表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語の小説化の技法  作者: 種田和孝
第四章 雑記
35/41

見栄えのプロ

 読者は様々な機器で小説投稿サイトの小説を読んでいます。スマホ、タブレットパソコン、ノートパソコン、デスクトップパソコン。モニターのサイズは様々です。しかも、一口に例えばデスクトップパソコンと言っても、それらの中にもモニターサイズに違いがあります。

 電子機器のハードウェア製造者にせよソフトウェア製造者にせよ、自分たちが製造した機器で画像や文字が美しく表示されるよう努力を重ねています。しかし、各々が独自に設計製造をしているために、機器ごとに表示内容の見た目が変わってしまいます。

 小説投稿サイトを作者の立場で利用する人は、ここですでに一つのことを理解しなければなりません。

 一般的に、改行の多い文章を大きなモニターで読むと「何だ? このスカスカは」となってしまいます。改行の少ない文章を小さなモニターで読むと「何だ? このごちゃごちゃは」となってしまいます。つまり、空白行や改行を入れたりして一生懸命に見た目を良くしても、綺麗に見えているのはあなたの電子機器のみにおいてかも知れないのです。

 こうなるともはや、文章を書く側としては標準的な書き方をして、あとは読者側で自身の機器を読みやすくなるように設定してもらうしかなくなります。ここで小説投稿サイトのエンジニアの出番となります。

 実際の現場を見た経験は無いのですが、一般的に、作業の現場には様々なスマホやパソコンが揃っています。さらには、新しい機器が出たらすぐに購入して、そのラインアップに加えます。そして全ての機器で見栄えが同じになるようにウェブサイトを作ります。

 そしてある日、事件は起きるのです。

「何? あのウェブブラウザーがバージョンアップした?」

 その瞬間、エンジニアの部屋には悲鳴と罵声と怒号が飛び交います。

「馬鹿野郎!」

「余計なことをしやがって!」

「やり直しじゃねえか!」

 エンジニアたちはいっせいに席を立ち、壁に額を打ち付け、壁を拳で殴り、壁は一瞬にして穴だらけ。室内は修羅の地獄と化します。

「野郎ども。インストールとテストだ!」

 悪鬼のごとくに机の上に立つ主任。主任のその鬼の叫びによって、徹夜の日々は始まるのです。

 エンジニアの奮闘の成果は実際に確かめられます。スマホのことは知りませんが、パソコンを使ってこの文章を読んでいるのなら、この文章の余白を右クリックしてみてください。「ページのソースを表示」という種類のメニューが表示されるはずです。その「ソース」が成果です。なお、ソースを見ても何の問題も生じませんし、ソースの画面はそのまま閉じてしまって構いません。

 さらには、この文章が表示されているページの右上隅に「表示調整」という押しボタンがあります。実際に押してみればすぐに分かりますが、行と行の隙間をどれだけ開けるのかも調整できるようになっています。

 これが「見栄えのプロ」の仕事振りです。やたらと改行を入れたり空白行を入れたり、作者が見栄えに凝るのは中途半端である。私はそう評しました。そのような作業は作者の領分ではありません。見栄えのプロの領分です。作者は執筆に専念し、読者に「表示調整」を呼びかければ済む話なのです。

 最後になりますが、私の知る限りでは二つだけ例外があります。

 一つ目。小説ではなく詩。詩では、空白や余白も表現の内です。ですから、作者が見栄えに凝ることには意味があります。ただしすでに述べたように、他の人のモニターで同じように表示されているとは限りません。

 二つ目。紙に印刷した原稿を作る場合。大抵はA4を使用することになると思います。その際は、モニターとは異なり、紙の大きさは画一的に決められていますから、作者が形を整えることに意味が生じます。


 この解説書を公開して以降、「文ごとに改行し、文と文の間に空白行を入れた方が読みやすくなる」との意見が数件寄せられました。実際に複数件寄せられたということは、潜在的に一定の割合の人がそのように考えているのだと思います。

 空白行を一行入れた方が良い。いや。二行だ。そのような議論がかつて小説投稿サイトで行なわれていたらしいことは私も知っています。もしかしたら、当時は表示調整の機能が無かったのかも知れません。しかし、今はあります。便利な機能は大いに活用していきましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ