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昨日の記憶がないけれど、僕は何かしちゃった?

12/16 二話目

「うぅん……」




 頭が、少し痛い。

 なんだか不思議な感覚。




 僕はぱちりと目を覚ます。




 ふかふかのベッドの上に僕は寝かされている。此処、何処だろう?

 そう思いながら起き上がる。

 きょろきょろとあたりを見渡す。





 天蓋付きの大きなベッドに、シャンデリアが天井からつるされている。その場に置かれている家具の一つ一つが高価なことが分かる。

 ……ルズノビア王国だと、聖女の部屋は質素でシンプルなものだった。だから、こういう貴族のお部屋みたいなのにいることにびっくりした。





 どうしてここにいるんだっけと思考して、僕がヴァリマヤ帝国にやってきたことを思い起こす。僕は食事をして、初めてのお酒を飲んで――その後の記憶が全くない。





 まさか僕は……お酒で過ちでもおかしてしまったのだろうか?

 うーん、記憶がないなんて何をやらかしたのか僕はとってもハラハラしている。




 だってサシャに嫌われてしまったら、とても悲しい。

 僕はサシャの庇護下にある身だからというのもあるけれどさ、普通にサシャみたいに素敵な女の子に嫌われたら悲しいよね。




 僕が唸っていると、扉がノックされる。



「はーい」



 返事をすると、侍女と執事の恰好をした人が入ってくる。




「聖女様、おはようございます。これから聖女様のお世話をさせていただくウィメリーと申します」

「私も聖女様の傍に仕えさせていただきます。トウリウスと申します」

「そうなんだー。僕、ウルリカ。よろしくね?」




 僕がにっこりと笑いかければ、見惚れた様子になった。僕の可愛さにやられたらしい。





「こほんっ、よろしくお願いします。ウルリカ様、私達二人が護衛もかねて基本は傍に居ますが、他の者も交代制で傍にいることになりますので」

「そうなんだ」

「はい。ウルリカ様のお世話をしたいというものは大変多いのです」




 トウリウスにそう言われて、なんだか嬉しい気持ちになった。僕の世話をしたいといってくれているということは、僕に対して好意を抱いているってことでしょ?

 嫌われているよりもその方がずっと良いって僕は思っているんだ。




 それにしても護衛もかねてって、可愛い女の子と品の良いお兄さんに見えるけれど強いってこと? それなら凄いなぁって思う。

 サシャはなんていうか、綺麗だけど大きいというか。なんだか強そうな雰囲気が凄く出ているのだけど、なんだか目の前の二人はそういう雰囲気はあんまりない感じで、それなのに護衛に任せられるなんてすごいなって思った。






「そういえば、サシャ、怒ってなかった?」



 僕は少し不安になって、ベッドに腰かけたまま二人にそう問いかける。




「陛下が怒る? どうしてですか?」

「僕、多分酔っぱらって醜態を見せちゃったのかなって。お酒に酔うと周りに嫌な思いをさせる人が多いって聞いているから……、僕はサシャに嫌われちゃうことしたかなって」




 サシャはとてもキラキラしている。

 その身に纏う魔力が心地よくて、まっすぐな感じがして、それでいてとても綺麗。

 そんな人に嫌われたら悲しいなと思うのだ。






「ウルリカ様、そのような心配は不要ですわ。陛下はウルリカ様のことをとても気に入っていらっしゃいますよ。昨日も陛下がウルリカ様をここまで連れてきたんですから! それに陛下は気に入らない者はすぐに追い出します。こんな特別な部屋など用意しません」




 心配だなと思っていたら、ウィメリーにそう断言された。



 サシャがわざわざ僕のことを運んでくれたらしい。それでいてこの部屋もサシャの指示で用意された僕の部屋のようだ。



「陛下は裏のない方ですから、直接聞いてみるのもいいと思います」



 続けてトウリウスにそう言われて、僕はそれもそうかと思った。



 僕の酔っぱらった様子はサシャとユエバードに見られているみたいだから、酔っぱらった姿見せてごめんなさいって言っておかないと。後は嫌な気持ちになっていないか聞かないと。

 そう思ったので早速身支度を整えて、サシャの元へと向かうことにする。





 廊下を歩いているだけでちらちらと視線が向けられて、こそこそと周りが話している。でも好意的な視線なのは分かる。

 本当に男なのかみたいな声も聞こえてくるけれど、残念ながら僕は男だよ! としか言えない。




 そうやって進んで、サシャの元へとたどり着いた。



 というか、僕、結構寝てたっぽい。

 ルズノビア王国にいた頃は規則正しい生活をしていたけれど、今はお昼時に近い時間だ。




 執務室の扉をノックして、入室の許可がされたので中に入る。




「サシャ、おはよう。昨日はごめんね? 僕、酔っぱらっていたみたいで……」

「構わぬ」




 そう言いながらも何故かサシャは僕と目を合わせてくれない。



「サシャ、なんで目を合わせてくれないの? 昨日の記憶がないけれど、僕は何かしちゃった?」



 僕はサシャの様子にそう問いかけるのだった。



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