第二話 片思い
「護!護ー!護ってば!」
「う、うん…?」
目を覚ますと…眩しいほどのイケメンが僕の目の前に立っている 綺麗な金髪に透き通ったような水色の瞳 彼が歩くだけで周りの女性は照らされる まさに太陽みたいな存在 天宮明それがこいつの名前だ 教室が今日も彼によって照らされている
「あ、あきら どうしたの…」
明が頬を膨らませる
「どうしたはこっちのセリフだよ!ずっと落ち込んでてさ元気出せって〜!」
「そうだ!この前美味しいパンケーキ屋さん見つけたんだよ!一緒に食べないか!」
護が呆れた表情になる
「パンケーキ食べたところで元気になるわけ…」
放課後…パンケーキ屋さんにて
「うまぁ…このパンケーキ美味しすぎるよ!美味しすすぎて泣けてくる!」
護は泣きそうな表情でパンケーキを食べている 明はその姿を見て幸せそうに微笑む
「だろ〜!俺の舌に狂いなし!」
「ほんとにその通りだよ…ありがとうあきら」
「いいってことよ〜、ってことで奢ってちょ!」
護が慌てる
「えぇ!し、仕方がないなぁ…」
「あざーす!元気なかったらまたどこか連れていくからさ!許して」
護が2人分を奢る羽目となった 1年生が入学してきて1週間が経った 幸い今のところ1年生と出会うことは無い だが… 翌日 クラスメイトが明を呼ぶ
「あきら〜! なんか1年がお前のこと呼んでんぞ」
廊下に1年生が3人立っている
「うん?君たちどうしたの?」
1年生が3人ともデレデレしながら手紙を渡す 渡した瞬間すぐさま立ち去ってしまう
「あれ、またか〜」
護が明を見つめている
「護…絶対付き合わないで…そいつらはただイケメンな彼氏がいるんだ〜!って自慢したいだけなんだよ 護の良いところ10個も言えないくせに…」
「てか入学式の後日すごかったしなぁ…」
入学式が終わり1日経った時、明というイケメンがいると噂が絶えず次から次へとラブレターが殺到 くつ箱、机の中、ロッカーの中、待ち伏せ、同じ部活に入るなどなどありとあらゆる手で明は告白されていた
明が護に話しかける
「いい加減、諦めてほしいんだよね 断るとなんか罪悪感あるし」
「ぼ、僕はよくわかんないけど明は可愛いとか思わないの?」
明が首を傾げる
「いやぁ?全く思わない てかそもそも恋愛に興味ないからさ」
「てか護の方がかわ」
明が口を抑える 護が困惑する
「え、どうしたの?吐きそうなの?」
明が慌てて答える
「い、いや!なんでもない」
「そ、それよりさ今日も一緒に帰ろうぜ!」
「うん!」
昼休み 明が護の弁当を見つめる
「おー!、今日も美味そうだな」
「そ、そうかな?」
護の弁当は色とりどりで健康が考えられており見た目が美味しそうなまさに理想
「あきら、ちょっと食べる?」
明が目を輝かせる
「え、いいのか!」
「うん、てかいつも食べてるじゃん」
「あ、そんなに食べてるの?俺」
「なんなら、あきらのために弁当作ってるみたいなもんだよ〜」
あきらが小声で呟く
「それって実質愛妻弁当…」
「なんか言った?」
「なんでもない!」
「いただききます!」
あきらはあっという間に弁当を完食する
「ごちそうさま!美味かった!」
護は手作りおにぎりを食べながら喜ぶ
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
「護って弁当美味いし器用だしすごいよな」
「そうかな?でも好きなことだから自然と上手くなってるのかな〜」
突然、廊下から声が聞こえる
「天宮くん!」
廊下の方を見ると神崎が立っている 明が教室を出る
「護、ちょっとまってて」
護は下を向く
「う、うん」
明が神崎に問いかける
「神崎さん、どうしたの?」
「美化委員で集合があるみたいです」
「わかった」
護が神崎が去ったか一瞬顔を上げて廊下の方に視線を向ける だがたまたま目が合ってしまう
「や、やばい…これで2回目だ、変な誤解を生むかも どうしようどうしよう」
「僕のことキモいとか思ってないかな 明日になったらクラス中に広まってないかな」
神崎は護に対してニッコリ微笑む 護は神崎の笑顔を見た瞬間絶望する
「おわった、そういうサイン?!みんなに言いますよっていう?!悪魔だ、悪魔の笑み以外何があるんだ」
明が神崎の視線の方を向く
「んっ?なんで護と見つめ合って…?まさか!いや、そんなはずが!」
明が神崎に声をかける
「神崎さん、いこうよ なにしてるの?」
神崎が振り返る
「あ、ごめんなさい ちょっと考え事してて」
神崎は明と同様、入学式の後日から今日までとんでもないラブレターと告白をもらっていた それに2年生と3年生からもらうので明の倍近くもらっている ついたあだ名はまさに天使のように誰にでも優しく一目見ただけで誰もがオチてしまう 瞬殺の天使!
護のクラスメイトたちが神崎の姿を見ている
「天宮羨ましい〜! 俺もあんなにイケメンならなぁ」
「さすが、瞬殺の天使 俺はもう殺られてるよ」
護の耳にクラスメイトの会話が入ってくる 護は机にうつ伏せになる
「何が瞬殺の天使だ…虐殺の悪魔の間違いだよ 本当は私はこんなにもモテてるんだって優越感に浸ってるだけの醜い人間!」
「もう二度と見たくない」
「大丈夫か〜?」
明の声が耳に響く
「あ、あきら もう帰ったの? もうちょっと神崎さんと喋ってるのかと思った」
「いやぁ、興味ないって言ってるだろ〜? 俺は護とか他の男子と喋ってる方が面白いんだよ」
「そ、そっか」
「てか次の授業数学じゃん 寝るわ〜」
護が慌てる
「えぇ〜 授業態度やばいから真面目に受けた方が…」
明は護の頭を撫でる
「大丈夫、なんとかなるからよ」
護がため息をつく
「いや、カッコつけても無駄だよ? それにあきらが留年したら嫌だし…」
明が微笑む
「わかったよ 真面目にうけるから」
授業中、なんとか耐える明であった 授業が終わりあっという間に下校時間となる
「いやぁ、なんとか耐えた〜」
「ほぼ寝てるぐらいボーッとしてたけどね」
明が首を傾げる
「逆に護は眠くならないのか」
「うん、授業が面白くて勉強が楽しいからさ」
明の表情が歪む
「一生わからん 勉強が楽しいってのは」
「まぁあきらだしね」
明がふざけながら怒る
「なんだと!護と勉強してる時は楽しいんだよ!」
明が慌てる
「やべ、口が滑った…」
護は無邪気に明を見つめる
「じゃあ明日の放課後、勉強会しようか?」
明が笑顔になる
「え!いいのか?しようぜ」
護と明が帰っている最中 明が後ろから背中をポンポンと叩かれる 明は振り向く
「うん?」
振り向いた先に神崎が立っている
「天宮くん、こっちなんですね」
「おー、神崎さんもこっちなんだ?」
遅れて護も振り向く 神崎の姿を見るやいなや明の後ろに隠れる
「か、神崎…?な、なんで!」
神崎が護に視線を向ける
「えっと…そっちの方は」
明は笑顔で答える
「あー、こいつは有田 ちょっとシャイなんだよ」
神崎が思い出す
「あぁ!いつも天宮くんと仲良く話してる人ですね!」
「そうそう」
明が護に話しかける
「護、悪い人じゃないんだからさ挨拶ぐらい…」
護が下を向きながら首を横に振る
「そ、そっか 神崎さんじゃあ俺たちはこの辺で」
次の瞬間、神崎がジャンプして護の目の前に立つ 笑顔で護に話しかける
「またお会いできたら嬉しいです、有田くん」
護は怖がり明を盾にして再び隠れる その姿を見て神崎は微笑む
「ふふ、かわいい」
明は神崎の発言に対して心の中で嫌悪感を抱く
「か、かわいいだと!それを言っていいのは俺だけなんだよ!」
明が神崎に話しかける
「護、体調悪そうだから今日はこれで」
「はい!また明日学校で」
神崎は後ろを振り向き帰っていく 護の息が荒くなる
「はぁはぁ…」
明が心配する
「護、大丈夫か?」
護は明らかに顔色が悪い
「だ、大丈夫だよ か、帰ろう」
「絶対大丈夫じゃねぇだろ ほら、おんぶしてやるから乗れ」
護が慌てる
「い、いやでも」
「気にすんなって、お前軽いし」
護が明の背中に乗る
「ご、ごめん」
「いいってことよ」
「1年の時から女嫌いなの知ってたけど目の前に来られるとこうなるとはな」
「今度から全力で守ってやるよ」
「あ、ありがとう」
明は護の家の前まで送る
「本当にありがとう 明日の弁当いつもより手を込んで美味しく作るね!」
明は手を振る
「おう!じゃあな!」
明は家に帰り自分の部屋で着替える
「神崎、絶対護に近づけさせない」
制服から私服になりスマホを開いて写真を眺めている
「やっぱ可愛いな〜 なんでこんなに可愛んだろ?この笑顔とか尊いしこっちの寝顔なんか膝枕してなでなでしてあげたいぐらい」
明は護とのツーショットや盗撮した護を見つめている
「誰にも渡さないんだから どんなに美少女でも清楚もギャルもお姉さん系も妹系もツンデレもメンヘラも誰にもとらせない」
「私だけのまもくんなんだから」




