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アモン領大戦 1

 ラミアが魔狼と同盟を結んだ。勇者が制圧したベルゼブブ領を手に入れた人間族は、続々とベルゼブブ領に人々を住まわせ自らの領地といて地盤を固めた。

 次なる標的となったのが、多くの人間族が戦いを繰り広げていたアモン領であった。すでに魔狼が出現しなくなって一月が経とうとしていた。

 人間族の平気である極大魔法は使うことができず、魔狼が出現しなくなったアモン領は人間族が戦局を優勢に進めつつあった。

 

 しかし、ベルゼブブ領領主 ラミア・A・ベルゼブブがアモン領に出現したことで戦況は覆された。ラミアと砂漠の相性はよく。昼間の戦場でラミアの動きを止められる者は皆無に近い状態だった。

 さらに、魔狼の復活も噂された獣人魔族が息を吹き返し、夜は獣人魔族が、昼はラミア率いるベルゼブブ軍が人間族を責め立てた。


「勇者はまだか?」


 ラミアは苛立つを表に出して、天幕のテーブルを叩きつけた。叩きつけられたテーブルは破壊され、粉々に砕け散る。

  

「落ち着かれてはどうだ?」


 ベッドから起き上がった魔狼は椅子に座り食事をするまに回復していた。枯渇した魔力も回復しつつあり、今まで以上の力を感じるようになっていた。

 ラミアが死地を超えたように、魔狼もまた限界を突破したのだ。


「しかし、いや。すまない。確かに焦っていたかもしれん」

「勇者は必ず現れる。それは俺の予感でもある」


 魔狼は死地から蘇ってから狼人族の姿を解いていない。それは自らの力が充実しているのを感じているからだ。


「失礼します。前線が押し返され始めました」

「「来たか」」


 報告にやってきた獣人魔族は二人の声に驚き尻餅をつく。


「魔狼殿」

「わかってるよ。勇者は譲る。だが、あんたがもしも負けたなら、俺がもらうぜ」

「負けん」


 天幕から飛び出していったラミアの背中をライダーたち眷属が続いていく。


「さてと、俺たちは露払いをしますか」


 魔狼は椅子から立ち上がり立てかけられていた槍を頼りに立ち上がる。


「タマモはいるか?」

「ここに」

「勇者が現れた。最終決戦の始まりだ」

「よろしいのですか?」


 タマモはラミアが過ぎ去った方へ視線を送る。


「ラミア殿の配下に負けた俺に戦う資格はねぇさ。もちろん、ラミア殿が負けたときは俺が必ず勇者を討つ」


 魔狼の威圧はこれまで以上に強いものだった。タマモは親方の成長に身震いと共に安堵を感じた。魔狼が入れば勇者など他愛がない。


「親方の望みは我が叶えよう」


 魔狼の代わりにタマモの指示で獣人魔族、虫人魔族、全てが動きを開始する。今まで均衡を保とうとしていた魔族の動きに人間族も応戦した。

 今まで様子を伺っていた両軍は、均衡が崩れて泥沼の戦いに突入した。数と力の戦いは壮絶な地獄を作り出す。


「見つけたぞ。勇者」


 勇者一行は戦場の真ん中にいた。獣人魔族を切り伏せ、魔法で焼き払う。彼ら四人は他の兵士とは強さの次元が違っていた。誰一人勇者たちに太刀打ちできる者はおらず蹂躙されていた。 

 

「蛇姫」


 上空から襲い掛かるラミアの爪を、勇者は剣で受け止める。現れたのは四人の配下を連れた蛇姫だった。一度戦ったことで勇者の強さを知っている勇者は最大限の警戒を持って迎え撃つ。


「お前は私が討つ」

「負けるか」


 武器を交える二人の周囲には四人の眷属と、三人の勇者パーティが戦いを始めていた。


「兄さんのカタキ」

「スレイヤーの無念」

「にぃにぃ」「兄」

「「「「はらす」」」


 四人の眷属は個性豊かな性格をしていたが、今回の戦いにかける思いは皆一緒の想いだった。


 ライラが補助魔法を発動して三人のを支え、近接戦闘が得意なライダーが戦士グルガンが迎え撃つ。ララ、ラピスもまたエティカ、ダルデに戦いを挑んだ。

 勇者から引き離すように、眷属たちは三人を強引に引き離した。


「邪魔者はいなくなった。貴様の命を刈り取る」


 爪を元に戻したラミアは、三つ又に分かれた槍を構える。本来ライダーが使っている槍はラミアによって教え鍛えられたものだ。

 師であるラミアはライダー以上の使い手であることも間違いない。


「俺は人類の希望だ。負けない」


 二人は槍と剣をぶつけ合い激しくせめぎ合う。二人は分かっているのだ。体力が消耗していた前回とは違う。今回は力をぶつけ合っても相手を倒せるほどの一撃を討てるわけではない。

 だからこそ、相手を討てるまでの一撃が放たれるまで、体力を削る消耗戦が続く。


「どうした勇者よ。今日は魔法剣を使わないのか?」

「お前こそ、炎蛇なんだろ。炎はどうした?」


 二人は相手のスキを伺うように武器だけをぶつけ合う。その間も二人を取り込むように、獣人魔族と人間族の戦いは激しさを増していく。 

いつも読んで頂きありがとうございます。

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