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宮廷魔法使いをしもべにしてやろう

「大儀でした。マホ、ゲドー」

「ゲドー様と呼べデコッパチ」


 謁見の間に戻った俺たちを、姫が出迎える。

 マホは無表情で頭を下げる。

 俺は尊大に腕を組んでいる。


「何やらお肌がつやつやしていらっしゃいますね?」


 さっきまで枯れ木のようだった俺の身体は、今は若々しい肌具合になっている。


「その様子では、封印を解除したのですか?」

「はいです。1段階だけ」


 マホの返答に、姫が頷く。


「やむを得ません。いずれにしても、これから旅をするために必要なことでしょう」

「おい」


 俺の声に姫がこっちを向く。


「1段階目と言ったが、いったい俺の封印は何段階あるんだ」

「全部で4段階です。つまりあなたに施された封印は、残り3つです」


 あと3つか。


 どうやら500年前の神官どもは、よっぽど俺を恐れたらしい。

 人々が恐怖に陥る様を眺めるのは心地いいが、封印は鬱陶しい。

 全く忌々しいことだ。


 確かに俺の身体には力が戻っている。

 だが全盛期には程遠い。


 まして魔力の残存量はゼロだ。

 こんな有様ではこの場で暴れることすらできない。


 やはり残りの封印も解除しなければなるまい。


「いいだろう。言いなりになるのは癪だが魔王を倒しに行ってやる。俺にも利がある話だからな」

「よかった……」

「ただし条件がある」

「条件ですか?」


 俺はあごでマホを示す。

 マホが小首を傾げる。


「そいつを俺によこせ」

「よこせ、とは……?」

「俺のしもべにしてやると言っているんだ。光栄に思え」


 こいつは俺の魔力を補充できる。

 というかこいつがいないと、俺は今後も思うように魔法を使えない。


「それでしたらお安いご用です。しもべにすることはできませんが、元よりあなたに同行させるつもりでした」


 俺が魔王討伐を引き受けたせいで、姫はにこにこと上機嫌だ。


「あなたの封印を解く呪文は、私かマホしか知りません。王族である私は動けないため、マホが同行いたします」

「なるほどな。ならこいつは俺のものだ」


 少女と幼女の中間にいるような容姿だが、それはそれとしてマホは可愛らしい。

 あと数年もすれば俺好みの女になるだろう。


 それに魔力を分け与えるという能力も役に立つ。

 俺は役立たずの女は好きじゃあないが、マホはまず合格点と言っていい。


「マホ。優秀な宮廷魔法使いのあなたなら、必ずや魔王を打ち倒してくれると信じています」

「任せてくださいなのです」


 姫とマホが別れを惜しんでいるが、そもそも魔王を倒すのは俺だろうが。


「明日にも旅立っていただきますので、今夜はゆっくりとお休みください」

「壁に盛大に穴が開いているがな」

「……別のフロアに部屋を用意させますので」

「まず腹が減った」

「では食事も用意させます」


 慌ただしい一日だった。

 そもそも一国の姫であろうが、俺は人にあごで使われるのが気に入らない。


 封印が全て解けた暁には、この国を完膚なきまでに叩き潰してやる。

 せいぜい覚悟しておくことだな。

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