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無能おっさんの異世界奮闘記  作者: 成田力太
第2章 サムウライ村救済編
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第21話 異世界能力ギャップ・アップ編

早朝5時。天候はくもり。気温15℃。

予定通り広場に集まったのは凡太、アイ、レオとモーブの4人。

モーブは昨日の夜、凡太のテントまで来て修行内容について詳しく聞かせてくれとせがんできた。それなら参加した方が手っ取り早いということで来てもらった。

服装は事前に動きやすいものと伝えてあったので全員半袖短パン姿だ。そして各自、心拍数やペース、距離などが表示される魔法を自分にかけ、準備万端。


グダグダやりたくなかったので集まったらすぐに動的ストレッチをやってもらった。次に高ピッチのジョグを15~20分やってほしいと指示した。汗がじんわりでる程度がアップ完了の目安となる。

ちなみに凡太は1キロ5分ペースで徐々にペースをあげていくビルド走を行う予定だ。アップ目的なのでストライドは大きくせず、足の回転数を多くする走り(ピッチ走法)だ。

そして、ジョグがスタート。コースは村の外周だ。当然ながら道は舗装されておらず、でこぼこしている。だが、雑草類や雑木林はなく平地なので、藪漕ぎしなくて済むだけマシである。

凡太は道の感触を確かめるように走っていた。


(久々に走るな。軽く走ってキロ5分ペースか。まずまずだな)


ブランクによる体の衰えを確かめるように走っていると後ろからレオ達3人に抜かれた。急なことで驚いたがなんとなく悔しくなったので追いかけた。それも全力疾走でだ。

突然の全力運動で呼吸のピッチが急減に早くなる一方でペースを確認すると、


(キロ3分ペースだと?アップって言ったよね?)


凡太が驚くのも無理はない。フルマラソンの世界記録保持者が大体1キロ 2分50秒で走るのでそれくらいガチペースに近いのだ。


こうして凡太が死物狂いで並走する中、

「どうしたんですか?」


レオが涼しい顔をして聞いてきた。

「先に行ってくれ。俺のことは気にしなくていいから!」

凡太が最後の肺の空気を絞り出すように言った。それを聞き余裕の表情で去っていく3人。


(あいつら息あがってなかった。本当にアップだったってことかよ。やっぱり身体能力にとんでもなく差があるな。先が思いやられる…)


凡太は落ち込みつつも走り続け、最初の目的“じんわり汗”までたどり着いた。この時点で16分経過だ。丁度レオ達もアップが終わったようでこっちに集まってくれた。ちらっと走行距離を見たら7kmと表示されていた。あまりの速さの結果に見たことを後悔した。


本日のタバタ式のメニューは、

剣振り→反復横跳び→連続パンチ→ジャンプスクワットの4種で、各2回計8セット行う。


これからトレーニングに入る前に各種目の動きの確認を全員でしておきたかったので、まず剣振りから試してみた。

凡太は刃が90㎝ある剣を持った。そして黙ってすぐ置いた。

(重すぎだろ、この剣。20㎏はあるぞ。一応持てるけど振り回せるものじゃないよ)


その後、無理矢理振ろうと試みたが、スロー再生のようなゆっくりとした一振りが精一杯だった。

気を取り直してレオ達が剣を振る様子を見てみよう。剣の方は凡太が両手で持ち上げていたのに対し、片手でひょいと持ち上げていた。さすがに使い慣れている感がある。剣道の面を打つときのように頭後まで振りかぶる。そして時が飛んだかのように一瞬で最初の剣を自分の目の前に構える姿勢に戻っていた。


おかしい。


瞬きの間に見逃したと思い、もう一回振ってもらったが同じだった。振っている姿が速すぎて目でとらえきれなかったのだ。このときの衝撃は例えるなら牛丼並を「いただきます」と言って食べ始めたと思った男が1秒後に「ごちそうさま」と言うくらい凄まじい速さのものだった。

それに音もエグい。速いほど空気との摩擦抵抗が大きくなり、振動数も増えるため、音は高くなる。今回耳にした音は短く「ヒュッ」だった。口笛を吹くかの如く素晴らしい高音域。昔剣道部の人が素振りしていたときの音を思い出すと「フォン」とか「ブルン」でやや低音だった気がする。


(これが人間を超越した者と一般人の差か…)


改めて感じる異世界の能力ギャップに努力しても無駄な気がしてきた凡太だがぐっとこらえ、他の種目の確認も行った。が、全て剣振りの時と同じで動作が早すぎて確認しようにもできない。動いたと思ったら最初の姿勢に戻っている。それが繰り返される。この人外的現象の連続に凡太はとうとう確認を諦めた。


こうして、凡太の大事なものが色々と打ち砕かれたわけだが、まだアップが終わったに過ぎない。本トレーニングはこれからだ。

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