邪悪な大魔法使いが復活してしまった!
俺は目を覚ました。
眠い。
とにかく眠い。
俺は腕を動かした。
ギギギと音がするような感覚。
まるで錆びついた扉を無理やりこじ開けているかのようだ。
腰を軋ませながら上半身を起こす。
身体が鉛のように重い。
「おいっ、目を覚ましたぞ!」
「警戒を怠るな!」
「謁見の間に連れて行くんだ!」
重い瞼をこじ開けて周りを見る。
薄暗い地下室。
何十人もの兵士に囲まれていた。
すぐにわかる。
こいつらは取るに足らない有象無象どもだ。
俺は立ち上がった。
身体に力が入らない。
ふらつく。
「邪悪な大魔法使いゲドー。姫様がお呼びだ」
兵士の一人が俺の腕を掴む。
「触るなゴミが」
俺はその兵士を殴った。
が、兵士はちょっとよろけただけだ。
そんな馬鹿な。
「メガトン」
俺の口から、自分でも信じられないほどの掠れ声が出た。
そして何も起こらない。
魔法が発動しない。
「貴様っ、抵抗するな!」
「痛めつけて無理やり連れて行け!」
「やめろ雑魚ども俺に触れがはごはへぶっ!」
ドゴッバキッガスッ!
フルボッコにされる。
おいやめろ。
痛いんだよ。
やめろって言ってあんぎゃあああ!
「……」
ボロキレのようになった俺を、兵士が引きずって行った。