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第3話 大奮闘

 中間世界で出会ったご老人は、たいそうこちらのことを持ち上げて、救世主が訪れる、勇者の鑑のような男が善良な家族を率いて顕現する、などと吹きまわったらしい。

 ご老人…追い詰められ、肉体を失って世界の狭間を漂う羽目になったのだから、よほどむしゃくしゃしていたんだろうな。

 世界を救わなくてもいいとか言っていたが、アイルという妖精によれば、親しい仲間や善良な生き物には、伝達が行き届いているらしい。

 まったく詐欺もいいところだ。

「ところで、あの老人の名前、アイルは知っているのかな」

「スティーヴン・ジョブズ様でいらっしゃいます。良き魔法使いの頂点に立たれていた方です」

 今はアイルも森の小径に腰をおろし、もちろんちゃんとしたメイド服を着て落ち着いて話をしている。

「スティーヴン…?」私は聞き返した。

「スティーヴン・ジョブズ様です」アイルは笑顔で繰り返す。

「萌」と私は言った。「日本語が異世界で通じるのは魔法のおかげだろうから、それはまあいいとして…」

「この調子でよく似た名前の人が、ぞろぞろ、ぞろぞろ出てくるのかしらー」萌も不思議そうだ。「アイル、田中さんとか、源五郎さんなんて名前の人はいないの?」

「タナカ…ゲンゴロウ…。はい、奥様、そのようなお名前の人は、聞いたことがございません」

「あらー。奥様ですって」と、嬉しそうにこちらの肩をばしっと一発。痛い。相当痛い。

 これは、あれだな。

 能力テストが必要だ。冗談ではすまないようだ…。

 

「全員、ちょっと、ようく注意してほしいんだが。あー、桜もこっちに来なさい」

 大人の手のひらほど大きな羽を持つ金色の蝶を追いかけていた桜は、未練がましい目つきでそれが手の届かない木の幹に止まるのを見届けてから、こちらへ来た。

「なーにー」

「いーか、みんな。お父さんはさっきからお母さんに首をしめられたり、はたかれたりして分かったことがある」

 萌がアイルに向かってにっこり微笑んだ。アイルは笑いを返すも、ひきつっている。

「お父さんの考えていることが正しければ、おそらくお屋敷を取り返し、魔法使いをやっつけるのに、こっちが魔法を使う必要は、ほとんどないだろう」

「えー」と大樹。「どうして?」

「そんなのつまんないー」と桜。

「いいか、僕らが授かったのは、魔法だけじゃなくて、生命力そのものなんだ。特に大樹、桜。誰か罪のない人を傷つけると、一生トラウマになりかねないぞ」

「どういうこと?」と萌。

 私は、中間世界で浮いていた、両腕を失っていた時の桜の無残な姿を少しだけ思い返した。

「桜、こっちに来て…。この木をな、両手で思いっきり、押して見なさい。一気に、思いっきりだ」

「なんでそんなことするの?」意味がわからず、少し不安な様子の桜だった。

 私は、方向を見定め、誰も、鹿やイノシシといった動物もいないことを確認した。

「ま、やってみなさい。そうだな、お父さんの考えが間違っていたら、思い切りやったら手が痛いだけだから、思い切り、木の表面を弾く感じで、やってごらん」

「うーん…。分かった」桜は私が指し示した樹に向かった。

「えいっ?」自分でもおっかなびっくりでやったので、変な声になったが…。

 桜が両手でちょっと表面をたたいた木は、私が手を回してようやく左右の指先がふれあえるほど太く、高さは十二メートルほどはあった。

 バギッと全員がひるむ破砕音が響き、桜が弾いた箇所は、密林の奥へ吹っ飛び、遠くでそれとぶつかった木がミシミシと音を立てて倒れる音と共に、赤や青の色をした鳥たちがいっせいに空へ飛び上がって逃げ出した。

 そうこうしているうちに、こちらの木は根本を失って、大樹の方へまっしぐらに倒れていった。

「大樹、右手で張るんだ! 思いっきり、右手だぞ!」

 息子は必死で右手を差し出して、倒れてくる木をはたいた。

 倒木は張られた箇所からミシミシと音を立ててへし折られながら、倒れてきたのとまったく逆方向にひっくり返り、くるくると回転して空の彼方へすさまじい勢いで飛んでいき…百メートルは離れたところで地響きを立てて落下した。また鳥が空へ逃げ、地を走る獣たちのいななきさえ聞こえてきた。静かだった森は突如、騒然となった。

「…というわけだ」

 考えていたことが正しかったとはいえ、実際に目にすると親でもちょっと怖くなる。

「あの中間世界には、魔法使いが数百人はいたと思う。その人たちが、事故で失くしたお前たちの身体を治してくれたんだが、ちょっと栄養過多だったみたいだ。桜は…両腕がなかったんだよ。大樹は右手と、顔の左半分を失くしてた。お父さんは一番ひどかったらしいが、お母さんもひどかった。そのかわり、みんな強くなりすぎたというわけだ」

 桜が怖くなって泣き出した。大樹に頷いて、あやしてもらうことにして、私は言葉を続けた。

「不用意に全力を出したりしなければ大丈夫だと思う」

 近くにあった木を、意識して軽く、ゆさぶってみたが、びくともしなかった。そこで両手で抱えて上へ向かって力をこめ、ゆっくりと持ち上げると、木は地面から抜け出てきた。木の根が地面の中でひきちぎれた。

 木をいじめるのがかわいそうになってきて、私はそこでやめた…。

「この世界で、僕ら家族は、沢山の人と友達になって、生きていかないといけない。でも、こんな力は緊急事態以外は、隠しておいたほうがいい。強い力を持ったからといって、それを理由に威張ったり、自分の思うままにしていたら、暴走している悪い魔法使いと同じだ」

 私は桜を抱えて、抱っこした。

「ごめんな。でも、自分の力のことは分かったろ? それで人のためになることをすればいい。重い荷物を運んだり、道をふさぐ岩をどけたりとか。そうだな、桜はアンパンマンみたいになったんだよ。そういう正義の味方になれば、みんなが喜んでくれるけれど、たとえ親切でも、見せびらかしたらダメだ。こういうこと、お父さんは色んな話を読んでるからよく知ってる…。お父さんは、桜が悲しんでくれて嬉しいよ。お前はやっぱり優しい子だよ」

 私は萌に桜をバトンタッチし、あやしてもらっている間、アイルと大樹で作戦会議を始めた。


 お屋敷までは歩けば、三日の距離。

 だが相手は魔法使いだ。向こうも、ただやられてはかなわないと必死で考えているはずだ。空を飛んでこられたり、瞬間移動ができないとも限らない。そうは思ったものの、そんな魔法は使えない相手らしい。持続して重いものを持ち上げ続けたりできないアスリートのようなもの。瞬間に出せる力は大したことはないという。

 ピクシーのアイルによると、お屋敷にはメイドは、双子のレイとチャイという十八歳の姉妹がおり、自分たちの母であるマリー。それに、メイドとは別に料理人のサムとジャックの親子がいるそうだ。彼らはみんな、ダボンをひどいやつだと思っているとのこと。ちなみにジャックは、アイルの正式な婚約者だそうだ。

「領主のダボンは、前の領主を暗殺したと聞いたけれど」

 アイルは目をうるませた。後先考えずに行動する無鉄砲さはあるようだが、情が深いのだろう。この時は、私はそう思っていた。

「先代のご領主様は、村人たちの先頭にたって、土地を開墾したり、時には学校を開いて下さりました。一度ご結婚されたのですが、奥様はすぐに病気でお亡くなりになりました。男やもめとなったトレント様は、それからもずっと、いいえ、悲しみが深い分、周りの誰彼構わず、優しく声をかけてくださる方でした」

 一方、ダボンというのは、卑劣きわまりない男で、商人に見せかけて毒入りのワインを売りつけに来たという。

「この世界は、今は物騒な時代だから、用心しそうなものだけど」萌が聞いた。

「あの腐った魔法使いは、飲んでから半日後に毒に変わる魔法をワインにかけていたのです」

 アイルの瞳が赤く光ったので、我が家族は全員驚いた。

 元は青い瞳だったのだが。どうもピクシーというのは感情に合わせて姿も頻繁に変わるようだ。そして、それなりの魔法を持っている。

「ご主人様…良きトレント様は、その晩、ダボンの旅の話を気持ちよく聞いておいででした…。翌朝、トレント様の絶叫で皆が寝室に集まった時には、ご主人様は床に横倒しに倒れておりました。その目は充血し、ただれた舌が口の横に垂れ下がって…」

 ギリギリと彼女が歯ぎしりをすると、犬歯が長く伸び、爪が鋭く尖った。アイルの髪は黒髪だったが、根本から赤く変わり、蛇のようにのたくるので、桜と大樹は近くの大木の後ろまで隠れてしまった。

「君たちは魔法の力を持っているようだけど、ダボンをやっつけられなかったのかい? 彼はそんなに強いの?」

 アイルは黙って頷いた。

「トレント様が亡くなったあと、私たちは気づいたのです。自分たちも既に魔法にかけられてしまっていたと。時間をかけて入念に構築された魔法です。お屋敷は強い魔法の縄で周りをぐるりと囲まれています。その中にいる者は、ダボンの許可なしに外へ出ることはできませんし、一度中に入ると、ダボンの言うことに服従しなければなりません。強い意思があれば跳ね返すことも出来なくはありませんが…。例えば、死ねと命じられても、必死に抵抗すればできないことはありません。けれど抵抗すると頭が割れそうなほど痛みを感じるのです」

「陰湿ね」萌がぼそっと言った。「ろくな力もないくせに周到に計画を練って襲ってきたのね。ひねりつぶしてやりたいわ」

「お前…こっちに来てから過激になり過ぎだぞ」

「住むところの心配がなくなって、税金からも開放、おまけにこんなに可愛いメイドさんつき! あたし、生きてて良かったわ!」

 一度は死んだんだけどね…。


 アイルも大樹も、先へ進みたがったが、私は地面に図を書いて状況を整理することにした。

 どこかのリンゴのロゴを持つ会社の創業者によく似た名前を持つ魔法使いが言っていたように、自分が天才でないことは分かっている。

 また、私の好きな作家のスティーヴン・キングはこうも言っている。実際に紙に書いてみるまでは、自分がどんなことを思っているかなんて決して分からないと。

 二十分も枯れきった木の枝で地面にあれこれ書きなぐっていたが、私は書く手を休め、あることを見つけた。

「アイル、君はさっき、ダボンが作った輪の中からは、彼の許可なしには出られないと言ったね。どうして君は、ここにいるのかな」

 返事がないので顔をあげると、アイルは下げた両手を組み合わせ、泣きそうな顔になっていた。

 私は言った。

「この世界には、魔法を使えるのは限られた人間と魔族だけだと思っていた。君が羽を広げた妖精そのものの姿で現れたのでうっかりしていたけれど、教えてくれないか。君は、魔族なのかい? それとも、スティーヴン・ジョブズの説明が足りていなかったのかな? この世界には、魔法を使っても良いと魔族に認められた別の存在がたくさんいるのかな。人間と魔族の王の話…。僕には、そうは思えないんだ」

「アイルさん…?」大樹がアイルの組み合わせた手に、まだ小さなその手をそえた。

「あなたが魔族でも、きっと人間がいうような怖い存在じゃないと、僕、思ってる。魔族って呼び方は、人間が勝手にそう言っているだけじゃないの?」

 アイルの目に涙があふれた。

「あなたがたは、トレント父さんと同じ…。人間なのに、優しくしてくれるのですね…」

「トレントは君の父なのか。君ら一家を魔族と知って雇っていた。もしかして、人間社会の迫害からかくまっていたのかい?」

 アイルは涙をぽろぽろこぼしながら頷いた。

「トレント父さんの最初の奥さんが亡くなられたあと、母のマリーと父は恋におち、私たち三姉妹が生まれました」

「人間と魔族の王の間に子どもは生まれないと、僕の中にある記憶は言っているんだが…」

「それは嘘です」きっぱりした言葉だった。もっと深い事情があるようだ。

「どうやら、迷信やら伝説やらがごっちゃになっているみたいだ…。順番に整理しよう」私は、自分が書いたものを見直した。

「私たち家族の中で、魔法を使えるのは僕だけだ。萌は持って生まれた占い師の才能が強化され、物事を深く見通せるようになったが、魔法が使えるわけじゃない(ほとんど魔法みたいなもんだが…)。次に大樹は、右手だけに強力な力が、桜は両腕に強力な力を宿している。僕も、力についてはそうらしい」息をついで、萌と桜を手招きし、三人で話し合って見えてきたことを打ち明けた。

「アイルは、魔法を使ってダボンが作った…結界を壊してここに来たんだね。君の家族は無事だろうか。萌、分かるかな?」

 萌は目を細め、遠くをぼんやりと見た。

「さしあたってはね…。ダボンは壊れた結界を修復するために、少ない魔法を使って必死に働いているみたい。門を出たところにある汚い縄に向かって、青く光っている両手をかざしているわ。彼が時々、横目でにらみつけているのは、屋敷の中庭に引き立てられた三人の人影。アイルのお母さんらしい人と、顔のそっくりな女の子が二人、地面に座り込んでる。三人は、四人の兵士に槍を突きつけられているの…。屋敷の玄関には、白い服を着たコックの親子が真っ青な顔で立っている。父親の方は肉切り包丁を持っているし、息子の方は太い棍棒を握りしめている。そこから前に進もうとしているのだけれど、ダボンの魔法で行動が禁じられてしまい、ひどい頭痛も押し付けられて万事休すという状況ね」

「アイル…。一応聞いておきたいのだけれど、コックの息子さんは君のことを魔族だって知っているのかい」

 アイルはかむりをふった。「知ったら、きっと婚約は破棄されます」

「あー…」萌が消え入りそうな声をあげた。「ダボンが何か、まくしたてているわ。離れているからほとんど聞き取れないけど。それを聞いて、コックの親子はショックを受けたみたい。…言いにくいんだけれど…二人とも、あきらめて屋敷の中へ戻ったわ」

「ダボンは、アイルが魔法を使ったので、マリーたちが魔族だと気づいたんだろう。コックたちにもそれが知らされたんだ」

 私は地面の上の図を見て、決心を固めた。

「時間がない。今こそ、三木家が団結するときだ。みんな、アイルの家族を助けるのに賛成だろうな」

 全員が頷いた。

「魔族っていうけれど、普通のお嬢さんだし、可愛いし。困っている時は人間だろうが魔族だろうが、お互い様ですよ」と萌が言った。そうそう、と子どもたちもうなずく。

「で、どうするの?」と萌が腰に手を当て、こちらに向き直った。


 ダボンは自分の中にある魔法を必死にかき集めては、脂ぎった顔に汗をかきつつ、ちぎれた輪の部分に注ぎ込んだ。

「間に合わないか…? この輪は三年かけて作ったんだ。こんなにまで壊しやがって、まだまだ時間がかかる! 頭にきたぞ。おい、誰でもいいから、その魔族たちを殺せ! 首を切り落として、槍につきたて、門の両側に飾ってやれ!」

 兵士の一人が動き出したが、さすがに残虐な行為に手をそめるのはためらうものがあるらしい。抵抗していて、動きがひどくぎこちない。

「俺がやれと言ったら、やれ」ダボンは低い声で命令した。「道具が一箇所壊れたからといってもまだ魔法は効いているんた‥。お前たちはまだ俺の支配下にあることに変わりはない」

 だが、四人の兵士がもつ金属の槍は、マリーが放つ光で、粉々に砕けてしまった。

「私たちは、この土地で人間としてひっそりと生きていければそれで良かったのだ」マリーは立ち上がりながら言った。

「この人でなし! あんなに優しい人をよくも…。もう容赦しないよ! 正体がばれたなら、戦うまで!」

 ダボンが修復作業をやめ、マリーに向き直って人差し指を向けると、マリーは銃で撃たれたようにのけぞり、地面に倒れて起き上がらなかった。双子の子どもたちは母親にすがって泣くばかりだ。


 以上の光景を、私は、萌の目を通して見ていた。火を起こしたり、兵器を作ることはまだ無理だが(それとも記憶を探ればできるのかは分からない。こんなにも準備する時間がないとは思わなかった)。他人の感覚を共有するという簡単な魔法は十分使えるものだった。

 まずこの感覚を共有するというのは、相手の身体にふれていれば、ほとんど魔法を消費しない。それどころか、萌の感覚を更に高め、話している言葉もすぐそばにいるように聞き取れる。

 私の右手は萌の肩に。私の左手は、大樹の肩に。

【知覚共有を発動】私は魔法を使った。


 私たちの足元には、桜が大小、様々な石や岩をかき集めて積んでくれている。

「いいか、大樹、ダボンの背中を狙え! とにかく狙えばいい」

 私は萌から得たビジョンを、大樹に転送していた。

 大樹は頷いた。

「とにかく力をこめて思い切りぶん投げてくれたら、お父さんは魔法を使って、ダボンに当たるように軌道を修正する。魔法といっても、今の父さんに使えるのはこの程度だ。だけど、威力は抜群のはずだ!」

「いっくよー。そりゃあっ!」大樹は思い切りよく投げた。右手が白く光り、私の握りこぶし程度の岩が手から離れると、一瞬で見えなくなった。

【物体検知を発動】

【物体追跡を発動】

 小さな枝や木は、大樹から放たれたエネルギーをほとんどロスすることはなかった。それらをなぎ倒して突進する。手から離れて数秒後、正面から衝撃波が放たれ、すさまじい突風か吹き荒れた。まさしく、ソニックブームだった。

 検知系や、追跡系の魔法は、ゲームになぞらえると、1ポイント程度しか消費しないようだ。

 念のために、もうひとつ魔法を使ってみた。

【物体強化を発動】

 放たれた岩のごく表面だけを固くした。

 森を抜け出る手前に、巨木が立ちふさがっていた。

【対象を転送する】

【場所を検索・ダボンの敷地の、人のいない箇所】

【場所が見つかったら、対象の転送を実行】

 向こうで地響きが起こり、ダボンがうろたえた。

 私の中の魔法も初めて、それと分かるほど減少した。とはいえ、階段を一階分、駆け上がった程度の疲労感だった。

 遮るものはもう何もない。

 ダボンが右往左往していたのと、転送魔法を使っていたので、完全なコントロールは出来なかった。彼の背中ではなく、こちらの放った弾丸は彼の左腕に命中し、彼をふっ飛ばした。土煙をあげながら転がっていく。

 ダボンは、起き上がることもできないようだ。まずは、勝つことができた。

 とはいえ、人を傷つけるのはやはり後味が悪い。どこまで言っても、変わらないだろう。僕は日本人で、この歳になるまて本当の暴力沙汰とは無縁だったのだ。

 それに子供ができると、あんなやつでも人の子だという意識が芽生えてしまう。

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