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魔王の日常  作者: 茨城
7/10

7話目

前回の話

・作戦成功

・自己紹介



「……なるほど、あのペットのグレイトウルフが館から逃げて追いかけていたらクリスちゃんも一緒について行きちゃって、あのグレイトウルフは主人であるクリスちゃんには敵意が無かったって話わけか……」


ため息をつきながらシアが言う。


城から逃げ出したのは本当だし、別に全部が嘘ってわけでもないからね。


クルスはニコニコしながらとりあえず 小さくハイっと答えておく。


今は森の手前の方に来ていて、もうすぐ国が見えるはずだとケイトが言っていた。


「さてクリス、そろそろお家に帰ろうか?」


ニコルは不器用な作り笑いをしながらクルスの手をとる。……いくら頑張っても普段笑わないニコルが作り笑いなんて無理じゃん、っと心の中で言っておく。絶対に口には出さないけど。


「エー、ヤダー。せっかくここまで来たんだからちょっとだけあそこを見てから帰ろうよー」


国の方を指差しながら精一杯駄々をこねてみる。何かをしないと城に連れ戻されてしまうからの!

するとフィリンが待ってました!とばかりに飛びついてきた。


「ねーねー シア、クリスちゃんもそう言ってることだしちょっと街の中を案内しようよ〜」


「……そうね、クリスちゃん達もあまり大きな国を見たことがないみたいだからちょっとだけならいいんじゃない?それでいいかしら、ニコル君」


シアがニコルの方に振り向いて少し顔を傾げた。

シアは普通の男性なら見惚れるほど可愛いのだがそれはニコルの前では通用しない。


「えっと、両親が心配しーー」


「いいよね?」

ニコルは顔を横に振ってシアの質問に答えようとしたがその声はフィリンにさえぎられてしまった。

その時クルスは国で何をしようかのー なんて考えていた。


「分かりました。少しだけなら」


ニコルは諦めたように言った。


とりあえず作戦は成功したようだ……が、クルスが覚えているかぎりでは人間の国に入るには身分証明証とやらが必要らしい。


「あの、私身分を証明するような物を持ってないんですけど」


クルスが不安そうに聞くとルークが微笑みながら


「大丈夫だよ」


と答えた。



▫️◼️▫️◼️▫️



今、シア、フィリン、ケイト、アルト、ルーク、そしてクルスとニコルは10メートルはありそうな赤い巨大な扉の前に立っている。


大きい扉の両側には小さい扉があって、そこに数十人程が並んでいた。人といっても耳と尻尾がある者いるし肌が水色の者もいる。さっきからシア達を指差しながら何か喋っているようだ、シア達は結構有名らしい。


クルスはふと疑問に思ったことをフィリンに聞いてみた。


「ねぇフィリンお姉ちゃん、あの人達はなんであそこに並んでいるの?」


フィリンはチラッと小さい扉を見るとクルスに向き直った。


「あれはね、一般の人が国に入る時に受けなきゃいけない審査に並んでいるのよ」


「なんで皆この赤くてでっかい扉を開けて国に入らないの?」


なぜかこの扉の辺りにいる人間はいなく、皆 横の小さい扉の方に歩いて行ってしまう。

その人間達を目で追っているとケイトが隣にやってきた。


「この扉は70年前に何者かに作られた扉で、とても高度な技術で作られているらしいぞ。

この扉を開けられる実力を持った人は多分この世に二人ぐらいだろ。……かつて魔王に挑み殺された《勇者セイルス様》そして現在は……魔王クルス=ディルメキア……その二人なんじゃないかな」


さっきまでルークと一緒に馬鹿騒ぎしていたケイトとは思えないような真剣な表情をして、扉を見つめていた。

特にクルスの名前を口にした時、なんとなく憎しみの感情がケイトから出ていたことをクルスと近くにいたニコルだけが感じ取っていた。


「えっとつまりねクリスちゃん、この扉は開けようとしてもすっごい強い人しか開けられないのよ」


フィリンがその場の暗い雰囲気を吹き飛ばすようにして言った。



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