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花との約束  作者: 赤鉄 ロボ
一章 大切なもの
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四輪目 セイヨウヒルガオ

【四輪目 セイヨウヒルガオ】

グリは少し後から俺達を追ってきた。俺は森で助けた彼女をおぶっていた為にグリに俺の分の食べ物を運ぶように言っていたのでグリは遅くなってしまったようだ。

「グリ、ごめんな…」

「全然、大丈夫だよぉ〜」

「三助さん、今日は帰ったらパーティだね!」

アズは嬉しそうに言った。

大堰橋についた頃には、辺りはもう暗かった。

大堰橋の青色のLEDが大堰川を優しく照らしていた。

俺達は住処に帰った。

今日の獲物獲りで捕まえたものを食べた。皆で食べた夕食は格別だった。

「これ、美味しいなぁ〜」

グリが満面の笑みで食べ物を頬張る。

「久しぶりにこんな贅沢ができたね」

「そうですね」

「そういえば、この娘どうしよう?池の近くの森で烏に追いかけられていて俺が助けたときに眠ってからまだ、起きないんだ」

「この娘なら多分、疲れて寝ているのだと思うから大丈夫ですよ」

レフコスは俺にそういった。

「三助さんの代わりにこの娘、私が看病するね」

「アズ、助かるよ」

皆と色んな話が出来て、とても良い晩餐会となった。

今日は星が余り見えず夜空に少し雲がかかっていた。


早朝、俺は暑さで目が覚めた。昨日、池で烏に襲われた彼女も同じタイミングで目を覚ましていた。

「ここは何処?」

「ここは俺達の住処みたいな所だ」

「君はあいつの手下じゃないの?」

「あいつって誰かもわからないし、手下でもないよ」

「私を捕まえに来たの?」

「捕まえるなんてめっそうもない」

「本当に?」

「本当だよ」

グ………

腹が鳴った音だ。俺の腹の音ではない。

「君、腹減ってる?」

「別に………」

「腹減ってるなら、ご飯食べる?昨日から何も食べてなさそうだから」

「全然、腹減ってないから大丈夫」

「いいから食べろよ」

俺はそう言い昨日に余分に獲っておいた獲物を彼女に分けた。

「遠慮すんなって」

「別に腹が減ってる訳じゃないから」

「本当に遠慮すんなよ…お前、傷だらけなんだから食べないと怪我治らないぞ」

「私の心配しなくても大丈夫だから、あと敵に心配してもらわなくても大丈夫だから」

「だから俺は敵じゃないって……」

俺はいいことを思いついた。

「じゃあ、俺が出したその飯を食ってみて何も起きなかったら俺のこと信用してくれよ」

「仕方ないから貴方の話にのってあげる」

「有難な!」

「なんで、見知らぬ私にこんなことをしてくれるのか分からないわ…」

「知らなくても、困っていたり、怪我をしていたりしているやつを助けるのは当たり前だろ?」

「意味が分からないわ、自分の不利益にしかならないのにね」

「それでもいいんだ」

「貴方って変わった人なんだね」

そう言って彼女は俺が与えた飯を食べた。

「美味しい?」

俺は聞いてみた。

「まぁ、美味しいかな……」

「よし、これで信用してくれよな」

「でも、これだけじゃ信用できないからね」

「じゃあ、どうやったら信用してくれるんだ?」

「鬱陶しいな………」

彼女は大堰川の方へ行ってしまった。

「三助さん、どうかしましたか?」

フルーフが起きてきた。

「昨日の池で気を失っていたやつが目を覚ましたんだ、そしたらあいつ俺のことを信用しないだ」

「彼女に何があったのか聞いてみたらどうでしょうか?」

「そうしておく」

俺はフルーフのアドバイスを元に彼女にここに来る前に何があったのか問うことにしてみた。

「なぁ君、ここに来る前何があったんだよ?」

「貴方は私に何がしたいの?さっきからついてきて………別に話しても無駄だから……」

「なぁ、教えてくれよ」

「貴方、しつこいわよ………」

「ごめん…………」

彼女はまた、土手の奥の方へ行ってしまった。

アズやグリ、レフコスも起きてきた。

「あの娘、何処行ったの?」アズが質問した。

「今は放っておいてやろう、ここに来て色々混乱しているみたいだからな」

途中まで彼女を追いかけて大堰橋の下の近くまで来たが、引き返そうとした。

その時、アズが橋の下の屋根になっている部分に黄とオレンジの花が咲き誇ったこの花を見ていた。

彼女は立ち止まった。

この時、俺はアズが何を思ってこの花を見ていたのかは分からない。


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