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無能おっさんの異世界奮闘記  作者: 成田力太
第2章 サムウライ村救済編
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第28話 そういうところ

修行77日目。


2人とも精神的疲労の蓄積感が強く、このまま続けても修行の効率があがらないと考えた。

そこで、思い切って午前だけにして午後はリフレッシュタイムにあてることにした。


そして午後になった。

凡太はある用事を思い出し、そそくさと歩き出す。


「ねぇ今からどこにいくの?」


(なんで折角のリフレッシュタイムに俺なんかについてこようとするんだ?一応あなたの1番嫌いな人物なんですけど。まさか苦行に耐える修行でもしているのか?例えリフレッシュタイムでも修行を欠かさない精神には恐れ入るぜ)


凡太はそんなアイの飽くなき修行精神に感心しつつ返答する。


「養鶏場だよ、ちょっと壊れている箇所があってね。今から修理しに行くところ」


「ふーん」


そう言うと、黙って凡太についてきて横に並ぶアイ。


最近アイの様子がおかしい。

やたらと凡太についてくるようになったのだ。

ある時、なぜついてくるのか尋ねたことがあった。

そしたら、

「顔面不審者が犯罪を犯さないように警備しているだけよ」

と、成程な回答をしたので凡太はそれ以降同行を承認するようになった。



そうこうしている間に養鶏場につく。

そして中に入ると隅の方に20cmくらいの穴が開いている箇所があった。

簡易的に鶏が逃げないよう網のようなものがしてあったのでそれをはずし、穴埋め作業に急いでとりかかる。

しかし、その作業の仕方がどうも奇妙だ。

アイはそれにすかさずツッコミを入れた。


「なんでこそこそしているのよ」


不審者のように周りを警戒しながら作業する様子は良いことをしているのに悪いことをしているようにみえる。そんな不審者が返答した。


「ばれずに作業を終える為だよ」

「なんで?ばれても悪いことはしてないんだし別にいいと思うけど。むしろ、修理しておきますって皆に宣言しちゃったらどう?」

「それだとわざわざしてやってる感が出て恩着せがましいだろ」

「うーん。確かに」

「だから、それを避けるためにこそこそやってんの」

「でもそれじゃ、あんたがやったって分からないし、誰からも褒められないじゃない」

「それでいいんだよ。褒められる為にこの作業をやっているわけじゃなくて、養鶏場の管理者が喜ぶ姿がみたくてやっているだけだしな。それを想像するだけで俺は満足だよ」

「…あんたのそういうところ本当にキモイと思う」

「ありがとう。マドモアゼル」

「褒めてないっつーの」

そう言いつつアイの口元は少し緩んでいた。


「ところで、あなたが管理者に修理しましたよねって詰め寄られた場合はどうするの?さすがにその時は自分が修理したと自白するしかないよね」

「そのときはバンガルさんが修理していたって嘘をつくさ。そうすれば、バンガルさんの評価が上がり貢献したことになるから、バンガルさんへの恩も少し返せてお互いウインウインだ」

「自分への好評価をすり替えるような馬鹿はこの世であんたくらいでしょうね。でも、恩返しかぁ。私も恩人に少しずつ恩を返していこうかな」

(アイの恩人か。まぁレオ君確定でしょ。妹想いの兄と兄想いの妹って最高の兄妹じゃん。微笑ましすぎるよ)


兄妹愛に感激する凡太。この時アイが自分を見ていたことなど当然知る由もない。



隠密穴修理ミッションは誰にも見つからず無事終了。

そして、夕食の時間になった。

2人は食堂へ来ていた。村人が数人すでに食事をしている。

2人は空いたスペースに先ほど調理した料理を運び、食事を開始する。

本日のメニューは照焼きソースチキン、サラダ、ダイズンとヒジキの煮物、フルーツ盛り合わせだ。


「あ、これ私の好きなやつだ」

「そう思ってつくっておいた。喰らうがいい」

「え、何で好きって分かったの?」

「前回それを食べていた時、箸の進みが早かったからな。それにいつもより顔が緩んでいたし」

「そんなところまでみていたの?キモ」

「今日のメニューに肝は入ってないよ」

「じゃー今から追加メニューでお腹にグーを入れるね」

「冗談だって!それはさすがに喰えない!喰らえないって!」


今回はめずらしくグーを入れられずに済んだ凡太。

アイはというと相変わらず顔が少し緩んだままだった。

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