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封印解除その2

 胸を貫かれたマホが倒れている。

 見る見るうちに、床に血溜まりが広がる。


「マホ!? やられましたの!?」

「マホ、貴様……。いったい何をしている!」


 馬鹿な。

 脆弱な凡人風情が、このゲドー様を庇っただと?


「ふふふふ……。発育不良の小娘が、死に急いだか……」


 悪魔が笑っている。


「ゲ、ドー……様……」


 マホが床を這いずりながら、俺に近づいてくる。


 俺はマホを抱き止めた。

 胸のあたりが真っ赤に染まっている。


「このたわけが! 誰に断わってこの俺の身代わりになった」

「ごめ……なさい……です」

「愚か者が。もういい、ゆっくり……」


 マホが俺の言葉を遮って、俺の胸に手を当てた。


「……」


 マホが掠れた声で言葉を紡ぐ。

 それは、かつてマンマール城で聞いたものと同じ。


 封印解除の詠唱だ。


「それ以上喋るな。死にたいのか」


 俺の制止をマホは意に介さない。

 カフッと小さく吐血した。


「ゲドー……様」

「喋るな」

「私は、ずっと……城に、閉じこもって……」

「喋るなと言っている」

「だから……ゲドー様と、旅……楽しかった……のです」

「マホ」

「ありが……と……です」


 俺はマホを胸に抱いたまま見下ろす。

 マホはいつもの無表情で俺を見上げて――あるかないかの笑みを浮かべた。


 俺の身体の中で、パキンと錠が外れるような音がした。

 二段階目の封印が、解除されたのだ。


「マホ」

「……」

「おい」

「……」


 手が力なく垂れ下がる。


 マホは動かなくなっていた。


「……」


 ……。


 俺はマホの身体を床に横たえた。

 立ち上がる。


「ふふふ……。自ら死を望むとは、所詮は下等な人間。脳みそまで発育不良だったな……」


 悪魔が俺に指先を向けた。


「安心しろ。貴様もすぐに後を追わせてやる……」


 悪魔の指先が黒い光を放った。


「アークレーザー」


 迸った黒い光は、俺の胸で弾けて消滅した。

 俺の胸には、薄い焦げ目が残っただけだ。


「な、馬鹿な……?」


 悪魔が動揺して、黒い光を何本も連射した。


 腕、足、腹、頭。


 それらは全て、俺の皮膚を軽く焦がしただけだ。


 二段階目まで封印が解かれたことで、俺は魔法障壁を展開する力を取り戻していた。

 人間を容易く貫通するアークレーザーとやらも、もはや俺には通用しない。


「あ、あり得ん……。上位悪魔族である俺の攻撃が……」


 悪魔が一歩後退する。


 俺はそれを追うように一歩踏み出した。

 俺の身体から、暗黒の波動がバリバリと放出されている。


 魔力の渦が、俺を中心にごうごうと渦巻いている。


 俺は闇色の瞳で悪魔を見据えた。


「ひっ……」


 悪魔が怯えたように後ずさる。


「マホは俺のものだ」


 俺は低い声を発する。


「誰に断わって、俺のものに手を出した」


 俺は距離を詰める。


「誰の許可を得て、俺のマホを殺した」


 俺は腕を振り上げる。


「ひいっ! ま、待て……。わかった、負けを認め……」

「ベギン」


 悪魔の首が宙を舞った。

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