第3話
やっとルビの振り方を覚えた・・・
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「ねぇ。あれ、私はレッドドラゴンに見えるわ。しかも怒り狂っているようにも見えるわね」
「あぁ。確かにそうだな」
「レッドドラゴン?おいおいマジかよ。成長したヤツは俺たちでも倒せたことねぇぞ?」
「ドラゴンはもともと人族並みの知性と理性がある・・・成長したら更に経験も加わるから非常に厄介・・・」
「そうだな。そうなんだが体が大きいわりには妙に弱い。いや、正確に言えばほとんどスキルを使っていない。感知系と種族スキルは使ってはいるがそれも弱い。だが経験は豊富そうに見える」
「私もそう見えるわ。不思議ね。そういう個体なのかしら?」
「なら俺たちでも勝てるんじゃねぇのか?」
「バカね。そう簡単に行くわけないでしょ。あのドラゴンは体だけ見れば成竜期よ。この前、幼竜期のドラゴンを倒したから成竜期のドラゴンも倒せるとか言って、挑戦して返り討ちに遭ったじゃない。そんなの二度とごめんよ。私なら逃げるわ。リーダーもそう思うでしょう?」
「そうだな。だが今回はそれはできない」
「どうして?」
「人がいる。襲われている」
「え?あ、本当ですわね」
「こんな辺鄙な森でか?そいつ結構怪しんじゃねぇか?」
「怪しいがまだ子供とも言える年齢だ。そいつがスタンピードを起こした可能性は低い。ありえないわけではないけどな。けど原因としてはあのドラゴンの方が有力だ。それにあのドラゴン、いや・・・まさか・・・」
「リーダー、あのドラゴンは多分・・・」
「ああ。その可能性がある」
「ドラゴンがなんだってんだ?」
「なんでもない。取り敢えず少年を助けるぞ。そして倒せるならあのドラゴンを倒す。いや、倒した方がいい」
「逃げる、ではなくて?」
「ああ」
「了解ですわ」
「おう!!」
「うん・・・」
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「小僧!!無事か!?」
「無事・・・とは・・・いえ・・・ない・・・」
神楽は混乱し、痛みに耐えながらもなんとか答えた。少し視界がぼやけていたが、神楽は声をかけた人を観察した。
(頭以外全身フルプレートに、大盾、大型の片手剣か。更にスキンヘッドの大男ってテンプレ通りのタンクじゃん・・・重くないのか?)
「じゃあお前はそこで待っとけ!!あれは俺たちが対処する!!エメリア!!治療を!!」
「うるさいですわね。あなたに言われなくても分かってますわ。っとその前に。暴風塊・爆!!」
エメリアと呼ばれる女性は神楽に近づきながらドラゴン目掛けて魔法を発動した。
風の塊がこっちに向かってくるのが見えたドラゴンは頭を逸らし、躱した。だがその塊が通り過ぎてすぐに爆発した。かなりの威力だったらしく、ドラゴンは撃ち落とされた。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
女性はドラゴンを撃ち落とすことに成功するのを見届けると、神楽に向けて声をかける。
「ほら、容体を確認するからあなたはあまり動かないでくれるかしら?」
だが神楽は少し感動していた。
(魔法だ。この世界は魔法が存在する。生き残れたら後で教えもらおう・・・それよりもあの魔法結構威力あるな。ドラゴン撃ち落とされてるし)
神楽はそう思いながらドラゴンを見ていた。
ドラゴンは悶えてていたが魔法を打った女性を探していたところ、
「どこ見てる」
突如ドラゴンの背後から現れた剣士はそう言いながら背中に向けて一閃。だがドラゴンの背中の鱗は硬いせいか、キィーーンと甲高い音を立てながらも剣を斬りつける。
「チッ、キズをつけるくらいか。リエユ!!」
「ダークボール、ダークランス・・・」
剣士は退避し、他の仲間に指示を出した。それとほぼ同時に別の場所から同じ色の形の違う魔法がいくつか放たれた。
ドラゴンはどちらの魔法も避け、剣士に攻撃しようとしたところに、大男がドラゴンに攻撃を加えた。
「重撃斬!!!」
大男が持つ剣は見ただけでかなり重そうだと思うのにもかかわらず、軽々しく振り回している。
(あの大男どうなってんだよ。力強いってレベルじゃないぞ・・・脳筋か?)
と思っていたところ、側にいる女性が治療を始めようとした。
「さ、あっちは任せてこっちは治療に入るわよ。その怪我では私でも応急処置程度なのだけれど。
【万物を構成する魔よ 我の求めに応じ 大いなる癒しを与え給え】ハイヒール」
(詠唱?今さっき二人とも・・・)
神楽は緑色の光に包まれて、少しずつキズが治され、痛みが引いていく。
「ふう。こんなものですわね。動ける程度には治っているはずです」
「ありがとう…ございます」
神楽は命を助けられた自覚があるのでお礼を言った。
「私は加勢しに行きます。あなたはそこでじっとするなり逃げるなりしてください。邪魔だけはしないで欲しいわね」
「ちょっ…うっ」
神楽は追いかけようとしたが、体はあくまでも応急処置程度ゆえに言うことを聞かない。そのままドラゴンに向かっていく女性の背中を見つめていた。
エメリアがリーダーの剣士の元に状況を確認する為にやってきた。
「リーダー、加勢するわ。状況は?」
「エメリアか。あんまり芳しくない。そっちはどうだった?」
リーダーと呼ばれた剣士とエメリアはドラゴンの攻撃を対処しながら会話していく。
「ひどかったわね。まぁ動ける程度には治っているはずだわ」
「そうか。ならあいつは後回しだ。エメリアは後方ででかいヤツを。短期決戦でいく」
「なら少し時間をいただくわ」
エメリアはそう言い、後方に移動して集中し始めた。
「ダエル、リエユ!!ブレスくるぞ!!退避!!!」
ブォォォオオオオオオオオオオ
「リーダー!!攻撃がほとんど効かねぇ!!」
「リエユはエメリアが魔法を打つ時に水属性初級を加えろ!!!それまでは闇でヤツの気をそらせ!!!」
「了解・・・」
「ダエルはそのまま維持!!時間を稼げ!!!火炎弾くるぞ!!!」
ダエルと呼ばれた大男は火炎弾を避け、無理な場合は丁寧に受け流す。
「チッ!!一発一発がでけぇんだよ!!!」
ダエルが攻撃を受けている時、リーダーの剣士は既にドラゴンの元にいた。
「閃!!」
剣士の攻撃が通じたのか、ドラゴンは剣士を踏み潰そうとする。だが剣士は既にその場所にはいない。さらに攻撃を加えようとしたところ、頭に影が映った。
「ダークランス・・・」
頭に魔法を打たれた。ドラゴンはそう理解した。ダメージがあまりないとはいえ鬱陶しいものは鬱陶しいのだろう。標的を変えようとしたところ、腹部に痛みを感じた。
「お腹がガラ空きだったぞ」
剣士はドラゴンががリエユに気を取られた一瞬の隙を突き、既に比較的柔らかい腹部に攻撃を加えていた。だがドラゴンが悲鳴をあげる間も無く更に攻撃される。
「重撃斬!!!」
後ろに回ったダエルの渾身の一撃によって、尻尾を切られてしまった。
これにはドラゴンも堪えたのだろう。
『GUAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
悲鳴を上げ、怒り、ダエルに攻撃を集中させる。だが大男の本職はタンク。ドラゴンの攻撃を避け、受け流し、捌いてく。
その間にも剣士はヒット&アウェイを、リエユと呼ばれた魔導師の方は闇属性の魔法を加え、ダエルに無理をさせないようにする。
しばらく、安定した戦闘を行っていたところに、後方から声をかけられた。
「いけるわ!!」
「総員退避!!!」
声をかけられ、剣士がすぐに指示を出した。攻撃が止んだことに戸惑っていたドラゴンに最大級の魔法を放つ。
「暴風刃!!!」
「アクアボール・・・」
巨大な竜巻がドラゴンを包み込む。竜巻の中は無数の風の刃が放たれていた。その直後に複数の水属性初級魔法が竜巻に向かって行った。アンバランスな二つの魔法だが、合体し、威力が少し増した。
「やったか!?」
ダエルは無意識にその言葉を口にした。実際この場にいる誰もがこれで倒したい思ったのだろう。だが現実はそんなに甘くはなかった。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
ドラゴンの咆哮と同時に竜巻が強制解除された。
「嘘でしょう・・・」
「冗談じゃねぇ・・・」
「・・・」
「やっぱりか・・・」
ドラゴンは普通に立っていた。無数にキズがあるものの、致命傷は負っていない。そこだけは守ったのだろう。
「おい!!ボサっとするな!!」
自分たちの最大の攻撃をもってしても倒せなかったことにショックを受けていたのだろう。僅かに呆けていた。その隙をドラゴンは逃さず、反撃した。
ドカーン、ドカーン、ドカーン、ドカーン
火炎弾4発。この場にいる全員に向けて放たれた。
リーダーは避けたが、エメリアは魔法を発動した反動で反応が遅れたものの、避けようとしたが避けきれず、ダエルは盾での防御は間に合ったが、受け流せずそのまま吹き飛ばされた。リエユはある程度予測していたのか、ダークボールを放ち、軌道を逸らし、余裕を持って避けた。
「くそっ!!!エメリア、ダエル、返事をしろ!!」
「こっちは大丈夫だ!!」
ダエルしか返事は返って来ていないが、エメリアの方は魔法を紡いでいるのを確認できたのだろう。
一応無事でいたことに、リーダーはホッとなり胸をなでおろした。が、すぐに意識を切り替えた。
一人でも欠けている状態では時間稼ぎならともかく、ドラゴンを相手をするのには無理がある。ダエルは無事らしいが、復帰するにはもう少し時間がかかるだろう。
つまり今は二人。
かなり無理をしなければならないのだろうということは想像に難くない。
例えエメリアが立ち直ったとしてもさっきと同じような手ではエメリアの魔素切れで使えないだろうし、使えたとしてももう通用しないだろう。
奇襲じみた行動をとったからこそ成功し、ダメージを蓄積できたわけであって、完全に警戒されている現状、部が悪いとリーダーは確信している。
それに加えてリエユでは相性が悪い。
近接攻撃だとしても向こうが隙がないと致命傷を与えることができない。二人欠けている今で、隙を作って致命傷を与えよ、というのはは自分とリエユの技能では間違いなく不可能に近い。
逃げるにしても我が身を囮にする必要がある。それはまさしく最後の手段であるので、あまりしたくはない。
ここまでの事を瞬時に判断し、最善は二人でドラゴンの気を引いて二人が復帰するのを待ち、此方が不利ではあるが長期戦覚悟でやり合うか、それとも復帰した後に逃走するかの二択までに絞る。
後者はなるべく選択したくはない。とある理由により無関係者たちをも巻き込む恐れがある。
リーダーと呼ばれる剣士は後者を選択した場合を想像し、背中に流れる冷たいものを感じながらドラゴンの攻撃を躱しながら考え続ける。
後一歩、何かあればとそう思っていたところ、ふと耳に歌が聞こえた。
「♪〜♪〜♪〜♪〜♪♪〜♪〜♪♪♪♪〜♪〜♪♪♪〜♪♪♪〜♪♪〜♪」
「ん?なんだ!?」
突然聞こえた歌にリーダーは珍しく狼狽える。
だが後にこの歌が自分達の命運を分けることになろうなどとは、リーダーや他のパーティメンバーの誰にも予想出来る筈もなかった。
歌詞ってダメだったんですねー
「♪」で書いててよかった。
「♪」で書かれた部分は前と同じ要領なので気にしないでください。
相変わらず戦闘シーンが難しい・・・
誰かは分かりませんが評価ありがとうございます。
あれ?目から汗が・・・