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正義の能力者  作者: 影山薫
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プロローグ

風が吹いて気持ちが良い。

何気なく過ごしている日々は、時に窮屈で息が詰まる。能力者であるが故に理解されない事が多い世の中で私は、能力開発機構の理事長付補佐官をしながら理事長直属部隊で任務を遂行している。能力者に理解ある人は、どれくらいいるのだろうか?また、闇落ちした魂を浄化したり、あの世に送る為に死神の代わりをしている人間がいることをどのくらい理解されるのだろうか?少しずつ時代が変わって来ているとはいえ、未だに能力を持った者に差別的な目で見られる。私は、そんな世の中を変えたい。徐々にではあるが、他の国々では人権も認められ活躍できる場も増えて来ている。しかし、本部のあるこの国は頭の硬い国会議員ばかりで世界各国に適応される法律を頭ごなしに否定する連中ばかりで困っている。まぁ、国主導で能力者に対する理解を進める政策を頭の固い国会議員たちがやってくれているから良しとしよう。と言っても、半ば強引に圧力をかけてやっているに等しいところもあるが、理事長補佐官の私が動いたとしてもどうしようもできない。さて、どうしたものか。


「琴葉さーん、起きてくださーい。そんな所で寝てたら風邪引きますよ。」


ふと、私は目を覚まし、声がした方を見た。私の部下の1人である京介が立っていた。国道から少し中に入ったところの山を切り開いたところに本部があり、ちょうど景色を見渡せるシンボルツリーが息抜きスポットで仕事中や能力開発機構とはまた別の任務をする際、立ち行かなくなった時に勝手に抜け出しては、お気に入りの枝に登っては心を落ち着かせたり、体を休めているのだ。


「今日は、調子が悪いんだ。もう少し、ここにいたい。」


私は、そう返答した。休む間もなく、仕事をこなしていたこともあり、相当無理をしていたのだろうと今になって気づいた。すると、京介がテレポートを使って私のところに来た。


「貴方はいつも無理をする。そうやって無理をするから躰に不調が出てくるんですよ。あれほど、セーブしろと言ったでしょう。」


まぁ、怒られるのも当然か。でも、私はやらないことが…。


「どうせ、私は仕事が生業の仕事バカですよ。」

「よくわかってるじゃないですか!輪廻の果てまで闇落ちした魂を狩ってあの世に送っているあなたは、完全なる仕事バカですよ。」


皮肉たっぷりの言い方に反抗できずにいた。

あぁ、なんで情けない。部下に迷惑をかけてしまっては、理事長付補佐官として失格だ。


「琴葉さんは、迷惑かけてると思ってるかもしれないですけど、私たち直属部隊は迷惑だと思ってませんよ。それに、刑務所に送還されている能力者たちに会いに行ってるんでしょう?」


「よく知ってるな。なぜ、犯罪に手を染めてしまったのか?釈放後、能力開発機構で保護観察する上で必要だろ。」

「そうですね。お気持ちはわかりますが、無理はなさらずに。琴葉さんの代わりは、この世には居ない事をわかっていますよね。さて、ここにいたら風邪引くので医務室に行きましょう。」

「もう、大丈夫。医務室には行かない。」


いつもの癖だ。意地張って弱い所を見せたくない私の悪い癖。


「琴葉さん、ちゃんと薬飲んでいないでしょう?飲まずに無理して動くから、そんな顔色が悪いんですよ。飲んで顔色が良くなるまでは、気分転換でもこの場所に来るのは禁止しますよ。どちらがいいですか?」


そういえば、1週間くらい薬飲んでいない気がする。もう、あの薬は飲みたくない。でも、飲まなければ生活にも支障が出る。と言ってもすでに支障は出ているのだが…。


「あー、いた〜‼︎やっぱりここに居た。京ちゃんがなかなか帰ってこないから探してたらやっぱりここに居た。」

「桜、もう少し声のボリュームを下げることは可能ですか?あなたの声はよく通るから耳に響きます。」

「ごめん、ごめん。」

ふと、桜が私の顔を見て不安そうな顔色に変わる。

「琴葉さん、大丈夫?ちゃんと薬飲んでる?無理してない?」

京介以外の部下からも心配されるとは、それだけ顔色が悪いのか。

「仕方がないか。この世を秩序を守るため、正義の能力者として君臨するには、体調も万全にしとかないとな。」


私が正義にこだわる理由。それは、能力者の地位向上。秩序を維持しつつ、魂の選定。悪の排除とあの時、私にされた仕打ちを奴等に仕返すこと。ただ、それだけ。

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