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教育

「どうしてそんな意地悪なこと言うの?」


「どうしてじっとしていられないの」


「どうしてやっちゃいけないことやるの」


 やってはいけないこと。

 してほしいこと。

 何度も話しているのに、何年も同じことを話し続けているのに、何も変わらない。

 まだ子どもなのだから仕方がない。そう思うのに、同じ年の他の子はきちんということを聞いてくれているのに、と思ってしまう。


 命の危険がないならいいじゃない。

 そんな風に言う人はいる。

 けれど、そのつまらない意地悪が誰かをひどく傷つけたら?

 それが命に関わらないと何故言えるのか。


 人を傷つけないような子になってほしい。

 そう思うのは親として自然なことだと思う。

 けれどその通りにするかどうかは、すべて子ども次第だ。


 だからこそ、何度言っても通じない無力感に打ちのめされ、かよ子は込み上げる絶望感にさらされていた。


 とても前向きにやっていける気などしない。


 この子はこのまま大人になってしまうんだ。


 そんなことさえ考える。



 親が子どもを信じてあげられなくてどうするの。


 そう言う人がいる。


 信じるって何を? と思う。


 このままお気楽に放っておいて、いつかちゃんとした人間になると信じるだけが親の仕事なら楽だと思う。



 親としてまさきに、りくに、何をしてあげればいいのだろう。

 そう考え続けることが、今のかよ子にできること。

 そう信じて、決して投げ出さないことだけを自分に誓い、今日もかよ子はまさきとりくを出迎える。


「おかえり」

「ただいま!」


 こうして一番の笑顔で帰ってきてくれる居場所である限り、かよ子はまさきとりくを見つめ、答えを探し続ける。

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