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間話 勇者パーティー

ブックマークしてくれる方がたくさんいて、嬉しかったので前倒し投稿です(*'ω'*)

 シュウ・アカツキが勇者として任命され、訓練に励む間に王は様々な方面に魔王と戦えるであろう人材を募集した。

 種族は問わぬ王の呼びかけに答える者は一万を超え、その中でも飛びぬけた才を持つ者が勇者のパーティーとして選ばれた。


「クラウドさん。今日はなぜ王様に呼ばれたのでしょうか?」

「君の仲間が決まったんだ」

「仲間?」

「そうだ。勇者の仲間だからね。強い人たちを集めなければならない」


 シュウが勇者として任命されてから一カ月が経とうとしていた。その間にシュウは実戦経験を積み。オークならば一人で倒せるまでに成長していた。

 さらに、勇者としての戦闘センスも発揮し始めていた。


「騎士クラウド、勇者シュウ・アカツキをお連れしました」

「入れ」


 謁見の間に入る際は自身の立場と名前を名乗り、宰相の言葉があるまで入室することはできない。宰相は王の横に立ち、王と一緒に政務から財務など、文官の最高位として働いている。宰相に並ぶ役職は、軍務を司る元帥と教会の大司教様ぐらいだ。


 宰相の言葉で入室した二人を待っていたのは、王の前に膝を突く三人の男女だった。


「よくぞ参った、我が勇者よ」


 王の声に導かれるようにシュウは赤絨毯を進み。王の前で膝を突く。


「勇者シュウ・アカツキ、王の命により参上致しました」

「うむ。もう、クラウドから聞いておると思うが。此度の魔王討伐に勇者と共に同行する仲間を選別しておいた。今日は顔合わせとして我が皆を勇者に紹介しようと思う」

「有難きお心遣い痛み入ります」


 この一カ月で学んだことは戦闘だけではない。王様に謁見する際の礼儀作法や貴族の礼儀。食事のマナーなど魔王を討伐した後に生活を見越した振る舞いなども学んでいた。


「うむ。では早速紹介していこう。まずは、我が国最高の剣士にして、最高の戦士グルガン」


 王に紹介されて立ち上がった男は、筋肉隆々とした巨漢だった。鋭い目つきと纏う雰囲気は王国の騎士よりも遥かな威圧を放っているとシュウは思った。


「次に魔法の国が生んだ最高の魔女エティカ・ヴァルプルギス」


 次に立ち上がったのは女性で、黒いローブを纏い、綺麗な黒い髪が特徴的な女性だった。魔女と言うと魔族に属しているイメージがあるが、元々人間族であり人の中でも魔力が高い者たちを魔女と呼ぶ。


「最後は司祭マカロフの子にして神官ダルデ・マカロフ」


 最後に立ち上がったのは神官服に眼鏡を付けた神経質そうな若者だった。歳はシュウと同じぐらいだが、相手に冷たい印象を与える釣り目でシュウを一瞬見下ろした。


「以上三名が勇者と共に旅をする者たちじゃ」


 王の紹介が終わり、三人が膝を突いて頭を下げる。王は三人に頷く。


「四名は王国内での練度が住み次第。旅の支度を整えて魔王討伐に向かってほしい。もちろん四名だけで旅をさせるわけではない。王国騎士団、商人ギルド、冒険者ギルドが四人をバックアップしてくれる。また現地で有力な者がいれば登用し、仲間とするがいい」

「お心遣い痛み入ります」

「うむ、勇者よ。そして勇者の仲間たちよ。人間族の命運はそなたたちにかかっておる。期待しておるぞ」

「「「はっ」」」


 クラウドと共に退出した四人はクラウドの案内の下、訓練所へと来ていた。本来は騎士しか入ることをゆるされていないが、今回は戦士グルガンが仲間の実力が知りたいということで提供されたのだ。


「グルガン殿、ここならば思う存分剣を振るおうと魔法を使おうと問題ない」

「クラウド殿、場所の提供痛み入る」

「いやいや、剣神グルガンの剣が見られるのだ。こちらこそ感謝したいぐらいだ」

「剣神?」


 クラウドの言葉に事情を知らないシュウが反応する。


「何も知らないのか?」


 シュウの反応に信じられないモノを見るように神官ダルデが驚いた顔をしている。


「ずっと田舎暮らしだったので、世間の事情は詳しくないんです」


 シュウは申し訳なさそうに顔を伏せる。


「神官様は自分が知っていることは他者も知ってて当たり前だとでも思っているのかしら?」

「なんだと!?」


 シュウの態度を弁護するように魔女エティカがダルデをバカにした口調で割り込んできた。


「知識があるのは素晴らしいことだけど。それを相手にも求めるのはお角違いって言っているのよ。神官なら相手の立場になって物事を考えるようにすれば」

「……魔女が偉そうに」


 エティカの言葉に一瞬言葉を失ったダルデでだったが、凄くに悪態を吐いて顔を背けた。まるで神官とは思えない態度にシュウもダルデという人物がわからなくなる。


「気にしない気にしない。こいつはこういう奴なのよ」

「二人は知り合いなんですか?」

「お互い反目し合う組織に属してるからね。幼い時から顔を合わせる機会が多かっただけよ」


 エティカは不貞腐れたダルデの代わりに、親切に話しかけてくれた。二人とも歳はシュウよりも二つ上で、魔法と聖歌、名前は違うが魔女と神官が使う特殊な能力を使う天才と呼ばれているらしい。

 そして剣神は人間族開かれる剣の大会で一位になった者に与えられる称号なのだ。


「そんなスゴイ人なんですね」

「そうよ。私は魔法の。それでダルデは聖歌の大会優勝者なのよ」

「ハァー、皆さん凄いんですね」

「まぁね。だから私達はあなたの仲間であると同時に師匠でもあるの」

「師匠?」

「そうよ。あなたがどの程度戦えるのか、見極めさせて頂戴」


 エティカの説明が終わると、グルガンやダルデがシュウを見ていた。


「さぁ始めよう。勇者の力を見せてくれ」


 クラウドが審判となって勝負が始まった。


 

いつも読んで頂きありがとうございます。

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