思い出タイムカプセル
拝啓 たった一人で戦う君へ
今から二年後の君は、毎日をいかがお過ごしでしょうか。
今の私は夏休みの終わりが近づいてきているというのに、課題に全く手をつけず、毎日をダラダラと過ごしております。
君は、ただ高い壁を越えるために今必死で学力という武器を身につけているんでしょうか。
えぇ。あのときから、君の人生は変わってしまいましたもんね。
小学6年生のとき、担任が妊娠し、代わりに若い教育試験をついさっきとったばかりの先生がきたことを、覚えていますか。
あのとき、私たちの学級のクラスメイトは、面白半分に先生を無視したり、物を隠したりしましたよね。それで、正義感の強い君は、その一部のクラスメイトと戦った。けれど、逆に君もいじめられて、先生はある道徳の授業中、後ろを振り向き、背筋がゾッとするほどの笑顔でこう言いました。
「今から面白いもの見せてあげる」
そこで、窓を開けてまっさかさに先生は落ちていった。
私たちは近くて遠いはずだった『死』を目の当たりにして、クラスメイトや他の学級の先生、たくさんの人の心に、一生かかっても消えない傷を負いました。
それから、私は家で飼っていた金魚の死や、祖父の死。少しでも、何かが、誰かが私を取り巻く輪の中で死んでなくなることが怖くなってしまいました。
なぜなら、日本人誰もが義務で行かなければならない『学校』という場所であんなことが起こるなんて、誰も知りませんでしたからね。
私は、あれから中学に入ると吹奏楽部に入り、myトランペットを買ったので高校でも吹奏楽は続けました。大学でも吹奏楽部の仲間たちと一緒に、演奏しにいったりできたらいいなっと思っています。
もし、二年後の同窓会で君と会えるのなら、あの事件で暗闇に沈んだ私を救ってくれた『音楽』をぜひ聴いてほしいです。そして、昔の面影を残した君に、一目会いたい。
正直、君が高校2年生のときに、学校の先生になりたいって言いだしたときは、びっくりしたけど・・・
「日本のいじめ問題を少しでも減らしたい」っていう君らしい理由が聞けて、よかったなって思ってます。
最後に、私が高校卒業前日にタイムカプセルに託したこのボロボロの手紙を読んでくれてありがとうございます。
私は君の強くて、優しくて、面白くて、負けず嫌いで、頑張り屋で・・・
全部のいいところは言い切れないんですけど・・・
けど・・・ ずっと前から好きでした。
読者の方から三題噺のお題『死』 『学校』 『音楽』 をテーマにして書き上げてみました!お題をくれた方、本っ当にありがとうございます!
そして、最後まで読んでくださったみなさまありがとうございます!