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元素短編集

炭素とカルシウム-出会ってからの小噺

作者: 九嶋

「ほら、挨拶しな」

笑顔で語る青磁色の少年は、俺より身長が高い。子供に向けて言うようなそれは癪に触るが、事実そう語る元素よりは、一応年が若いことになるのだろう。青磁色の少年が足を動かしたために、彼の靴についた鈴がチリンと音が鳴る。

促されて前を向く。周りには360度、いや、見上げる上までもが本、だ。俺がいた、あの空間よりも本がある。

目の前には本が積まれ、紙が散らばる大きめな机と、その奥に座る少年。片目が黒く闇のようで、もう片目は透けるような白い目をしている。ベレー帽と、白髪の短髪。手が……黒と白の4本だ。

「はじめまして、20番」

「……!」

驚くよな、と傍に立つ青磁色の少年が笑う。彼が手を後ろ手に組むと、びろりと長い着物の袖がするりと下がり、少年らしいが筋肉質な腕が見える。ーー鉄。俺を『洞窟』から出してくれた元素。

「炭素には原子番号を呼ばれても腹が立たない。俺も怒りが湧かないという違和感に慣れるまでゾワゾワしたよ」

「……」

驚いて言葉が出ないということを経験したのは二度目。一度目は、この鉄が『外へ出よう』と発した時。だから、つい最近のことなのだが。

立て続けに驚くことが“外”にはある。

ーー高揚と不安。

「6番」

小さく喉を動かしたが、出した言葉をそのまま口内へ戻すかのように口を一瞬で塞がれた。

「残念ながら逆はダメ」

鉄が口を塞いでいる。やわい、手袋が口元に当たる。そして、鉄のもう片手は俺の顔の前に翳されていて。

「20番。そう、だめだよ。僕だけの特権なんだ。楽しいことをしたんだ、僕は。それは、僕だけしかしてないんだ」

笑う炭素から伸びる黒い腕。ずるっと音がしたような、しないような。陰る翳された手から、光が差す。穴だ。鉄の手に、穴が空いている。

「堅苦しくしねぇでくれよ、炭素。俺がいるからって、そう、…さ」

「たしかに。すこしばかり厳しかったかな?穴から出たばかりだというのに、光を二度見せたのは悪かったよ」

炭素はずっとにこやかに笑っている。楽しそうに。心底、楽しそうに。

それが許せなくなった。鉄には借りがある。しかもこんな短時間で二度も。思わず動く筋肉は俺の意志。

ドバンッと机を割ったせいで散らばる紙、紙。本がばらばらと斜めに谷となった机だったものから重力で重なっていく。

炭素は笑ったままで、動かない。空中を切り返して脚をそのふざけた面に叩き込もうとしたが、ーー黒い腕が塞ぐ。一度床へ足を落とし、回った身体のままにもう一度蹴り上げるが今度は白い手がすぱりと止める。

「!?」

細い腕だ。小さい手だ。癪だが、あまり大きくないと認めざるを得ないこの身体より小さな存在。そんな身体のどこにそんな力が。狼狽えた刹那なにかが目を覆う。

「クソ!」

剥がそうと手を伸ばしたが、腹が、次に背が唐突に痛みを訴えた。

「机。どうして壊したの?」

「ぐぅ、……っ!」

ぼたぼたっと口から何か出てくる。血生臭く、鼻からも抜けるそれに吐き気がする。

「鉄を、…げほっ、へほっ、…オェ……鉄を!馬鹿にした!」

目から視界を遮るものがぱらりと落ちた。紙だ。それが赤く染まる。結構な量の血が、元素周期表が広がる絨毯を汚していた。そして周りにも本が散らばっている。どうやら殴り飛ばされたか、蹴り飛ばされたらしい。

「本当かな」

す、と立ち上がる炭素。やはり細っこくて、小さい少年だ。足なんか図鑑で見た、子鹿の足のようで、俺の握力なら折潰せそうなものなのに。

鉄を見ると眉を下げていて、あれが困っている顔なのか?と悩む。庇ってはくれないことがプライドへの救いのようで、それでも少しだけ恐怖に思えた。

「ねえ、本当に、本当に鉄のことだけを考えた?」

近づいてくる炭素は、顎に手を当てている。

「君はうまれてから、すぐにこの浮島の“骨”という仕事を担ったらしいじゃないか。そのせいなのかな」

「なにが、だ」

胃や肺腑あたりが痛かったが、すぐに回復していくのがわかる。痛みがすぅ、と引いていくのだ。折れた骨たちもなんてこともなかったように繋がっていく。元の形へと戻っていく。それを感じながら炭素を見上げる。

「君はね、鉄を馬鹿にしたことでも怒ったのかもしれないけど、それは覆い被さる嘘に近いよね」

「どういうことだ」

「20番、君は馬鹿ではないと聞いているよ。ただ、感情的になりやすく、少々未熟だともね」

「くどいな!」

脚を炭素の足を掬うように滑らしたが、ひょいと避けられてしまった。

「君はね、自分のことで机を壊した。理解できないのかい?」

ため息が聞こえる。チッと舌打ちしかできない。

「やっとわかった?僕と26番と、20番の差。君はね、僕にも26番にも勝てない。一瞬で実力の差がわからない、未熟者。いまになって、やっとなんとなくわかってきたから舌打ちをした」

そうでしょ?そう笑う顔に、睨みつけながら自分の口元の血を拭った。

「26番のことを想ったのなら、机は壊さないべきだった」

傲りだよ。そう放つ炭素の言葉にかっとなるのは羞恥だ。理解できて、ぐ、と歯が軋む。

しゃがみ、俺と目線を合わせてくる炭素。

「じゃあ、理解できた良い子には罰を与えよう」

開く、闇色の眼と、透ける瞳。そこにも、あの閉じ込められていた穴のような絶望が見える。




「カルシウム、悪いけどこればっかりはなあ」

鉄が頭を撫でてきた。むかついて振り払うが、鉄はなんてことないように今度は肩をポンポンとたたいてくる。

あの時のような血まみれの手ではない、手が、本で読んだことのある優しいおじいさんが孫という存在を愛でるような、描写が浮かぶ。そういうかんじなのだろうか。わからないが、鉄は俺のことを考えている。俺はーー敬服すべきだったのか。頬を炭素に差し出す礼儀を通過しなければならなかったのか。鉄にもまだ、しっかりとしていないのに。

目線を逸らすと、また頭を撫でられた。しゃーないもんだ、とも鉄が語る。

「出てきたばっかりなんだ、これからまた、本ではわからないことを学べば良いさ」

鉄のもう片手は穴が空いたままのようだ。片手だけ手袋をしていない鉄の手は、指先が黒く、ごつごつとしていた。俺のようにすぐに穴が埋まったりしないらしい。ただ、血は止まっているようだし、鉄がなにより気にしてなさそうだ。治療もせず、放置していていいのだろうか。


「あ、26番。見に来たの?」

磨き上げられた黒い靴が視界に入る。ゾ、と恐怖が込み上げてきて、おえっと吐いてしまった。

それに鉄は動じることなく、あーあ、可哀想に、と背を撫でてくれた。

「たんそ〜、やりすぎはさすがに報告対象だ」

「やりすぎ?やりすぎってどこからどこまでなのかがわからないから、今、知ろうとしてるんじゃないか」

鉄はそれに対して肩をすくめただけだった。

「たしかにカルシウムは他の元素よりも高い回復力はある。けどなあ、精神の傷は目に見えない」

「それもいま、確かめているんだ。ちょうど、僕を視界に入れて吐くぐらい、恐怖を感じてるとわかったところだね」

鉄はどうやら炭素のこの言葉の重ねに、反論できるような力がないのか、それとも面倒なのか、わりと黙る。


机を壊してから3日目。

あの後から炭素は俺に紙を食べさせ続けた。

胃が引き攣れるように痛み、吐き散らすと炭素はなにも嫌悪感はなさそうな面をしながらその嘔吐物を手袋を嵌めた白い手でかきあつめた。そしてシャーレに均等に分けると丁寧に採取した時間などをきれいな黒い手を使い書き、「またね」と部屋を後にする。

その後しばらくしてから部屋を掃除しにやってくるが、やはり嫌悪感というよりもワクワクした表情だと思えた。

炭素は別に暴力的では無かった。無理矢理に、紙を口に突っ込んでくるわけではない。ただ、絵本で見たことしかないきれいな装飾がされた皿に、丁寧に均等に切られた紙を載せて持ってくるのだ。

「食べて」

笑顔で、ただそう言うだけ。

それなのに、問答無用な圧を感じる。しっかり理解してしまったのだ。俺はこいつに勝てない。言うことを聞くしかない。本能みたいな、脳みその中心がそう叫ぶように身体を動かなくさせた。


「見るからにやつれてんだろ。3日でわかったことで充分じゃねえのか」

「そうかな、僕はあと3ヶ月はやれること、なんでもやろうかと。排泄物もまだ見ていないし、確かめていない」

俺はたしかに幽閉された世界で生きてきた。しかし排泄物がどういうありようなのかはわかる。それを平然と語る炭素に、やはり恐怖しかなく、思わず鉄の背中へと隠れてしまった。

「へえ、かわいい動きもできるんだね。なるほど」

「たん、そ!おまえ、正気か!」

知ってる、本で読んだ!と叫んでみる。

「……絵本程度の知識だろうに」

近づいてくる炭素は意外にも真顔だった。鉄がはーとため息を長くついた。

「たんそぉ、ほれ、吐くぐらい恐怖があるのに、噛み付くような言葉を発せる。もういいじゃないか」

「でもなあ」

炭素がむう、とわかりやすく、不満だという顔をしてみせた。俺にわからせるかのように。

「壊すのはダメだ」

す、と穴の空いた手が俺の前に翳される。守る動作だ。そして静かな鉄の声。意外にも少年声は静かに低く声を出せるらしい。

「守ってもらわなくても!」

思わず喉が動くが

「うるせえ!」

鉄の弾けた声も聞き、びくりと固まった。ちくしょう、やはり俺はこいつらより弱いらしい。

不満に眉を顰めると鉄がはああとあからさまにため息をついて、が、と俺の両頬を手で掴む。

「あのなあ、俺は一応お前を守らないといけないの。わかる?お前を自由にした手前もあるし、他にも理由はある。で、目の前にいるのは好奇心の塊。好奇心は猫を殺すっていうけど、こいつは好奇心で猫を殺すようなやつなわけ」

わかる?

そう畳み掛ける鉄の目は銀色で、強い。

「お前は弱い。俺にも炭素にも一瞬で肉塊にされるレベル。猫になりたくなきゃ、俺のいうことを聞け」

ぐぬぬ、と掴まれた頬の中で歯軋りをする。悔しいが、“わかる”ことだ。頬を勝手に触れられる不快感より、怒りに似た悔しさで涙が滲みそうになる。

「お前の強さは、もうわかってる。だから、今も耐えろ」

「僕は口ごたえする方が楽しくて良いよ。情報がだんまりより豊富で愉快だ」

「炭素も黙ってろ」

四本の手で愉しさを表す仕草をしているのだろう。どうやら炭素は俺に、わかりやすいような感情表現をしてることが理解できるようになってきた。それが子供扱いでも、癪に触るとしても尺度としては助かるのは本当だった。同時に学べと言われてるようで、悔しいが鉄も炭素もなんだかんだで俺を考えていることが伝わる。頬から離れる指先は硬くて、黒くて……よく見れば錆というやつだ。鉄の指先は錆びていた。尖り、ささくれたように鋭利だった。それなのに果実を潰さぬようになでるのと同じような扱いをされた。


ずっとひとりだった自分には、よくわからないことだ。


「なあ、鉄はどのくらい強い」

「お?どした。しばらくカルシウムは戦う予定は無いぞ?刀だって支給されてないだろ。どうして興味を持ったんだ?」

くるりと俺に向き直す鉄より、炭素が興味深そうに近づいてきた。……3日しか共にいないが、炭素の好奇心の向け方はねっとりとした気持ち悪さに似ていると思った。

「俺が弱いから、興味が出たんだと思う。それより、…刀を、支給?持ってどうするんだ」

「カルシウムの今までの仕事はこの浮島の骨。それだけで良かったが、これからの仕事はまず、炭素のところで炭素の補佐をすること。慣れてきたら、他の元素のように戦ってもらう。その時に刀を使うんだ」

「なにと戦うんだ?」

炭素が楽しそうに話に割って入る。

「化物だよ!神秘的な生命体さ!僕たちとは違う存在で、謎が多い!それを捕まえて解剖してそれから」

興奮してきた炭素に鉄が肘鉄を入れる。

「違う。化物は倒すんだよ」

穴の空いた手を開いて見せる。そして親指が手のひらへと折られてひとつ、と鉄は言う。

「化物は倒すとこんぺいとうになる」

ふたつ、と人差し指が丸まる。

「こんぺいとうは通貨だ。お金であり、食べ物であり、薬である」

みっつ、と中指が倒れる。

「つまり、お前は自立する。自分で稼ぎ、自分のやりたいことを自分で選ぶ」

わかったか?と。

「お前はもう、自由なんだ。ただ、出だしがちょっと悪いだろうが、……お前はこれから強くなる」

「僕の遊びにもっと付き合ってくれたらもっと強くなるよ!」

あのなあ、と鉄は顔を顰めた。

「炭素、また足やら手やら爪やらバラバラにして再生速度を測るとかやらかすのか」

にこぉ、と炭素が笑う。

「マグネシウムは耐えたよ?それはもう、精神も強靭だった。最後まで笑っていて、前向きで、僕に対して怨みすらない」

「それで?炭素は何を失ったんだっけ?」

「右耳の聴力と右目の視力。だからなんだって話だね」

聾と盲目になりてぇか。そう低く脅す鉄はすらりと刀を抜いた。ーーいや、刀というより剣に見える。刃が両側に付いているのは刀ではないはずだ。本で、読んだのだから、知ってはいる。

気持ちは良くない話と、怒ったような鉄。マグネシウムという元素は何故炭素にそんなことをされたのだろうか。俺のように、なにか炭素にしてしまったのだろうか。

「僕は何を失っても、得てるものの方が大きい。なんだい26番、そう硬くなるなよ。僕といるとどうにも君は真面目になる」

「それが俺たちだから、しょうがねえだろ」

鉄が袖元から何かを出す。試験管。その中には黒っぽい……あれは砂糖菓子。共栓ガラスの蓋を親指で飛ばしてガッと口に含んで、剣をくるりと手元で回した瞬間、鉄の剣は美しい反りのある刀になった。のと同時、りんっとした音と刀を炭素の首元へと滑らせるように振る姿。鮮やかな派手な柄の八掛が見えた。筋肉に多く含まれる俺だ、一応動体視力は元々は悪くない。が、鉄はしっかり疾いと思った。

しかし炭素の首は飛んでいない。白と黒色の存在が、白く覆われていた。ーー紙だ。何かと炭素は紙を扱っている。紙を重ねて壁にしたもので鉄の攻撃を防いでいた。そしてそのままその紙たちが下からも上からも蠢いてベタベタと鉄に張りつこうとする。それを斬ってはくるりと回りながら距離をとるたびにりんりんと音が鳴っていた。よく見れば刀の柄、頭の先に輪の飾りと鉄器の風鈴まで付いている。元々靴にも付いているのに、音による存在感が凄まじい。

「相変わらず騒がしい」

「じゃあ聴力が一個なくて良かったな」

だらりとして動きのない炭素の白い右の手がぴくりと動いた、気がした。

「僕の力を使っていて烏滸がましい」

「じゃあお前は呼吸すんな、よ」

な!と割と高い位置にいた鉄は本棚の柱を蹴り、上から速度を上げて振りかぶって。二元素が重なった影は、炭素が刀を持っていたことで止まって見えている。ーー小さな双刀。柄の頭からの紐で白と黒の刀は繋がっており、それをばってんにして鉄の刀を止めている。衝撃からか炭素がふらりとした瞬間に鉄が足でさらに炭素のバランスを崩そうとし。

「26番はいつも甘い!」

がり!と炭素の口からの何かを噛む音。刹那に双刀は銀色に伸びて鉄の刀を割り、そのままに鉄の身体にもめり込んだ。

「こんぺいとうも、甘くて怠い味なんだ。重いんだよ、何かとさ」

「ーー……鉛よりマシだわ。……細腕に無様でやってらんねえ」

チッ。そう鉄が冷たい顔で炭素を見下ろした。炭素も笑ってはいなかった。

「抜くと血が吹き出るから、このまま行けば?」

「他所の刀を身につけるセンスなんかねーわ」

ぶち、ぶち、と抜いて、からん、と落とす。それはころりと元の小さな双刀に戻った。

だらっと吹き出る血に、鉄は心底めんどくさそうな顔をしていた。

「て、鉄…!」

思わず駆け寄り、出血しているところを圧える。

「どうせ止まるから気にすんな。痛くねえし」

「そ、そうじゃない…!そうじゃねえだろ!」

ぶんぶん、と思わず首を振った。

「お前に怒ってもらったマグネシウムは!少し報われたと思う!」

「……、ごめんな、俺、お前のことで炭素に怒ってなくて」

「気遣ってもらっただけで充分だ、し、そういうことじゃねえから」

そうだね、となぜか炭素が笑う。

「26番はきっと、多分しっかり怒ってるよ。でも下手に刺激して俺の好奇心が膨らまないようにしているんだ。すごいねえ、すごいよね。とんでもなく優しい、ってやつなんだろうね」

「黙ってろ」

「なんの贖罪なんだろうね、26番」

「黙ってろ!」

血、止まったから、と俺の手を離す。血だらけの手でまた頭をポンポンとされてしまう。

「ーー……わかった。カルシウムの観察はもうやめにしとくよ。その代わり、共に住もうか、20番」

「は?」

と鉄が発するのと同時にえ、と小さく漏れ出た声。

「良いじゃない?僕は常々カルシウムを見ていれるし、紙だって管理を任せられる。……どうやら紙の修復能力もあるかもしれないみたいだよ?図書館にはやっぱりピッタリだ。もちろんまだまだわからないことが多いけども。排泄物だって」

「変態だ」

「俺もそれは本当にやばいと思う」

あれ?そう?じゃあやめとくけどさ〜と伸ばした声で言う炭素は変態だのやばいだのとの言葉の重みが一切伝わってないように見えた。怖すぎる、と底冷えのような心地がする。

「……トイレを図書館外に作る。はあ…なんだかんだこれは本当に、本物のやばいやつだが…安全面も保証されているし、頼りにならないやつじゃない。安心して暮らせばいい」

どういうことだ、と問えば、炭素はこの図書館から出られないのだという。ーー何かあったらすぐに外に避難しよう、と心に決めた。

「じゃあ仲良くしよっかあ、カルシウム」

炭素はけろりと、心底楽しそうに笑いかけてきた。


「名前で呼ばれる方がなんかムカつくのなんでだろう」

そう呟くと、鉄が色々と配慮してやるから、と苦笑いをし頭を掻いていた。

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