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僕の新しい髪型


「聖女様、本当にこんなに綺麗な髪を切ってしまっていいのですか?」

「うん!! 肩ぐらいまでばっさり切ってもらって大丈夫! でも僕の可愛さは損なわないようにしてほしいな」



 サシャは行動力があり、驚くことにすぐに髪を切ってくれる人を呼んでくれた。

 その女性は、本当に僕の髪を切っていいのだろうかと何度も何度も確認する。なんだか僕の髪がとても長いから、切ってしまっていいのかと心配しているみたい。



 聖女になってからはずっと髪を伸ばしていた。聖女としての見た目に相応しくない分だけ切ってもらっていたけれどそれだけで、自分のために髪を切るなんてしていなかったのだ。

 こうやって自分の髪をばっさり切ることも許されるなんて、本当に僕は帝国にやってきたんだなと実感する。





「聖女様はこんなに可愛らしいのに男性なのですよね?」

「うん。僕は男だよ。可愛いから嫉妬されたりしちゃうかな?」

「陛下のお気に入りでもある聖女様を嫌う方などいないとは思います」

「ふふっ、僕、サシャのお気に入りなの?」

「はい。市政でも噂になっておりますよ。陛下は聖女様を気に入ったから王国から攫ってきたんだって」




 なんだかそういう噂が流れているらしい。僕とサシャが仲良しだって広まっているのは凄く良いことだよね。それに僕の噂って良いものが多いみたい。まぁ、全てがじゃないみたいだけど。

 そういう僕のことを悪く言っている噂は僕の耳に入らないようにしてくれているっぽい。僕がサシャのお気に入りだって広まっているから、表立って僕を悪く言う人はあまりいないみたいだけど。

 僕は折角こうして帝国で楽しく過ごさせてもらっているから、ブリギッドに頼んで何か不穏な噂とかないかは調べてもらっているよ。





 帝国は女帝であるサシャが治める国で、その決定が絶対だ。でもサシャの行動に不満を持っている人もいるかもしれないからね。

 サシャは僕やブリギッドに何か役割を求めたりなんかしないけれど、僕らはサシャが大好きだなって思うから勝手に行動している。




 そんなことを考えていると、散髪が終わったみたい。





「聖女様、終わりましたがいかがでしょうか?」



 そう問いかけられて、鏡を見る。

 そこに映っているのは、肩ぐらいまでの髪の愛らしい僕。うん、短い髪も似合うね。



「僕が思っていた通りの髪型だよ、ありがとう!!」

 僕がそう言ってにこりと笑えば、その人はぼっーとした表情になる。僕に見惚れているんだろうなと思いつつ、僕はサシャとブリギッドに見せに行こうと二人の元へと向かうことにした。

「ふんふんふ~ん」



 僕は機嫌が良くなって、思わず廊下で鼻歌を口ずさむ。



 歌の名前は憶えていないけれど、記憶もほとんどないような子供のころから知っているもの。

 こうやって鼻歌を歌いながら歩くなんてことも聖女像が固まっている王国だとやったら注意されることだった。




「あら、聖女様。髪を切ったのですか? とても可愛らしいです」

「聖女様、お似合いです!」



 城内の人たちが僕の髪を見て、にこにこと笑いながらそう言ってくれる。それに対して「ありがとう」と口にして、僕はサシャの元へと向かう。



「サシャ!」



 僕はサシャの居る執務室に辿り着くと、扉を開けて中へと入る。

 サシャは僕の顔を見て、笑った。



「ウルリカ、その髪型も良く似合っている。愛いな」

「僕の可愛さは髪を切ったぐらいじゃ損なわれないからね! 切った髪もね、鬘にしてもらっておこうかなって。僕が長い髪にしたいときに装着できるようにしたら楽しそうでしょ?」

「ああ。……まぁ、処分に困るしな」

「うん。聖女や聖人の髪はそれだけで特別なものだもん。ただ捨てるのはもったいないしねー」



 聖女や聖人の髪って、それだけで力を持つ特別なものなのだ。



 だから何かに活用するのが一般的らしい。ルズノビア王国では僕の切った髪とか、どう扱われていたか知らない。僕の世話をしていた侍女たちが回収していた記憶はあるけれど……。

 サシャは僕の切った髪は僕の自由にしていいって言っていたから、僕用の鬘として取っておくことにしたのだ。




 僕が自分の意思で髪を切ったわけだけど、髪が長い方が楽しい時あるかもしれないからね!

 サシャが望むのならば、国のために僕の髪を役立ててくれても良かったのだけどサシャはそんなこと言わなかった。





「そうだ。ウルリカ。街に行かないか?」

「街に?」

「ああ。ウルリカは聖女になってからお出かけをしたことがないと行っておっただろう。折角だから我が案内する」

「サシャが案内してくれるの?」

「ああ。我もウルリカと一緒に出掛けたいからのぉ」

「やった! 行く!!」




 考え事をしていたらサシャにお出かけに誘われて、嬉しくなって答える。




 僕は聖女になってからというもの、どこかに出かけたりしていなかった。元々聖女になる前も孤児院育ちだから、遊ぶためのお出かけなんてなかった。

 ――でもこれから行くお出かけは楽しむための、遊ぶためのお出かけなんだなと嬉しくなった。


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