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魔王の日常  作者: 茨城
8/10

8話目

目の前にあるのは赤くて色々な紋章? らしきものが彫ってあってる巨大な扉。


ん?


よく見たらあの紋章は少し工夫された魔方陣じゃないか。

多分人間に魔方陣だと気付かれないように姿を紋章に変えたのだろう。

魔方陣は書いたところにずっと残るが、使うと消える。その為 魔方陣を少しいじって紋章などに変え、消えないようにすることに魔族が成功している。


魔方陣を残す事が出来るのに人間はまだ気づいていないのじゃが。これはちょっと頭が良くて魔力が多ければ簡単に出来るのに。


超複雑で難しいけど。



隣をチラッと見ると、ニコルは目を少し細め、扉を見つめて何か小さくつぶやいている。もしかしてニコルはこの扉の事を知っているのかな?と思いながら妾も巨大な扉を見上げた。


ケイトによるとこの扉は勇者ぐらいの力がないと開けられないらしい。

--そういえば、70年前といえば城で 第三軍団「特殊魔法 防御」の奴らがこんな物を作っていたような気が……。


確かあいつらが新人の部下に自慢してたのを盗み聞きしたのを覚えている、

「これはさすがに魔王様でも開けられないだろう!」とか自信満々で言ってたな。


よし、決めた。開けてやろうじゃないか。


まず妾は《ゴッドアイ》を魔族の魔力だとばれないように使い、扉の後ろ側に人間がいるか見てみた--どうやらあまり人間はいないようだな。

《ゴッドアイ》通称《神の目》はどこに誰がいるのか把握出来るが、片方の目を閉じないと使えないからちょっと不便。


次にどうやって「クリス=メルキア」としてあの扉を開けるかだ。


……1センチぐらいなら開けてもバレない………多分。


でもなー。もし失敗して派手にやらかしちゃうと人間の国に入るのにはちょっと問題になっちゃうかもなー。(バロスにばれたら怖いし)



………っは!



シア達と扉を開けて、あの5人がやったことにしよう!


さすが妾、 天才じゃな。



▫️◼️▫️◼️▫️



「ねーねーフィリンお姉ちゃん。あのおっきい扉開けたいー」


クリスは扉を開けるためにも一番仲の良いフィリンに話しかける事にした、のだが--



「ぐはっ、その無邪気な笑顔は攻撃力が高--ええ、なんでもないわ。それであの扉を開けたいの?」



……??

フィリンは誰かに精神魔法で攻撃でもされているのか?なんかプルプル震えてるぞ?

それにちょっと意味不明な事を言ってた。


クルスはその疑問を心の隅に追いやり今すべきことに集中する。


「手伝ってくれる?」


「クリス、ケイトさんの話を聞いていたの?この扉を開けるには勇者様ぐらい強くないといけないんだよ?」


フィリンが返事をする前にニコルがクリスにそう言った。


ニコルは小さい子供に言い聞かせるように喋っているが、とても冷たくトゲトゲしい感じだ。バロスに「クルス様と一緒に行動しているかぎり彼女を止めるのも部下、そして側近の務めだ」とでも言われたのだろうとクルスは予想した、ニコルの真面目な性格からしてバロスに言われた事を守ろうとしているのだろう。


現在、魔王の側近は5・6人ぐらいいる、が正確な数はクルスにも分からない。何故ならクルス自身が側近が誰と決めた訳ではないからだ。側近といっても彼らがクルスを守る事はない、魔王というものは守られる程よわくないのでクルスが不在の時に代わりに指示を出したりする。といっても半分の側近の半分は城にいない。普段はバロス、ルディウス、そしてニコルが居て、時々他の奴ら学校が訪ねてくるぐらいだ。


少しぼーっとしていた間にシア、フィリン、ケイト、アルトとルークが何やら輪になってこそこそ何か喋っていた。

クルスの聴力は人間の耳に比べると15倍ぐらい良いのでシア達の会話が少し離れていても聴こえた。



▫️◼️▫️



(ねぇシア。クリスちゃん達は僕達の事を知らないみたいだね)


(ええ。多分ね)


(じゃあさっ!あの扉を開けてビックリさせようよ!グフフ…クリスちゃんのポカンとした顔も可愛いだろうね……ふふ)


(おい姉ちゃん声が大きいぞ!はぁ、姉ちゃん可愛い物の事になると変になるんだよな……)


( 確かに変になるよな)


(なっ、何よ。それよりアルト、なんであんたはクリスちゃんとニコル君をずっと睨んでたの?)


(俺はあいつらを信用できないだいいいちあいつらは無知すぎる。それにあの時感じなかったのか?クリスからとてつもなく邪悪で強力な魔力が出ていたのを)


( ( ( (………) ) ) )



(とにかく今はサプライズの事を考えようよ。ねっ?)



▫️◼️▫️



話し合いが終わると、シアとフィリンが何かこれはこーだのあれはどーだの話してからケイトとアルトを連れて扉の前まで歩いて行ってしまった。



「さて。クルスちゃん、この扉を開けたいんだね?」


残ったルークが振り返ると緑色の少し天然パーマーがかかった髪が少し揺れた。

クルスは 「クリス」としてなんと言い返せば良いのか考えながらこくんと頷く。


「ほら。おいで。一緒に開けよう?」


「うん!」


クルスはルークの手をとると赤い扉の方に歩き出した。



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