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古代3~南方の異民族/ヤマト國

『南方の國』(渡来人・とらいじん)は強力な軍隊を組織している。しかも軍事は巧妙なもので至るところで速攻に國を支配してしまい恐れられていた。


その強靭さからヤマト國(日本)の民族ではなく"渡来人"ではないかと噂であった。


脅威の"渡来"は東南アジアを軍事力で巡り中国から台湾を舟を使い渡りくる狂暴な民族。


古代人ヤマト民族の小さな地域國同士の(いくさ)では見たことも聞いたこともない強靭な武力を駆使している。


勝ち(いくさ)を収めると在住民族を支配下に置きまんまと領地化していく。


「渡来だとすると。南方族は強いはずだ。皆の者は心して交戦にかからねば。敵にやられてしまう」


軍隊長は強敵に備え連隊の士気高揚に努めるのである。


軍の兵士は若者が大半である。指揮官が勝ちを確信し何事も強気で臨戦に挑めば自然と武力も高まりをみせる。


「渡来の敵はヤマト民族が見たこともない武器を持つ南方の民という」


こればかりは…


百戦錬磨の武闘派隊長とて南方の國と交戦してみなければ勝つか負けるかわからない。


「我が軍隊は怯まない!我が軍事力は優秀な兵士と武器である」


負けるなんて十中八九ない

強き軍隊は軍進し敵陣に近くなる。


「勇猛果敢な軍隊よ」


敵が強いと聞かされるならば不安は募る。


隊長の知るところの南方族は…


舟を使った海上戦術を駆使し槍や木斧で瞬く間に攻撃している。


「敵は海洋族である。海や川と舟の存在にアドバンテージありきだ」


海洋を避けるが利口だ


浜辺や海流は軍隊を近くしない。


「舟の来ない山や平地に南方の民を引きずり出してしまえ。陸地にあがれば丘にあがった河童!我々に勝利ありだ」


隊長は顔が曇る。


見たこともない武器。


かなり硬度がある武器は一太刀で屈強な兵士までも殺傷に至らせてしまう。


「強力な武器とはなんだろう。巨大な剣か弓矢か」


敗軍にまみれたヤマト群集國はこの最新兵器に悉くやられている。


隊長はブルブルと震えが来てしまう。わけのわからぬ敵は恐怖心のみが肥大する。


「一太刀で兵士を倒してしまう武器。見聞きしたこともなき武器」


数々の戦場を経験している強者ゆえに様子のわからぬ敵陣は恐怖心である。


ブォ~ブォ


監視兵士が大声を挙げた。

「隊長~敵を!異国の輩を発見しましたぁ~」


平原の原っぱに3人の見慣れぬ武装兵士が見つかった。


「よしっ捕らえよ!生け捕り捕虜にするのだ」


多勢に任せて敵兵3人を追う。


異国の3人はしまった!敵陣に見つかったっとあわてふためいてしまう。


馬を駆り立てひたすら逃走を図る。

逃げろ!


逃げろ!


異国民族など逃がすな~


捕まえろ


たった3人の話ではないか。こちらも馬を駆り立ててしまえば簡単に捕まえられる。


隊長は軍隊を総動員しスタコラ逃げるだけの3人を追いかけてしまう。


夢中になって追いかけていく。いつしか原っぱはなくなってしまう。


眼前に海辺が一面に広がっていた。


敵兵3人はチリジリになり見事に逃げ切りをはかる。

海洋民族のテリトリー海辺に消えてしまう。


「なんだと!海の中に消えた。馬もともにいなくなってしまった」


軍隊は狐に化かされた気がし茫然となる。


すると…


背後からワアッ~ワアッと異国の軍隊が攻めてくる。

乗馬した兵士は手に手に青銅の巨大槍を持ち勇壮な構えである。


青銅と石や木


一見して石器と木器の我が軍隊との兵力の差が見て取れた。


「こりゃあいかん!逃げよ逃げるんだ」


隊長は戦うなと命じ海辺に逃げよとする。


海に逃げてしまえば馬の兵士は追っては来ないであろう。


見える先には小島もポツポツある。


一旦は退散し再度軍を見直して戦いの場を持てばよい。


「あっ!隊長どの。海の中からなにか来ますぞ」


小島の背後からなにやら黒い陰がもやいでいる。だんだん近くなると舟の軍団だとわかる。


南方の異国民が完全武装をなし攻撃を仕掛けてくる。

陸は勇壮な騎馬隊。振り向けば完全武装の海軍ではないか。


周りをぐるりと見渡す。


四面楚歌とわかり逃げ道はなかった。あっけない敗軍の瞬間である。


隊長は顔面蒼白となり自腹を決意した。


「やっやられた」


キラリ光る剣を抜き切腹をしようとした。


シュっ~


「その行為ならぬぞ!」


隊長の腕に弓矢がぐさりと刺さる。


勇猛な軍隊が勝ち(いくさ)を収めることを信じる國である。


國王と女王は宮殿で優雅にも舞踏会を開催していた。

軍隊がどんな窮地にあろうが宮殿は楽園である。隊長が攻撃されて無惨に絶滅しようが構わない。


宴と踊りに浮かれている宮中の賑わいに関係がないというわけである。


「おっおい!あれはなんだ!」


見張り兵士が叫んだ。


見たこともない異国の軍隊が宮殿に向かってくるではないか。


宮殿周辺警護を見張る高台兵士あわてふためいた。


『南方の民』は軍隊連隊と共にやってきた。


兵士の頭に縄で縛られ捕虜の隊長がいた。


厳ついからだにぐるぐる巻きに縄があった。


「さあっオマエから宮中に言うんだ」


我が軍隊は壊滅しました。この國は新しい領地王が君臨いたします


殺されたくなければとっとと宮殿から出ていけ


今からの宮殿の王は南方の民である。


捕虜になる軍隊が宮殿広場に連なる。


これだけで充分に南方の民を誇示し威圧感があった。

捕虜になる隊長を見て宮中の國王と女王は困った困ったと右往左往するばかり。

「どうなっているのだ。頼みの綱のが軍隊ではないか。優秀なはずの我が軍隊は壊滅されてしまったというのか」


目の前に軍隊長が縛られて捕虜にある。


優雅な生活しかしらない國王としては到底に事実を認められはしない。


「國王よっ!おとなしく宮中を明け渡せ」


扉を開け放ち白旗を示し降参をしろ。


南方の民の威圧感のある野太い声が響き渡る。


明け渡せ!


國王の命は軽く一太刀ではねてしまえ


広場のざわめきに村人も遠目に眺めてみる。


村人に化けた村長もあみも騒ぎを知り南方の民を見る。


「危ないなっ國王と女王。いやっ僕の父母を救出しなければならない」


村長は知恵をしぼり宮殿の背後に先回りをする。


宮中警護の兵士すらいない状態で簡単に侵入できてしまう。


「古代では宮中の王と女王。現代では僕の…死んだ父母だから」


現代でも古代でも殺されては堪らない。


機敏に宮中に忍び込む。


村長とあみはスルッと入ってしまう。


宮殿は簡単な造りの建物である。すぐに神殿に辿り着きふたりを見つける。


可哀想なことに殺害の恐怖心からぶるぶる震えている。


ふたりを保護する。


「おおっ息子よ。助けてくれ」


※現代人のふたりは危機的状況になるとテレポート(瞬間移動)ができた。


「あみちゃんいくよ」


村長は國王を抱き抱え


スゥ


あみは女王を抱き抱え


スゥ~


テレポート後に父母を救い出すとなに食わぬ顔で庶民の村民家族に成りすました。


「ふぅ~助かったね」


村長とあみは逆らわない村人に紛れ「南方の民」を観察する。


どんな種族であるか見守ってみたくなる。


「様子を見ておかなくてはいけない」


残虐な南方の異民族と聞いている。村人までに戦禍を及ぼすかもしれない。


武装した兵士たち。


青銅器を振り上げて宮殿に入っていく。


「いない!いない!」


國王は逃げている!


宮殿は蜂の巣を突っついた騒ぎになる。


「國王をどうするつもりだったんだろうか」


村長とあみの背後でふたりはブルブルと震えていた。

南方の異民族(渡来人)は現在の奄美大島辺りから鹿児島(日本列島)に上陸している。


海洋民族ゆえに海沿いを支配下にまずは置きたいと九州一円に支配勢力を伸ばしたようである。


「どうやら南方異民族は思ったほど乱暴さんではなかったね」


支配した群集國を高圧的に押さえつけることもなくである。


(現在の)九州各地は南方の民族(ヤマト國)に次第に支配をされていく。


奄美大島→鹿児島→宮崎→大分。


「あみちゃんは大分県の宇佐八幡宮って知っているね。日本最古の神社ではないかと言われるんだけど」(諸説あり)


村長はヤマト民族からその力量を認められて宇佐八幡宮の支配者に拝命をされる。


「南方の民族にしたら大分県を九州の"首都圏"に位置づけたいようなんだ」


村長は宇佐の支配者を2つ返事で快諾をする。


「僕の父母と親子三人で暮らすつもりだ。残念ながら現代人に戻る選択肢はなくしてしまう」


交通事故で亡くなった父母のいる現代人には…


「あみちゃん。現代人でも古代人でも仲良くしてくれてありがとう」


村長が古代人として生きる決意をしたかぎり"現代人の記憶"は完全に消されてしまう。


あみは悲しい顔をした。


「そぉ…」


両親と仲良く暮らせるのなら。


「お幸せにね」


村長は手を伸ばしあみに握手を求めた。


 

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