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魔王の日常  作者: 茨城
6/10

6話目

グレイトウルフが黒髪の子供の方に走り始めた。なんとかそれをケイトとフィリンが止めようとするが、いくら結界の壁を張ってもすぐにその鋭い爪で破壊されてしまう。



「ファイアーボール。ワォーターボール。ウィンドカッター。リトルサンダー!」



いくら武器で攻撃しようとしても全て避けられるため、今は魔法に頼っているが魔法攻撃はグレイトウルフに当たりは当たるがノーダメージ。


その間もグレイトウルフは黒髪の少女の方に走っている。後 数十メートル進めばたどり着くだろう。



フィリンはこのままでは黒髪の少女が危ないと思い、その子の前まで走っていき、弓矢を構えてグレイトウルフの前足に矢を打つ、がその矢は右足をかすめただけで数メートル先の地面に突き刺さった。


それを見たグレイトウルフは歯をむき出して威嚇してくる。


ふとフィリンは なぜグレイトウルフは攻撃してこないのか、と思った。だってあのグレイトウルフは今まで私達からの攻撃を避けてばかりで一度も攻撃しようとはしなかった。


フィリンはニヤリとしながら、


「ライト」


と小さな声で呟くと右手から小さい光の球が飛び出しグレイトウルフの顔の前まで飛んで行ったと思ったら、突然 球の光が強くなった。


グレイトウルフは急に強い光を見た為、少しフラフラしていた。


その隙を逃さずにケイトがジャンプして斧をグレイトウルフの頭に振りかざそうとした瞬間、その場にいた全員が黒髪の少女から鳥肌の立つような強力な魔力をが出たことに気づいた、しかも何故かグレイトウルフの下に魔方陣が現れた。



「誰かが置いた罠かもしれない!離れて!」



突然の出来事に皆 驚いていたがフィリンの声にハッとして数メートルグレイトウルフから離れ、次に何が起こるのかとじっと待った。


魔方陣が現れたあとグレイトウルフはさっきまで暴れていたのが信じられない程静かになり、少し怯えているような表情をしていた。



あの魔力は何だったんだろうかと皆疑問に思ったが今はグレイトウルフに集中した。



すると魔方陣が光出してあっという間にグレイトウルフの姿が消え、代わりに黒髪に黒目、黒いコートに黒いブーツを着ている目つきの悪い少年が現れた。



少年は黒髪の少女を数秒見つめてから少し目を細くして、



. . .

「クリス、探したぞ」


と呟いた。


「僕の名前はニコル=メルキア。クリスの兄です。

僕のペットが館から逃げ出してしまいまして、ご迷惑をお掛けしました」



ニコルはポカンとしている冒険者に無表情でそう言った。


. . .

すると金髪の少女が剣を鞘に収めた。どうやらニコルとクリスを敵ではないと判断したようだ。冒険者全員がそれぞれの武器をしまうと金髪の少女が最初に口を開いた。



「私はシア。なぜああなったのか少しお話を聞かせてもらえます?」



▫️◼️▫️◼️▫️




クルスとニコルは今、5人の冒険者と一緒に森の中を歩いている。これもまたクルスの作戦通りだ。

クルスはグレイトウルフの下に書いた魔方陣に《移送魔法》を少しいじった魔法を練り込ませた、そうしてグレイトウルフをニコルが隠れていた木の後ろに、ニコルを魔方陣の上に《移動》させたわけだ。



ちなみにクルスがウィンドカッターを使って木々を吹き飛ばした音については何も聞かれなかった。ついでにそのことを忘れてくれれば良いんじゃが、とクルスは心の中で思った。



「クリスちゃん、どうかしたの?」


どうやら無意識に立ち止まってしまったようだ。


「なんでもないです」


クルスは作り笑いをしながらシアにそう答える。

ちなみにまだ作戦はつづいている。人間の国に入る事が最終目的だ。


クリス=メルキアとしての設定活発で明るい女の子、といった設定だ。両親は低級貴族で今日は館を向け出してこの森に遊びに来たとシア達に伝えている。


実際に両親はもうこの世にいないが、偉大な王だった……。


そんな考えを振り払ってからクルスはもう一回じーっと前を歩いているシアを見つめた。


シアは腰あたりまであるサラサラの金髪で、目は空と同じぐらい青い。17歳とは思えないような雰囲気を持っていて、右側の腰にはあの聖剣をぶら下げていてニコルはそれを避けるようにシアの左側を歩いている。



「さてと、皆落ち着いたところだし自己紹介をしましょうか!」



シアはくるりとクリス達の方に振り返るとハイテンションで話し始めた。



「 さっきも言ったけど私の名前はシア。このパーティーのリーダーを務めているわ 」


そう言って可愛らしく微笑む。普通の男だったら惚れているところだがチラッとニコルを見るといつも通り無表情だ。



「 俺はケイトだ。ちなみにフィリンは俺の姉だ 」


どうやらこの焦げ茶色の髪の少年はケイトというらしい。ケイトが姉と呼んだのは焦げ茶色の髪の少女、フィリンだ。



「 ちょっと!私の自己紹介を勝手に終わらせないでちょうだい。


私はフィリン、フィリンお姉ちゃんって呼んでくれる?あんな生意気な弟がいるものだから妹に憧れてるのよ 」


フィリンがキラキラした目でクルスを見つめてくる。



「 フィリンお姉ちゃん 」


仕方なくそう呼んであげると超喜んでいた。



次に緑色の髪の少年を見つめた。よく見ると少年は結構痩せていて、あまり戦闘にはむいてなさそうだが、魔力がその5人の中でも一番強い。


「 僕はルーク。一応魔術師なんだ〜 」


ルークはふわっとした感じで最初に見たときは女の子かと思ったが、正真正銘の男だ。


「……俺はアルトだ」


最後に赤髪が口を開いた。アルトは目も髪も真っ赤で、なんとなく貴族っぽい雰囲気だ。

なぜかクルスとニコルの事を嫌っているのは分かっているが別に何か嫌われるようなことをした覚えはない。


クルスとニコルもそれぞれ簡単な自己紹介をした。

その後歩いている間フィリンがクルスに質問をし始めた。


「 クリスちゃんは何歳なの? 」


何問目かの質問を答えた終わった時、フィリンがそんな質問をしてきた。


「164歳 」


素直にそう答えた。


「「「「「 え!? 」」」」」


ニコル以外全員が驚いてクルスをまじまじと見つめる。だがケイトだけはそれを冗談と思ったらしく、


「あははは。お前面白いな!」


そう言ってケイトはお腹を抱えて笑いながらクルスの背中をバンバンと叩いた。



「もしクリスちゃんがエルフならその可能性もあるわね……」


だがシアがそう呟くと笑うのをやめ、


「……え?……本当に164歳なのか?」


と聞いてきた。このままうんと答えるとエルフの振りをしなくてはいけないのでとりあえ否定しておいた。ニコルからの視線も痛いし。


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