい。力になるぞ」

「ありがとうございます!その時はまたお願いします」


こうしてver.1.67をゼノンから受け取り家を後にする。



しばらく村を歩いているとシェパンら菓子ブレドー生産チームを見かけた。

何やら目が血走っている。

凡太に気づいたらしく、その目のままこちらにやって来る。


(菓子ブレドー大量生産の件でまだ怒っていたんだろうなぁ…よし、怒りは甘んじて受け入れ謝罪しよう)


凡太がすべてを受け入れ謝罪モーションに入ろうとした時、


「シェパンから既に聞いています。ボンタさん、今回も村を救って頂きありがとうございました。そして今までわざと不快感を与えるような反応をしてすみませんでした!」

(謝罪の先を越されただと?あと俺は村を救っていないし、本当に救ったのはヤミモトさんとサムウライの村人さん。それに”わざと”って何?不快になるのは俺が勝手に大量生産の話を持ってきたから当たり前だし、むしろ俺に不快感を与えていいんだよ。いや是非そうして俺にイライラをぶつけてくれ)


訳が分からなくなっている凡太のことなどお構いなしにそれぞれ礼を言ったり、頭を下げだす生産チーム。とりあえず、どちらも良いに人であることは確かだ。


反応がそれぞれ落ち着いた後、凡太が切り出す。


「とにかくもう大量生産はしなくてもよくなりました。皆さん今まで本当にありがとうございました」

「いやいや、こちらこそありがとうございました」

「だから俺が礼を言われる意味が分からないんだってば。俺だけが礼を言っていればいいの!皆さん本当にありがとうございました!」

「いやいや、礼を言うのはこちらの方だから。本当にありがとうございました!」


謎のお礼合戦がこの後10分間も続いた。

それぞれが息を切らし、出し切ったところでシェパンが疑問を投げかける。


「ところで菓子ブレドー生産は今後どうしていくつもりでしたか?」

「一応過剰摂取はまずいから生産を禁止しようと思っていたんだけど…あれ?」

生産チームの皆が悲しそうにしている。


(そうか。この人たちはつくるのを楽しんでいたんだ。でも、毎日大量生産と大量消費はまずいしなぁ。…そうだ!)

「1カ月の中の1日だけ菓子ブレドーを好きなだけ食べられる菓子ブレドーの為の祭りを開催しませんか?」

「それ面白そうですね。是非やりましょう!」


生産チームに再び活気が戻った。

こうして、菓子ブレドー祭がこの村の恒例行事として追加されたのであった。



~~~



時刻は夜20時。レオ、アイの家。


ウキウキで明日の準備をするアイの姿を見てレオが一言。


「なんだか明日が待ち遠しいって顔だな」

「まぁそんなところです。兄さんだってそんな顔していますよ」

「僕もそんなところだよ」


こうして二人はウキウキ気分のまま準備を終わらし、それぞれ寝室へ。

気づけば2日振りであるベッドの上に横になり、すぐに睡眠に入った。


この兄妹の雰囲気は随分と明るくなった。まるで厚いアクリル板がなくなったかのように。そして、くだらない事を会話できるくらいの近い距離間になった。

その板は確かに修行が始まる3か月前まではそこにあったはずだ。

誰がその板を壊したのか。


それは言うまでもなく無能なあいつの仕業だろう。

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