表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦う無能おっさん  作者: 成田力太
第5章 ラコン王国編
186/355

第186話 変態妄想

 レベッカが爆睡中の凡太をおぶり自分の家の玄関前に到着。病院の連絡機器でマリアやアイ達に連絡しており、その時にアイ達から凡太を泊める了承も得ていた。


「ただいまー」

「おかえりなさい。お疲れ様」


凡太の頬をペチペチと叩いて起こす。


「おはよう」目覚めた事に気づき凡太を降ろしながら言う。

「おはよう…。って、マリアさんの家じゃん。何で?」辺りをキョロキョロする。

「ご苦労様でした。もう少ししたら夕飯ができるのでそれまでお風呂に入っていてください」

「はい…ありがとうございます」

 普段なら『ご迷惑をかけるわけにはいきません』と言って断るところだが、疲労によって思考回路が麻痺していたこともあり抵抗なく言葉に従って浴室に向かう。

 

 体を洗い終え湯船に浸かっていると浴室の半透明ガラスのドア前に人影が現れた。その影は服を脱いでいる様子。『幻覚か?』と思っているとドアが開かれレベッカがタオルを体に巻いた状態で入って来た。


「何でレベッカがここに?というか何で裸?」咄嗟に目を逸らす。

「2人一気に入った方が時短になっていいでしょ?というか、水着を着ているに決まっているじゃない」

レベッカがやれやれといった表情でタメ息をつきながら答えた。

一瞬『タオルの下に水着ってどうなんだ?』という疑問が浮かぶも、そのレベッカの態度を見て自分の方がおかしいと無理矢理納得する。


「ですよねぇ。まさかレベッカが裸で入ってくるわけないもんなぁ」

「当たり前じゃない。というか、妄想がひどすぎない?相変わらず変態なんだから」

「はは…申し訳ない」苦笑い。

(それにしても本当に水着を着ているのか?スケスケじゃないか。いや、もしかしたら疲労がたまって変態妄想状態に入っているのかもな。情けねぇ…自重しないと)

 疲労により自身の理性のタガが外れたと思い反省する。理性を戻す為に目を瞑って精神統一のようなことをし出した。

 数分目を瞑っているとシャワーの音が消える。そして「よいしょっと」と言う声と共に凡太の前に何か人型のような気配が現れた。それは凡太に背を預けて体重をかけてくる。嫌な予感がして恐る恐る目を開けると目の前にはタオルを体に巻いたレベッカの後ろ姿があった。


「何で入って来るの?」

「時短よ」

「時短でも変態と一緒に浸かるのはまずいって」

 凡太が浴槽から出ようとすると体重を命一杯かけられ阻止される。

「まだ浸かったばかりじゃない。疲れているんだったらもう少しゆっくり浸かってなさい」

「はい…」

 黙って従う凡太。依然としてレベッカの水着が見えない状態が続いていたこともあり疲労度の重さを認識したからだ。

 しばらく2人でゆっくり浸かっているとあることに気づく。


「それにしてもレベッカの耳ってこんなに赤かったっけ?」

「気のせいよ」少し慌てて訂正するレベッカ。

「そうか。やっぱり相当疲れているな」


タメ息をついて疲労度を再認識。気持ちを切り替える為、話題を変える。


「今日の集気弾は素晴らしかったよ」

「でも見てなかったんでしょう?私が行った時は気絶していたし」

「確かに見れなかったけど音で分かった。過去一の衝撃音だったからな」

「あれを完成させられたのはボンタの時間稼ぎがあってこそだよ。ありがとう」

「いや、あれぐらいの時間稼ぎは誰にでもできるって。俺が弱すぎるから重症になったわけで褒められるほどのものじゃないよ。というか今回はレベッカに命を救われたし、こちらの方こそありがとう」

「何言ってんの?ボンタの時間稼ぎが無ければ先にやられていたのは私の方。だから命を救われたのは私よ」

「そっちこそ何言ってるんだ?誰がどう見てもレベッカの大救出劇だったじゃないか」

「まぁそういうことにしておくわ…」男の思考が簡単に曲げられない事を悟り、疲労防止の為、渋々受け入れた。

「でもあのタイミングで完成させたのは痺れたなぁ」

「うん。私もあの時は興奮しちゃった。それにしても、あのダタンゴの誘導作戦みたいなの良く思いついたね」

「ああ、急に前に戦った魔物のことを思い出してな。同じような習性なら利用できるって考えてやってみただけだ。成功したのはたまたまだよ」

「それを考えてやろうとするのはなかなかできるもんじゃないよ。たまたまって言っているけどそういう行動力が成功する運を引き寄せたんだと思うなぁ。本当に凄いと思うよ」

「それは美談だろ?それよりもレベッカが最後まで集中を切らさずに技を完成させたことの方が凄いって。あんな感じの切羽詰まる状況だったら慌てて何もできなくなってもおかしくない。そんな中、戦闘経験の浅い人間が成功率の低い技を成功させるのは快挙だよ」

「無我夢中でやったことだから集中とはちょっと違うかも…。というか、それを言うならボンタもじゃない。力の差がかなりある者を相手に時間稼ぎしたんだから」

「慣れだよ、慣れ。こんなの大したことないし誰にだってできる。そんなことより――」


 この後2人の褒め合いと褒めかわし攻防が5分ほど続いたところでドア越しから「2人ともご飯できましたよー」とマリアの声が聞こえたところで一時中断となった。

 

 浴槽から出た時に、相変わらずレベッカの水着が透けてみえたので目を逸らし続けた。

着替えの服は凡太がたまに泊りに来ることもあってエケニス家に常備されている。脱衣所でマリアが用意してくれていた服を着る。するとレベッカの着替えが終わって「先に行くよー」といって出ていった。水着の着脱があったにも関わらず、自分より早く着替えを終えたレベッカに驚きながらも着替えを終えて脱衣所を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ