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プロローグ

どうもお久しぶりです。


今夜から第二章開始です。

 その昔、神と悪魔は戦った。神魔対戦と言われる戦いは様々な土地に傷跡を残し伝説をして語り継がれている。

 神と悪魔の力は均衡状態していた。そこで創造主は新たな生命を誕生させることで、戦争を終わらせようとした。しかし、それは自らを終わらせる結末を生み出す。


 ドラゴン、新たに生み出された生き物は自我を持たぬ獣だった。神も悪魔もお構いなく全てを食らい続けたドラゴンはまさしく最強の存在であった。だが、ドラゴンにも終わりがくる。

 神と悪魔を殺し尽くしたドラゴンは創造主である神を最後に殺そうとした。しかし、神はドラゴンに滅びを命じ死滅させた。そして残った創造主は、神も悪魔も多く死んだ大地を見て涙を流した。


「なんと愚かなことをしたのか」


 創造主の涙は海を作り、新たな生命を育んだ。悪魔の残留した魂は魔族となり、神の残留した魂は精霊となった。そして、どちらとも魂が混ざりあった生物の集合体は人間族となった。

 最初こそ、魔族と精霊族が大地を支配していた。しかし、人間族は凄まじい速さで数を増やし続け、精霊族をそして魔族を淘汰していった。

 創造主は、その光景を見て大地は安定したと判断した。そして創造主は眠りについた。それは二度と目覚めることのない眠り。


「スペルマスター」


 魔狼は酒を飲み干しグラスを置く。ふと昔話を思い出したのはスペルマスターの名を聞いたからだろう。スペルマスター、それは魔族が人間に淘汰されようとした時代。初代魔王と共に人間族と戦った伝説の魔族の名だ。今も生きているわけはずがないので、名前を継承しているのだろう。だが、スペルマスターの名は初代魔王と並び称される名なのだ。


「本当に存在したんだな」


 魔狼と呼ばれている以上、力には自信がある。魔族は強者こそが正義であり、死天王と呼ばれる存在は魔王に継ぐ強者である。その中でも序列があり、魔狼はラミアの上、つまり三位に位置している。自分の上に二人の死天王が存在する。

 上位の者と戦ったとしても、負けるとは思っていない。だが、スペルマスター。その名を聞いたとき自分では勝てないと納得してしまった。


「ここにいたのか」


 酒を飲む魔狼に声をかける者がいた。


「主か、行くのか?」


 魔狼が主と呼んだのは魔王ではない。口にしていたスペルマスターその人だ。


「ああ、あとは頼む」

「配下の俺を連れて行かないのか?」

「お前には守ってもらいたい奴がいる」

「嬢ちゃんか。まぁここで生き抜く術は教えておく」

「頼んだ」


 まさか自分が魔王でもない魔族の配下になるなど考えてもいなかった。


「それで?一人でいくのか?」

「今回はツララとスラを連れていく。リヴァイアサン領は魔海マカイが存在する。あいつの能力が活きるだろう」

「そうか、今回俺は参戦しない。それでいいんだな」

「ああ、代わりにやってもらいたい仕事がある」

「鬼の嬢ちゃんか」

「ああ、頼む」


 何も語らなくても分かり合えるのは、配下になったからではない。これまで何度も話を重ねて時を待っていたからだ。


「お前の敵は誰だ?勇者か?それとも魔族か?」

「わかってることを聞くなよ」


 魔狼は答えを知っている。だが、離れることがわかっている今だからこそ、確かめておかなければならないと思ったのだ。


「どっちもだ」


 魔狼の主である魔人族の男、スレイヤーは立ち上がりその場を離れた。


「わかってるよ」


 スレイヤーの答えに片手を上げて答えた魔狼はスレイヤーを見送ることなく新たな酒を頼んだ。


「オジサマ、こんなところで飲んでるですか?」


 スレイヤーと入れ替わるように入ってきた少女は、頭に狼の耳を付けた獣人族の少女でリサと言う。スレイヤーにある事情から助け出され、現在は獣人魔族に預けられ魔狼が面倒を見ていた。


「むっ。リサ嬢」

「最近飲み過ぎですよ。今日はこれで終わりです」

「しかし」

「ダメです」

「むー」

「あっそういえば、あの人はどこに行ったんですか?先ほどから探してるんですけど。見つからなくて」


 リサがあの人と言う相手は魔狼が忠誠を誓った相手であり、先ほどリヴァイアサン領へ旅だったスレイヤーのことだ。

 

「もうここにはいねぇよ」

「えっ!どういうことですか?」

「仕事だ仕事。男の仕事に文句をいうんじゃねよ」


 魔狼の言葉にリサは頬を膨らませる。


「またいない。あの人どうしていつもいないの」

「あいつは特別なんだ」

「特別?」

「いつか嬢ちゃんにもわかるさ」


 魔狼は魔族でないリサを好ましく思っていた。魔族に生まれたならば、強者でいなければならない。だが、リサは魔族ではない。今は魔族に守られる存在なのだ。そんな存在に対して好ましく思えるのは、自らの心に余裕があるからだろう。


「俺はもう一つの仕事に取り掛かるか」


 魔狼は新たな死天王となった鬼女のことを考え、余計な仕事を押し付けられたとため息を吐いた。

 


いつも読んで頂きありがとうございます。

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