表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/24

寝言

 貴重な自由時間。

 かよ子にそれが訪れるのは子供たちが眠りに就いた後。

 いわば睡眠のゴールデンタイムに突入する頃、やっと一人の人間としての自由時間が始まる。


 とはいえ、結局自分のための時間というわけにはいかないのが悲しい現実だ。

 テレビを見たり本を読んだりできれば上々。

 大抵は、小学校や保育園に提出する”書き物系”を処理したり、小学校の図工で使う材料を集めたり、それからやり残した家事を片付けているとあっという間に自分の就寝時間になってしまう。

 そんなかよ子の一人時間中に、寝室からまさきの寝言が聞こえてくることがある。


「はははははははは!!」


 大抵はこんな風にけたたましい笑い声。

 楽しい夢を見てるんだろうな、と思うのに、朝起きるとげっそりとして「怖い夢見た……」と訴えてくることも少なくない。

 どんな夢だったのか怖くて聞けない。


 ゲームの夢もよく見ている。


「ジャンプだよ! だめだって、そこ昇ってからジャンプしないと! あーあ、落っこちちゃった」


 何のゲームをしているかは大体わかる。


「あー、暇だなー」


 本当に寝てるのか? と思わず顔を覗き込んでしまう。


 そうして大抵ははっきりとした寝言をいっているまさきなのだが。


「じ……な、ふ……が……め……ん~なじま……すげ……た」


 こういう寝言は気になる。

 いつもとは違って一般的な寝言であるのだが、何を言っているのかわからなすぎてフラストレーションが溜まる。

 もっとわかるようにはきはき喋ってほしいと思ってしまう。

 寝言なのに。



 そして。


「んー……、うるさい」


 おまえがな!!


 とツッコミたくなっても寝言だ。


 このようにバリエーション豊かに夜中挟まれる寝言に、かよ子の自由時間は彩られているのである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ