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眠気

 翌日の朝、(るい)はとても憂鬱だった。それに答えるように空は薄暗く曇っていて今にも雨が降り出しそうな天気だった。

 気絶から目覚めた後、ふらつきながら家に帰り、自室入るも先程のことしか考えることができず、ベットの上に倒れこむようにうつ伏せに寝転がりうめき声を上げて時間を浪費し続けていた。

 気付くといつの間にか朝を迎えていて、そのまま家を出て学校に向かっていた。

 何度目かになるため息を吐き学校を眺める。

 学校は丘の上にあるため、この町にいればどこにいても見れるようになっている。

 最初は登るのが辛かった上り坂も約一年半、毎日のように登っていれば慣れて苦も無く登るようになっていた。しかし、今日の(るい)にとっては嫌なことがあったばかりの場所に続く道を登ることは苦痛を覚えた。

おぼつかない足取りで坂を登りながら何度目かになる溜息をつく。

「溜息が癖になってるな。はぁ。今日は学校サボるか」

「不良少年! サボりは良くないぞ」

 そう聞こえて突然背中に衝撃が走り、前のめりになってこけそうになるが踏ん張ってこらえる。

 振り返るとセーラー服を優雅に着こなした赤毛のショートカットの伊野(いの) 阿奏(あかな)が笑って立っていた。

「痛いな。何するんだよ」

 と(るい)は文句を言うが軽く無視され、不敵な笑顔で聞いてくる。

「どうだった? きのぉう」

「……振られたよ。 盛大にな」

 笑顔だった阿奏(あかな)の表情が崩れ、驚きの表情に変わる。

「振られたってどういうこと? ちょっとどこ行くのよ」

 学校をサボるために道を引き返そうとした(るい)を、阿奏(あかな)は腕を掴んで無理やり学校に引っ張って行く。

「ちょっと何するんだよ。俺は今日はサボる予定なんだよ」

「不満は後で聞いてあげるからさっさと歩きなさい。今日は絶対に学校に行くの途中でさぼったりしたら、殺すわよ」

 そう言って阿奏(あかな)は不快に笑った。その笑みを見た(るい)は何も言えず、無言で首を縦に振るしか無かった。

 阿奏(あかな)に引きづられながら、きつい坂を登り終えて校門に着く。

 学校は東棟と西棟のふたつの棟と体育館に分かれており、東棟は四階、西棟は三階まである。

 二年生の(るい)阿奏(あかな)の教室は東棟の四階にあり(るい)阿奏(あかな)はクラスが違うため教室は別々である。

「じゃあ、私は部活行って来るけどさぼったりしたら…… 分かってるよね?」

 (るい)の返事も聞かずに、不快で愉快で爽快な笑顔を振り撒いて走り去っていった。

 笑顔の裏の怖さを知っている(るい)は逆らえることも出来ず、東棟の下駄箱に向かって歩き出す。

 (るい)は下駄箱で靴を履き変えて教室に向かうために振り向く。

「あ」

「あ」

 (るい)(るい)から少し離れた場所に立っていた好乃々(このの)と声がはもった。

 好乃々はすぐにその場から逃げるように走りさってしまった。

「完璧に嫌われてる」

 千鳥足で階段まで辿り着き四階までの長い道を登って教室にまで行く。

 教室にはまだ時間が早いため誰もいなく静まり返っていた。

 (るい)は窓際で一番後ろの自分の席に座り、運動場を眺めていると昨晩の疲れでいつの間にか眠っていた。

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