日常の中で
宙を舞ったはずの ココロちゃんの体は 誰かに抱えられ 光の球に包まれ ゆっくりと 屋上へ.....
(えっ!?なんで......)
目を開けた ココロちゃんは 驚きのあまり 言葉を失ってしまいました。なぜなら そこに立っていたのは 転校の渚君だったからです。
光に包まれ 背中には 大きな黒い羽をつけた 渚君が ココロちゃんの 目の前に 立っていたのです。
(なっ......なぎ...さ君?なんで?...えっ!?羽?)
「お前の命は 俺がもらったから 勝手に死ぬなんて 許さないよ!」
「なっ...渚君なの?どうして ここにいるの?どうしたの?なんで そんな格好してるの?」
ココロちゃんは 死のうと 思ってた事など すっかり 忘れて 今の渚君の 状態に頭が混乱 していました。
「お前......アホなのか?......まっ、いい」
そう言うと ゆっくりと ココロちゃんに近づき 耳元で
「お前が 死ぬときは 俺が殺すときだ!覚えておけ!」
そう 囁くと 光の霧が現れ 一瞬で消えてしまい その瞬間 ココロちゃんは 腰に力が入らず ゆっくりと前にしゃがみ込んで しまいました。
(今のは 渚君だよね......私を...殺す?なんで?)
ココロちゃんは 今の出来事で 屋上に 閉じ込められた事も 忘れて 何故か 閉まってるはずの 屋上の扉が開いてる事も 不思議に思わず 家に帰りました。
翌朝 いつものように 学校へ向かう ココロちゃん
昨日の事を 考えながら 交差点にさしかかると信号が赤へと変わり そこで足を止め 青に変わるのを 待っていました。
すると ココロちゃんの後ろに イジメっ子の 女子生徒が 数人集まり ココロちゃんに 嫌がらせをしようとした その時
その中の一人が 過って道路側に 飛び出てしまい 走ってきた車に 引かれたと、
皆が思った 次の瞬間
ココロちゃんは その子の手を握り 思いっきり 引き寄せ
「キャー‼」
周囲にいた人たちの 叫び声や ざわつきが 辺りに響 やがて 歓声に変わり 女子生徒は 車に引かれずに すみました。
「痛い!なんなの!触らないでよ キモい!」
女子生徒は、勢いよく手を 振り払い 助けてもらった お礼も言わず そそくさと 去ってしまいました。
周囲の人たちは ヒソヒソと 話していましたが ココロちゃんに 話しかける 様子もなく いつもの街の風景へと戻り 人の波も いつものように 流れ
ココロちゃんだけが 一人取り残されて いました。
(やっぱり......慣れないな...こうゆうの...フゥー)
ココロちゃんの口から ため息が漏れ 歩き出そうと......その時、
「いっいた...い...」
ふと、手を見ると 誰かが 手を握っています。
振り返ると 渚君が 立っていました。
「お前 バカじゃねぇの!」
(なっ渚君‼)
強引に 手を引き寄せ 湿布をぺたりと 張り付け
「勝手に 痛めてるんじゃねぇよ!バカ!」
ココロちゃんは 何がなんなのか 分からず
「ごっ...ごめんなさい...あっ......ありがとう」
と、頭を下げました...が...もう すでに 消えていました。
(あれ?渚君?......)
手に貼られた 湿布を 見つめながら 笑みがこぼれ ココロちゃんは 歩き始めました。その足取りは ほんの少し 軽くなった 気がします。