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妖精の詩  作者: 南雲司
6/24

意外な事実

妖精の歌6

【承前】


 元の時間軸とは傾きが大きく違う

 此の泡宇宙の時間軸はその時間軸とは

 離れようとはしない

 螺旋状に周りを巡っている様でもある


 いやしかし、短い時間で接触していることから

 きれいな螺旋ではないらしい事も解る

 なにしろ、その接触はどちらの時間軸から観ても

 不定期なのだ


 其れでも尚、向こうの時間が

 ゆっくりと流れている事はわかる

 時間軸だけでなく、世界自体が接触して

 泡宇宙が弾けるまで300年程だろう


 其れまでに、準備を終わらせれば良い

 黒い球体は、危機的な状況が終ったと判断した

 被召喚者である少年を構築する事にした

 何度か目の接触で少年が不在であれば


 召喚コードが弾ける公算が高い

 それが何をもたらすか不明なのだ


【三娘】小さなダンジョン

 三娘ABCが到着した時には木目様(シャオ)の勇者召喚とガンマバーストの関係の簡単な説明は終わっていた。

「貴女達の意見を聞きたい」

私達あたしら来たばかりなんですけど」AB

「勇者召喚が局地的な魔素増大に繋がるとして、イェードウの勇者召喚が今回のガンマバーストの原因か否か」


「え?え?え?」A

「初耳情報ばっかりなんですけど」B

「否、但し関係はある」C

「解ってて言ってる?」AB


「詳しく」木目(シャオ)

「因は某の召喚、そして恐らく勇者は某の劣化コピー」C

「ちょと待て」A

「某って、誰。てか、なぜCが話しに付いて行けてる」B

「プヨと念話繋げてた」C

「その手があったか!」AB


 暫し、眼を見張った後で木目は叫ぶように言った。

「アルモニコス!」


【キオト母艦】キオト派遣武官と割り込み技官

「此れが母艦かあ」

 軍人ではないワクーラ技師は人目も憚らず慨嘆する。

 武官達は其れを羨ましく思いながら衛兵の敬礼に答礼する。

 イバーラクや森の飛空艦と比べても一回り大きいその艦は、

 周りに較べる物もない事とて、殊更巨大に視えた。


【雪崩】イバーラク空軍府

 首脳部の動向は、粛清の対象に為るであろう投降派の幹部達に、筒抜けに為っていた。反動と言うか、婚活派であった女性士官の無視できない数が、ある種の後ろめたさも手伝い、反首脳部=投降派に鞍替えしていたのだ。


 もう一つ、憲兵隊の事もある。彼等は立場を利用して都合の悪い事を揉み消すのを当然の如く思っているクーデター派に、我慢の緒が切れ掛けていた。

 なので、投降派を拘束せよ、との命令を受けた憲兵隊が向かった先は、空軍府執務室だった。職権濫用の容疑である。


【拘束】ツァロータ王

「うぉ!なんだこれは!」

 乗員=騎手の制止を振り切り、ロックバグに乗り込んだ王は、ベルトと脇に着いている二本の腕で拘束された。

「だから、駄目だと言ったんです」

 騎手は嘆息する。本当に子供みたいな王様だ。

「凄いな!これなら敵に盗まれる事もない!」

 王様は怒る処か御機嫌だ。多少あちこちが痣に為っているのだが、気にも留めない。


【意外な事実】三娘と木目(シャオ)

「て事は、どっかにオリジナルが居るって事よね」A

「その勇者ってどんな人?私達(アタシラ)会った事無いのだけれど」B

「画像所望」C


 ドロシーがアーカイブから勇者の肖像画を見付けて来た。

「虎治じゃん!」AB

「・・・」がくんと顎を落としているC

「虎治?人種が同じだから、似ているだけでは?」木目

私達あたしら同じ人種だし」AB

 見慣れているだけに、些細な違いも認識出来ると主張。


 とことこ肖像画に近寄って落書きするC

 呆気に捕られる居並ぶ人々

「やっぱり虎治」C

 そこには、ボサボサの髪とスケベそうな表情の虎治が居た。

「では勇者は虎治のアルモニコス?いやそれでは間尺が合わない」

 寧ろ虎治の方が劣化版だ。


「アルモニコスってハーモニックスだよね?」Bに訊くA

「魔力波動の分節っぽいね」B

「波形調べたらどっちがオリジナルか判るぽい」C

 三娘は双方の波動を熟知している筈の木目(シャオ)の顔を見詰める。

 木目は眼を閉じて、既に比較検討をしている様だ。


 ややもあって、木目が眼を開き宣言した。

「どちらも、アルモニコス。オリジナルは別に居る」


【後送】森とキーナン公

 森から、カンウー軍に参加しているヒゲジイを通して、メイデンの改善方が固まったので現用機を逐次回収したい、と連絡があった。

「財務官に前線に投入したと言われて、シャオ様御冠だったらしいです」笑いながらヒゲジイ

「訓練を視た限りでは、行けそうに思ったのだがな」公


 メイデンは全機、後送する事に為った。貴重な攻撃力のソースである母艦は動かしたくない。

 翌朝、自力航行可能なメイデン二十六機が、訓練も兼ね撤収の途に就いた。


【じさま】森

 ドワーフの爺様にも問い合わせた。

 勇者召喚に使われた術式に心当たりはないか、有ればそれを教えて欲しい。

『なんじゃ?シャオも勇者が欲しいのか?あれはまぐれでしか召喚出来ん欠陥ルーチンじゃぞ?その癖、術者の命の保証は出来んと来た。あの時も十人位魔術士を投入した筈じゃ。何人生き残ったものやら・・・』


 誤解されても困る。木目(シャオ)は説明した。

「勇者召喚の余波と思われる事象が起きている。イェードウでの召喚の物か、別の召喚があったのか調べたい」

『それなら、別の召喚じゃろう。余波吸収に術者の命を使うタイプの召喚式じゃからな、一人でも生き残りがいれば、余波は出んよ』


 木目は謝辞を述べ、交信を切った。


【空軍崩壊】イバーラク

 憲兵隊にも覚悟と言う物がある。現首脳陣を捕らえると言う事は、反首脳派にくみすると宣言する事だ。

 つまり、投降派に与しサスケラを女王と仰ぐべきと表明するも同然なのだ。しかし、此れまでクーデター派に加担してきたと見なしうる事実がある。踊らされていたとは言え、事実は変える事は出来ない。

 覚悟とは、結果的に処分を受ける事になるをやむを得ず、とする覚悟である。彼等にも判断を誤り国体を危機に晒したと言う、後ろめたさが有ったのかも知れない。


 それから、わずか三日程で空軍府は南イバーラク王国に降った。


 共和国政府は、これは南イバーラクの工作の結果であり、実質的な侵略である、と口を極めて非難したが、それ以上の事は出来なかった。

 軍事行動を起こそう物なら、大量の離反者が出るのは眼にみえていたからである。


【探し物】三娘

「思い出した!」突然、叫ぶA


 小さなダンジョンの臨時会議は、小休止中、木目=シャオはあちこちに連絡の要があるらしく、席を外している。ドロシーはお茶の用意をしている。

 三娘の来る前から相応の時間が消費されていたらしく、列席者の中には席を外す者や、立ち上がって体を解している者もいる。


「例の探し物?」B

「そそ、アタシラってさ、記憶に制限掛かってるじゃん」A

「そうなの?」B

「Bは迂闊、嫁達の常識」C

 反論しようとするBを押さえてA

「まあまあ、常識は兎も角、それで結構不都合がでるし」

「考え事してても、急にリセットされてなに考えてたか分かん無くなる事ある」A

「そう言えば・・・」B

「で、以前、耳栓型の付帯脳有ったの思い出して」A

「あー、あれかー、認知症なってもこれで安心みたいなキャッチ付いてた」B

「そそ」A

「アタシも欲しいかも」B

「ふふふっ」不気味な含み笑いを洩らすC

「このパターンは!」AB

 耳から取り出した耳栓を得意気に見せびらかすC


「お前かー」AB


「てかさ、これ風竜とかにも使えない?」B

「お馬鹿なだけで、認知症て分けでも無いからねー」A

「前頭葉に干渉すればいける」C

「ここをこーして、これをこれに繋げば・・・」

 いつ解析したのか耳栓の術式を展開するC

「いやいや、それだと此処でバグる」B

「このルーチンをここの間に差し込めば?」A

「あ、いけそーかも」B

「それでは、二十頭分程それでお願いしますわ」

 お茶を配り終えたドロシー

「し、しまったー」ABC


 どんな術式でも実際に編みだすと、

 不具合がてんこ盛りに出てくるものだ。

 わたわたしながら、納期まで

 睡眠不足の日々を過ごす事になる。

 三娘はそれを良く知っている。


【アリス】病んだ灌木

 アリスは歌う

 大人達の都合で病んでしまった小さな木の為に

 大人達の都合で故郷を失った勇者達の為に

 大人達の都合で死んでいく兵士の為に

 死んでいく子供達の為に

 その母達の為に

 総ての命の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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